“第3のゲームエンジン”Godotはどこへ向かうのか―Godot Foundation×CRI・ミドルウェアが語る日本展開と協業の狙い【CEDEC2026】 | GameBusiness.jp

“第3のゲームエンジン”Godotはどこへ向かうのか―Godot Foundation×CRI・ミドルウェアが語る日本展開と協業の狙い【CEDEC2026】

急成長を続けるオープンソースエンジンの責任者と、Godot完全対応を発表した「CRIWARE」のキーパーソンが、協業の狙いと日本市場攻略、生成AI時代の展望を語りました。

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CEDEC2026会期中に行われたインタビューの様子
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  • 及川直昭氏
  • インタビューの様子
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2023年のUnity料金改定騒動を一つの契機に、オープンソースのゲームエンジン「Godot」が“第3のゲームエンジン”として存在感を急速に高めています。GDCの調査レポート「STATE OF THE GAME INDUSTRY 2026」ではUnreal Engine(42%)、Unity(30%)が依然として2強を占めるものの、汎用エンジンとしてはこの2つに次ぐ選択肢としてGodotの存在感が増しており、ダウンロード数は2026年2月時点で200万規模に達するなど、海外を中心に採用が拡大。Global Game JamやGMTK Game Jamといった開発イベントでは、参加者の3割以上がGodotを使用するまでになっています。

こうしたなか、国内の音声・映像ミドルウェア「CRIWARE」を展開するCRI・ミドルウェア(以下、CRI)は2026年7月8日(水)、Godotへの完全対応を発表しました。10,000以上のゲーム向けライセンス実績を持つ国内大手ミドルウェアの参入は、日本におけるGodot普及の大きな転換点になり得ます。

本誌は、CEDEC2026会期中の7月24日(金)、共同講演「Godot Engineにおける外部ツールの活用とGodot Foundationの日本展開」に登壇したGodot Foundationのエグゼクティブディレクター、エミリオ・コッポラ氏と、CRI・ミドルウェア常務執行役員の及川直昭氏にインタビューを実施。Godotの現在地、両社協業の狙い、そして各エンジンで対応が進む生成AIへのスタンスを聞きました。

Godot Foundation

Godotの開発を支援するためオランダに設立された非営利団体。Godotは2014年にオープンソース化されたMITライセンスの2D/3D両対応ゲームエンジンで、軽量な設計と独自スクリプト言語GDScriptを特徴とし、世界中のボランティアコントリビューターによって開発が続けられている。

エミリオ・コッポラ(Emilio Coppola)氏

Godot Foundationエグゼクティブディレクター。アルゼンチン・ブエノスアイレス出身、スペイン・バレンシア在住。Web開発やスタートアップでの経験を経て、ボランティアとしてGodotコミュニティに参加。新規ユーザー向けのチュートリアルや教育コンテンツの制作と、エンジン本体へのコントリビュートを重ね、財団設立後は運営のトップとして資金管理からコミュニティ支援、普及活動までを率いる。

CRI・ミドルウェア

2001年設立。サウンドミドルウェア「CRI ADX」、ムービーミドルウェア「CRI Sofdec」を中核とする「CRIWARE」を国内外のゲーム開発会社に提供しており、ゲーム分野のライセンス実績は累計10,000本以上。2030年にゲーム事業全体で売上30億円規模という目標を掲げ、海外展開の強化を進めている。

及川直昭(おいかわ・なおあき)氏

CRI・ミドルウェア常務執行役員。同社でゲーム事業推進部部長、営業本部長などを歴任し、2024年10月の機構改革ではグローバル事業開発室長に就任。「CRIWARE」の全世界展開を主導する立場から、海外カンファレンスへの出展やGodot Foundationとの協業を推進する。ゲーム開発者向けイベント「GTMF」の運営にも携わる。

ボランティアから財団のトップへ―Godot急成長の内側

――まず、コッポラさんとGodotとの関わりを教えてください。

エミリオ・コッポラ氏(以下、エミリオ)私はGodot Foundationのエグゼクティブディレクターを務めています。最初はボランティアとしての参加で、新規ユーザー向けの教育コンテンツやチュートリアルを作りながら、エンジン本体にもコントリビュートしていました。プロジェクトが成長していく過程で、次第に組織運営の役割を担うようになり、今に至ります。

――Godotは今、かつてないほど注目されています。ここまでの流れを改めて聞かせてください。

エミリオ大きな転換点はGodot 3からGodot 4への移行でした。かつてはユーザー数も限られていて、誰がどんなゲームを作っているのか、コミュニティ全体をほぼ把握できていたんです。しかしGodot 4以降はユーザーが爆発的に増え、全員を把握することはもはや不可能になりました。だからこそイベントなどで直接会ってフィードバックを集める努力をしていますし、大型タイトルのリリースを支援する体制も整えつつあります。以前はインディーゲームがほとんどでしたが、今はより大きなスタジオがGodotを採用するようになっています。これは私たちの優先順位やコミュニティから求められることを大きく変えるもので、現在取り組んでいる課題の多くは、この“成長への対応”だと言えます。

――CEDEC2026を見ても、ゲームエンジンでの開発はもう当たり前になりました。GodotはUnityやUnreal Engineに並ぶ存在を目指すのか、それともインディーや草の根の開発者に軸足を置き続けるのか。どちらが目標なのでしょうか。

エミリオ財団としての最優先事項は、あくまで「今いるユーザーを支えること」です。成長は目標ではなく、ユーザーがGodotを気に入って周りに勧めてくれた結果として起きるものです。今はGodotでゲーム作りを学んだ人たちが、人気ゲームの開発者に育ちつつあります。UnityやUnreal Engineと直接競合するつもりは最初からありません。そもそも私たちにはそのスケールがありませんし、AAAや大型予算の市場を追いかけること自体に関心がないんです。ただ、望むと望まざるとにかかわらず、結果として並び立つことは起きるかもしれません。

象徴的だったのは、Unityのライセンス料金改定の際に大量のユーザーが流入してきたことです。彼らの多くは“無料版Unity”を期待していましたが、Godotはそういうものではありません。GodotはGodotであり、私たちはそれを守りたい。幸い、多くの人がその在り方を気に入ってくれているので、これからもGodotをより良くすることに集中します。

「エンジン以外のことをやると気が散る」―非営利を貫く理由

――今のポジションなら、もっと資金を集めてビジネスとして拡大していく発想もあり得ると思います。なぜそちらに行かないのでしょうか。

エミリオエンジン以外の多くのプロダクトを抱えると、本質から気が散ってしまうからです。他のエンジン会社は、ゲームや広告ネットワーク、マルチプレイヤーサービスなど、さまざまな事業を持っていますよね。私たちはそうした領域はコミュニティやエコシステム、つまり外部の企業に委ね、「ゲームを作るためのソフトウェア」という本丸に集中したいのです。財団という非営利の形を取っているのはそのためです。事業を多角化すれば、収益性の高い部門が組織の関心や方向性を支配するようになりかねません。私たちが今の品質を実現できているのは、エンジン開発だけに集中しているからだと考えています。

――改めて、日本の開発者に向けてGodotの技術的な強みを教えてください。

エミリオユーザーから最もよく聞くのは「とにかく軽い」ということです。ダウンロードして開けば、すべてが揃っている。容量は100MB以下で、何GBもダウンロードする必要はありません。アカウント登録も不要です。これは教育現場や、通信環境が十分でない地域では特に大きな価値があります。そして、あらゆるデバイスで動くこと。Windows、Linux、Macはもちろん、AndroidデバイスでもChromebookでも使えますし、Web上のエディターもあります。VRならMeta Quest上で直接ゲームを作ることさえ可能です。高性能なPCを持っていない人でも開発できる、この柔軟性が多くの人に届いている理由です。私たちは技術の最先端を追いかけること、つまり「最新・最高の機能」を競うことには関心がありません。搭載する機能はすべて安定していて、“今みんなが持っているデバイス”で確実に動くことを重視しています。これは開発初期からの賭けでしたが、ハードウェア価格が高騰し最新環境にアップグレードできない人が増えている今、ローエンド環境で動き続けてきたGodotの優位性として実を結んでいます。

言語の壁と日本コミュニティ―サイト訪問数は世界でも上位

――日本の開発者やコミュニティとは、現在どのようなコミュニケーションを取っていますか。

エミリオ東京のGodotユーザーグループが開催するミートアップには、私自身も何度か参加しています。通訳を介してではありますが、直接会って話を聞いてきました。

正直に言えば、言語の壁は私たちが乗り越えるべき最大の課題の一つです。実は、Godot公式サイトへの訪問数を国別に見ると、日本は世界でも上位に入るほど大きな存在なんです。それなのに、日本語のコンテンツはほとんど用意できていませんでした。ドキュメントの翻訳も不足していて、必要なサポートが行き届いていない。だからこそCRIとのパートナーシップは理にかなっています。私たちは欧州が拠点で、日本の開発者が何を必要としているかを理解するのは容易ではありません。そのギャップを埋める手助けをしてもらえるからです。

――現在、日本に支部のようなものはあるのでしょうか。

エミリオありませんが、日本には素晴らしいGodotのコミュニティが存在しています。エンジンにコントリビュートしてくれている日本の開発者もいて、たとえばアニメーションシステムを長く担当しているコントリビューターは京都在住です。ただ、財団としての法人はオランダにあり、メンバーはカナダ、欧州各国、南米など世界中からリモートで働いています。日本に拠点を持つ人間はいないんです。

海外イベントでの出会いから始まった協業

――今回のパートナーシップは、どのような経緯で生まれたのでしょうか。

及川氏(以下、敬称略)GodotとCRI・ミドルウェア、それぞれに課題があったんです。CRIの製品群は日本では広く使われていますが、海外にも広げていきたいという課題をずっと抱えていました。ここ数年、世界各地の展示会に出展するなかで、Godotのカンファレンス「GodotCon」を始め、海外のイベントでGodot Foundationの方と話す機会があったんです。Godotは逆に、これから日本で広がっていきたいという課題を挙げていた。そこをCRIが受け持つことで、エコシステムの加速に貢献できると考えました。「CRIWARE」がGodotに対応するのはもちろんですが、それだけではなく、日本のGodotユーザーを弊社がサポートしていくことで、非常に良い循環が生まれると思っています。今のGodotコミュニティは、ユーザー同士の互助でサポートが成り立っている面があります。それ自体は悪いことではありませんが、日本のゲーム会社が業務でGodotを採用しようとしたとき、商用レベルのサポートがないとやはり難しい。そこをCRIが受け持つのは、私たちにできることの一つだと考えています。パートナーシップについては、しかるべきタイミングで改めて発表することになると思います。

――単にミドルウェアとして対応するという話にとどまらない、ということですね。

及川もう少し踏み込みたいと思っています。

――Godot側は、CRIさんから「一緒にやりましょう」と言われたとき、率直にどう感じましたか。

エミリオ最初は、一緒に何ができるのか正直わかりませんでした(笑)。というのも、企業からアプローチを受けるときは大抵、財団が提供していないこと――ゲーム開発の受託や移植などを依頼されるケースが多いんです。ですからどんな協業の形があり得るのか、興味深く感じました。お互いの組織が抱えるギャップと、それをどう補完し合えるかを話し始めてからは、非常に理にかなった座組だとわかりました。国際的なイベントで顔を合わせる機会も多かったので、細部を詰める時間も十分にありましたね。

「完全対応」で何が変わるのか

――「CRIWARE」の「Godot完全対応」とは、既存ユーザーからすると、エンジンをGodotに変えても今までと全く同じように扱える、というイメージでしょうか。

及川まさにそういうことです。CRIのオーディオとビデオのツール群が、他エンジンと全く同じように動きます。「ちょっとGodotを試してみようかな」と思ったとき、いつもと変わらない形ですぐに入っていける。これがCRIの強みです。

――先日、CRIの櫻井さん(代表取締役専務の櫻井敦史氏)のセッションでは、ミドルウェアでできることが増える一方、ゲームエンジン側の機能拡張も進み、「ミドルウェアがエンジンに組み込まれていく」可能性が語られていました。エンジンを作るGodotとミドルウェアのCRIが組む今回、究極的には「CRIWARE」の機能がGodotに組み込まれる世界を目指すのか、それともミドルウェアはあくまで別であり続けるのか。どちらでしょうか。

及川エンジンの中に入っていくという考え方もあり得るとは思います。ただ、あえてエンジンの外側にいることの自由度が大事だと考えています。ユーザーの選択肢の一つであり続けること。そして外側にいるからこそ独自の進化ができ、その成果をGodotだけでなく、その成果を全ての開発者にフィードバックしていくことができる。ミドルウェアのスタンスはこれが大切だと考えています。

――Godotは非営利で運営されていますが、開発資金はどう調達し、持続可能性をどう担保しているのでしょうか。ユーザーコミュニティに対して「開発はちゃんと続く」と説明する必要があると思います。

エミリオ資金源の柱は寄付です。財団を正式に立ち上げて以来、寄付額は毎月増え続けていて、減少に転じたことは一度もありません。おかげでチームを拡大できましたし、今回のようなパートナーシップやスポンサーシップも加わって、開発者をさらに雇用できています。そしてオープンソースであることの強みは、最悪のシナリオへの備えにもなります。仮に財団が資金難で存続できなくなったとしても、エンジンを手にしている人は全員がその“所有者”です。必要ならC++開発者を雇って自分たちで改良し続けられる。これは他のエンジン会社では得られない保証です。だからこそ、Godotでヒット作を出したスタジオが「開発を続けてほしい」と寄付してくれる。ユーザーやエコシステムとの良い関係を保ち続ける限り、このプロジェクトは非常に長く続くと考えています。

――なるほど。一方のCRIは営利企業です。このパートナーシップのビジネス的なメリットをどう見ていますか。

及川もちろん企業ですから、ビジネス面のメリットを見据えています。ミドルウェアのユーザー数を増やし続けなければならないのは、プロの開発者でもインディーでも同じです。海外展開に課題を抱えるCRIから見ると、海外の熱量の高いインディー開発者はGodotエンジンに注目しているように思えます。早期に「CRIWARE」が対応していくことで、海外ユーザー増加を目指していきたいです。一方で、日本でGodotが広がれば、我々の現在のお客様であるプロのゲーム会社もGodotを使うようになっていくはずです。そこへ早く対応しておくことで、海外と日本、両方のビジネスを広げていきたい。そういう狙いです。

オープンソースと商用ソフトの共存

――営利企業であるCRIとの協業は、非営利・オープンソースという立場からどう捉えていますか。

エミリオこれまでもゲーム業界の多くの企業と協業してきました。私たちの目的は、ゲーム開発者が必要とするものをすべて揃えることですが、それがオープンソースのモデルに収まりきらないことも理解しています。たとえば動画再生です。ゲーム内で特定形式の動画をエンコード・再生するにはコーデックのライセンスが必要で、オープンソースプロジェクトの立場ではどうしても提供できない領域があります。開発者が必要としていて、企業は提供できて、私たちにはできない。そういう場面では、ギャップを埋める方法を一緒に見つける必要があるんです。また、私たちが立ち上げたアセットストアでは、企業に自社ツールを提供してもらいたいと考えています。開発者向け製品を作っている企業と話すと、「Godotユーザーにどこで売ればいいのかわからない」と言われることが多い。商用側の受け皿はまだ新しく整備の途上ですが、オープンソース組織として全部を自前でやり続けることはできません。だからこそ協業相手を探すのです。

――日本のゲーム業界に食い込んでいくために、CRI以外も含めて、今後どのようなパートナーと組んでいきたいですか。

エミリオまずはユーザーが何を必要としているかを知ることからです。足りないものが見えてくれば、どの企業と組むべきかも見えてきます。現在進めている取り組みとしては、コンソールメーカーとのギャップ解消があります。ソニーや任天堂と、各プラットフォームでのゲームリリースをもっと簡単にできないか対話を続けています。今はコンソール向けの出力に別の会社を経由する必要がありますが、財団がすべてのユーザーに無償で提供できる方法を模索しているところです。日本はゲーム産業における非常に大きなプレイヤーであり続けてきましたが、私たちはまだ新参者です。将来何が必要になるかを断言はできませんが、パートナーは探し続けます。最近ではディー・エヌ・エー(DeNA)が開発基金のコーポレートスポンサーに加わってくれました。これは彼らが関心を持つモバイルでのC#改善に役立てられます。こうした動きは今後も続くでしょう。資金提供の機会があれば素晴らしいですが、そうでなくても協業として、ギャップを埋める方法を探し続けます。

生成AIには「様子見」―ユーザーが求めていないものは作らない

――今回のCEDECでは、あらゆるジャンルのセッションでAI活用が語られています。UnityもUnreal Engineも、自然言語のプロンプトからある程度ゲームを作れる世界観を目指しているように見えます。Godotは生成AIに対してどういうスタンスですか。

エミリオ私たちは何かを作る前に、必ずユーザーに「何が欲しいか」を聞きます。そして今のところ、ユーザーの間に生成AIへの強い関心はありません。一方で、コード補助の領域ではプラグインの活用が広がっていますし、AIエージェントと組み合わせてGodotを使う方法もいろいろ登場しています。この種の使い方は求められてもいるし、受け入れられてもいる。Godotはソースコードが公開されていて、プロジェクトのすべてがテキストファイルです。AIシステムはプロジェクトの中身もエンジンのソースコードもすべて読めるので、精度の高いコードを生成しやすい。AIとの統合という意味では、構造的に相性が良いんです。ただし、3Dモデルやアセットの生成については、ユーザーの関心をほとんど見ていません。既存の生成AIツールは他のエンジンと同じようにGodotでも使えますし、プラグインを入れればエディター内でも動きますが、標準搭載はしていません。コミュニティが本当に求めるようになれば取り組みますが、それまでは推移を見守ります。

――CRIさんはどうでしょうか。どこまでAIに対応していくのか、社内でどんな議論をされていますか。

及川現時点では、生成したコードなどを製品に直接組み込むことはまだ難しいと考えています。では今どうしているかというと、研究は進めつつ、当面はテストなどの領域でAIを活用していくところからのスタートだと思っています。OSSやクラウドが徐々に受け入れられるようになったのと同様に、業界の風向きが変わる可能性はあります。昔はダメだったことが今はOKになっている例は結構ありますから。ただ現状は知的財産や品質、安全性の観点から各ゲーム会社も見合わせる方針を取っています。ミドルウェアもそこに沿っている状況です。今後変わってくれば何かを取り入れることはあるかもしれませんが、現在は製品に入れていません。

12月には「GodotCon Tokyo」開催へ―アジア初

――最後に、今後日本のゲーム業界に対して両社でどんな価値を提供していくのか、意気込みを聞かせてください。

エミリオCEDECのセッションに加えて、東京ゲームショウ2026(TGS2026)にも一緒に出展し、Godot製ゲームを紹介する予定です。そして12月には「GodotCon Tokyo」を開催します。アジアで開催する初のGodotConで、これもCRIの協力があってこそ実現するものです。ミドルウェア開発者向けイベント「GTMF」(GameBusiness.jpを運営するイードが主催)にも参加します。こうしたイベントに出続けることで、日本の開発者と直接つながり、「私たちはここにいる、話を聞きたい」と伝えたい。皆さんが何を求めているのかを正確に知りたいんです。来年にはさらに大きな展開をお見せできるかもしれませんが、今はまだ第一歩を踏み出したところです。

及川これから先もさまざまなイベントでご一緒していきます。GodotConは世界中で開催されていますが、東京開催はCRIがかなりお手伝いをして一緒に作っていく予定です。もちろん既存の日本のGodotコミュニティの皆さんとも連携し、ここを盛り上げていくことで、エコシステムが回り始めると考えています。エミリオさんからもお話いただいたように、CRIも運営に参画している「GTMF」が12月に開催されます。開発会社やソリューション企業が集まるこのイベントの日程に合わせる形で、GodotCon Tokyoを東京で開催しようと今準備を進めているところです。直近ですとTGS2026もありますし、いろいろなイベントで、一緒に露出を増やしていきたいですね。

インタビューを通じて印象的だったのは、両者の姿勢が対照的でありながら、きれいに噛み合っていることです。「成長は目的ではなく結果」と言い切り、エンジン開発だけに集中する非営利のGodot Foundation。その思想ゆえに手が届かない商用サポートや動画コーデック、そして日本語圏対応という“ギャップ”を、営利企業であるCRI・ミドルウェアが海外展開という自社の課題解決と重ねて埋めにいく。オープンソースと商用ミドルウェアの補完関係を体現するモデルケースと言えるでしょう。

ソニーや任天堂とのコンソール対応協議、DeNAのスポンサー参加、そして12月のGodotCon Tokyo開催と、日本市場を巡るGodotの動きはこの1年で一気に具体化してきました。国内ゲーム会社にとって、Godotは「情報が少なく、サポートが不安な海外製OSSエンジン」から、「商用サポート付きで検証可能な現実的選択肢」へと変わりつつあります。エンジン選定の再考を迫られる場面は、今後確実に増えていきそうです。

取材/執筆:宮崎 紘輔,撮影:小原聡太》

取材/タンクトップおじさん 宮崎 紘輔

Game*Spark、インサイドを運営するイードのゲームメディア及びアニメメディアの事業責任者でもあるただのニンゲン。 日本の新卒一括採用システムに反旗を翻すべく、一日18時間くらいゲームをしてアニメを見るというささやかな抵抗を6年続けていたが、親には勘当されそうになるし、バイト先の社長は逮捕されるしでインサイド編集部に無気力バイトとして転がり込む。 偶然も重なって2017年にゲームメディアの統括となり、ポジションが空位になっていたGame*Sparkの編集長的ポジションに就くも、ちょっとしたハプニングもあって2022年7月をもって編集長の席を譲る。 夢はイードのゲームメディア群を日本のゲーム業界で一目置かれる存在にすること、ゲームやアニメを自分達で出すこと(ウィザードリィでちょっと実現)、日本武道館でライブすること、グラストンベリーのヘッドライナーになること……など。

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