
PCゲームの配信プラットフォームのRokkyは、Atomik Research社が実施したアンケート「The State of PC Game Distribution(PCゲーム配信の現状)」の調査結果を公開しました。
72%の開発者が「Steamは独占にあたる」と回答―Steamの優位性と依存

Rokkyが公開した「The State of PC Game Distribution」では、アメリカとイギリスのPCゲーム開発者(マネージャー以上の役職)306人に対して調査を実施。なかでも注目すべきは、回答者のうち72%が「Steamは事実上の“独占状態”にあたる」と回答していることです。
昨今、Steam以外にも配信プラットフォームはEpic GamesストアやGOG.com、itch.io、マイクロソフトストアなど多種多様な配信手段がありますが、依然としてSteamはプラットフォームとしての優位性を持っています。
2024年のSteamの収益は108億ドルで、調査対象となった88%のデベロッパーは、収益の7割以上をSteamに依存しています。なかには9割以上がSteamからの収益と回答するデベロッパーも。また、回答者のうち53%は、単一プラットフォームへの依存を懸念しています。

調査レポートによるとSteamの優位性や事実上の独占状態は明らかで、この状態はプラットフォームのポリシー変更や収益分配率の影響を受けやすくなるなど、開発者にとってリスクがある現状であることを指摘。くわえて、新規のプレイヤー層にアクセスできないことによって、潜在的なユーザー層を制限する可能性があると述べています。
これまでにも、Steamではストア販売の高い手数料や市場の抑制が反トラスト法などに違反するとして、集団訴訟にまで発展した事例もあります。一方、Valveはこれを全面的に否定しています。
しかし、Steamは業界の圧倒的なシェアを持っているものの、本当に市場を独占しているのでしょうか。海外メディアgamesradarでも本件を取り上げており、記事のなかではアナリストであるMat Piscatella氏の「つまり、72%の人は独占とは何かを知らない。」という発言を引用しつつ、市場のシェア率の高さだけでは“独占状態”と定義できないことを指摘しています。
Mat氏は「“独占”とは、特定のサービスや商品に対しての代替手段がなく、存在する唯一の売り手が法外な価格を請求できる状態」と述べ、PCゲーム配信プラットフォームはSteam以外にも多数存在していることを強調しています。
In other words, 72% don't know what a monopoly is.
— Mat Piscatella (@matpiscatella.bsky.social) 2025年11月4日 23:28
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配信プラットフォームの多様化と課題
調査結果の「Where are PC Games Sold?(現在PCゲームはどこで販売されているのか?)」のセクションでは、Steamが主流であるとしつつも、配信プラットフォームが多様化していることに言及しています。
レポートでは48%の開発者がEpic GamesストアやXboxのPCストアでタイトルを配信しているとし、さらに10%の開発者はGOG、8%はitch.ioを利用しているとのデータが示されています。また、なかには物理メディアでの販売やマーケットプレイスを利用するデベロッパーも。
そのほか、中国や東ヨーロッパ、ラテンアメリカなどの地域では非常に大きな市場があるものの、Steamよりもローカルのプラットフォームの方が信頼性など複数の側面で優れていることをgamesradarは指摘しています。
「Key Challenges in Selling PC Games(PCゲーム販売における主な課題)」のセクションでは、基本プレイ無料タイトルの台頭と、発見性の低さが課題として挙げられています。現在Steamでは1日に約48本のゲームがリリースされ、最近では急増するケースも増えているようです。
結果的に市場は飽和状態となり、リリースしたタイトルが“埋もれてしまう”ことも。それにより、ゲームを見つけてもらうためのマーケティングにかかる費用が膨れ上がってしまう、という問題点も言及されています。

「The State of PC Game Distribution(PCゲーム配信の現状)」はRokkyの公式サイトより全文を確認できます。









