『BLEACH Brave Souls』の事例で考える「世界観を壊さない広告」の作り方 | GameBusiness.jp

『BLEACH Brave Souls』の事例で考える「世界観を壊さない広告」の作り方

「課金と広告を併用してゲーム収益UPを実現したゲームアプリのハイブリッドマネタイズ戦略」の模様をお届けします。

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2025年6月4日(水)に開催された「GAME FUTURE SUMMIT 2025」のパネルディスカッション「課金と広告を併用してゲーム収益UPを実現したゲームアプリのハイブリッドマネタイズ戦略」の模様をお届けします。

本セッションでは、実際に広告マネタイズに取り組む企業の担当者が登壇し、導入時の課題と解決策、得られた成果など、現場で培われたノウハウが紹介されました。

イベント概要

昨今、ゲームアプリ内の課金に加えて、広告掲載も併用することで、ゲームの収益性を高める取り組みが広がりつつありますが、「広告を入れると世界観が壊れるのでは」「ユーザー体験が損なわれるのでは」といった懸念もあります。

こうした課題に対し、ゲームアプリにおける広告の実態を探るべく、「GAME FUTURE SUMMIT 2025」の「課金と広告を併用してゲーム収益UPを実現したゲームアプリのハイブリッドマネタイズ戦略」をテーマにしたパネルディスカッションを取材しました。

登壇者は、アバターSNSアプリ「PIGG PARTY(ピグパーティ)」の事業責任者であるサイバーエージェントの前島圭汰氏、ゲームアプリ『BLEACH Brave Souls』のディレクターを務めるKLabの横手啓一氏、広告導入を支援するSkyfallの細田雄介氏・座間幸恵氏・浅見嵐士氏の5名です。

各登壇者は、それぞれの立場から広告マネタイズ導入における懸念点、実装時の工夫、導入後の効果検証、そして今後の展望について意見を交わしました。

忙しい方向けに2つのポイントで整理

登壇者や内容の詳しい紹介の前に、本セッションで語られた重要なポイントを2点に絞って解説します。

これらのポイントに関心をお持ちいただけた方は、ぜひ記事の最後までお読みください。

実データで示された「課金×広告」のシナジー効果

本セッションでは、「ピグパーティー」や『BLEACH Brave Souls』における広告導入の実例が紹介されました。具体的なデータが示すのは、広告導入が課金収益を減少させるどころか、むしろ後押しする効果があるという事実です。。

中でも注目すべきは、無課金ユーザーで広告マネタイズプラットフォーム「SKYFLAG」を利用したユーザーの課金転換率が18.7%に達した点です。これは、従来の課金転換率3.1%を大きく上回る結果となりました。

世界観を守りながら導入する具体的な手法が明らかに

セッションでは、広告導入における大きな課題である「ゲームの世界観を壊さないこと」や「ユーザー体験を妨げないこと」に対し、具体的な解決策が紹介されました。

たとえば、キャラクターを活用した広告クリエイティブの制作や、ゲームループ内に自然に広告を組み込む手法、ユーザーに能動的な参加を促す設計など、実際の現場で蓄積されたノウハウが惜しみなく共有され、非常に貴重なセッションとなりました。

登壇者紹介

今回のパネルディスカッションには、ゲーム業界や広告・メディアの前線で活躍する5名が登壇しました。

細田雄介氏(Skyfall)

本セッションのモデレーターを務めた細田氏は、2011年にアドウェイズへ入社。スマートフォンゲームアプリ向けの広告企画を手がける営業部にて部長職を務め、約10年にわたり広告営業や管理業務に従事。

2021年にSkyfallへ入社後は、SKYFLAGのマネタイズサポート営業部署を立ち上げ、導入推進から導入後のメディア企業への支援まで幅広く担当。現在はSKYFLAGの営業全体を統括するメディア事業部長として従事しています。

前島圭汰氏(サイバーエージェント)

前島氏は、新卒時はSIerのエンジニアとしてキャリアをスタートさせ、2017年にサイバーエージェントへ中途入社。入社後はエンジニアから企画職へと転向して「アメーバピグ」の企画・開発やプロデューサー業務に従事。

2018年末からは「ピグパーティー」のプロダクトマネージャーとして参画し、現在は同サービスの事業責任者を務めています。

横手啓一氏(KLab)

横手氏は、2007年に大都技研へ新卒入社し、プランナーとしてパチスロ機の制作・開発を担当。その後、KDEを経て、異動先のコナミデジタルエンタテインメントでは『プロ野球スピリッツA』の運用に携わり、モバイルゲームの運用を担当しました。

2021年、KLabに入社。現在、『BLEACH Brave Souls』のディレクターとして、サービス運用に関する戦略立案と実行を担当しています。

座間幸恵氏(Skyfall)

座間氏は、Skyfallに入社後、電子書籍サービスやポイントメディアなど大型メディアを運営する企業への広告マネタイズのコンサルティングに注力。現在はコンサルティング局の局長として、マネジメント業務と並行しながら、数多くのサービスのコンサルティング業務を担当しています。

浅見嵐士氏(Skyfall)

浅見氏は、新卒時は大手Web制作会社にWebディレクターとして入社し、様々な業界にてWebサイト制作を担当。その後、音楽出版社やゲーム情報メディアに転職し、ゲーム情報メディアでは広告販売の営業を担当しました。

2023年11月にSkyfallへ入社し、現在はSKYFLAGの導入推進を担うメディアセールス局の局長を務めています。

注目の議題を3つピックアップ

ここからは、後半のパネルディスカッションにおける注目の事例や、登壇者同士のやり取りに焦点を当てて紹介します。

広告導入への懸念と解決方法(横手氏×前島氏)

セッションでは、ゲーム会社が広告マネタイズを導入する際に抱く主要な懸念点について、具体的な事例を交えて議論が交わされました。

横手氏は、「『BLEACH Brave Souls』は、BLEACHというIPをお借りして運営しているため、ゲームの世界観を損なう恐れが導入時に最も懸念された点だった」と述べました。

しかし、横手氏によると「広告を見なければゲームを進められないような仕様にはせず、ユーザーにメリットがある形で導入した結果、不満の声はほとんど上がらなかった」とのことです。

一方、前島氏も「ユーザー体験を損なってしまうのではないかという懸念は非常に大きかった」と振り返り、具体的な対策を紹介しました。「インゲームの雰囲気に溶け込むよう工夫し、(広告が)アウトゲーム的な見え方にならないよう配慮した」とし、「アバターのキャラクターを使ってクリエイティブを作成し、ゲームらしい導線にした」と説明しました。

さらに前島氏は、「ピグパーティーのクエスト機能の中に広告を組み込むことで、ゲームループの中に自然に広告が入るような形にした」と実装方法を明らかにしました。この結果、「ユーザーが能動的にゲーム内通貨が欲しいから広告を見る、案件を獲得しに行くという流れを作れた」とのことです。

座間氏からは補足として、「ユーザーがコンテンツを利用している際に、横から広告が入るような印象を与えると、ユーザーと広告主双方にとって良くないため、導線を置く場所にも配慮が必要」と述べました。具体例として、「ゲーム内で課金をするページやショップに導線を入れている」「導線にはキャラクターを模したバナーを使用し、ユーザーが自然にクリックできるようにしている」といった工夫が共有されました。

数値で証明された広告マネタイズの効果(細田氏×横手氏)

細田氏は、SKYFLAGを導入したゲームアプリの収益分析結果を説明しました。

横手氏も『BLEACH Brave Souls』での導入事例を挙げ、「課金に関するKPIは悪化しておらず、オファーウォール広告の導入により売上はしっかりと伸びている」と、実際の運用経験に基づく成果も共有しました。

さらに細田氏は、SKYFLAGを利用した無課金ユーザーのリテンション率が、課金ユーザーとほぼ同等の水準を維持していた点にも言及。課金転換率についても、SKYFLAGを利用していないユーザーの通常の課金転換率が3.1%であったのに対し、SKYFLAGを利用して初めて課金に至ったユーザーの割合は18.7%に達していたといいます。

課金ユーザーにおけるARPPU(課金ユーザー1人あたりの平均売上金額)の変化も明らかになりました。SKYFLAG導入前は3,193円だった平均課金額が、導入後には5,366円まで上昇したとのことです。

これらの結果を踏まえ、細田氏は「無課金ユーザーのゲームに対するモチベーションを、SKYFLAGのオファーウォールが後押ししているのではないか」「SKYFLAGのオファーウォールは、課金ユーザーの課金額増加にも貢献している」と述べました。

広告マネタイズの今後の展望(前島氏×横手氏)

セッションの終盤では、広告マネタイズの今後の展望について議論が交わされました。

前島氏はまず「ゲームユーザーは、課金志向の高さ、広告に対する心理的ハードルの低さ、許容度の広さといった点から見ても、広告主にとって非常に魅力的な存在である」と指摘。そのうえで「今後は、ブランド系の広告主やナショナルクライアントも本格的に参入してくるのではないか」と展望を語りました。

横手氏は、海外展開の視点から見たマネタイズの可能性について説明しました。「日本と比べて、海外のユーザーは広告に対してネガティブな印象が少なく、むしろポジティブに受け止めている」と述べたうえで「海外で配信するタイトルでは、リワード広告だけでなく、オファーウォール広告を取り入れることで、しっかりとマネタイズできる」と続けました。

さらに、「海外展開を前提としたゲームであれば、広告施策は必須となる。お互いにとってWin-Winの関係を築くためにも、今後はこうしたマネタイズの仕組みがビジネス上ますます重要になっていくだろう」と締めくくりました。

《小川翔太》

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