プレイヤー体験を最優先に。『NINJA GAIDEN 4』開発陣が語る、作る前に“頭の中で遊べる”バトルアクションの作り方【CEDEC 2026 セッションレポート】 | GameBusiness.jp

プレイヤー体験を最優先に。『NINJA GAIDEN 4』開発陣が語る、作る前に“頭の中で遊べる”バトルアクションの作り方【CEDEC 2026 セッションレポート】

アクションゲーム開発において、そう考えて実装と手直しを繰り返し、気づけばスケジュールが圧迫されている、という経験を持つ開発者は少なくないでしょう。本講演は、そんな開発の行き詰まりを避けながら、円滑かつ制度の高いゲーム開発のポイントを解説しています。

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プレイヤー体験を最優先に。『NINJA GAIDEN 4』開発陣が語る、作る前に“頭の中で遊べる”バトルアクションの作り方【CEDEC 2026 セッションレポート】
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「まずは作ってみて、確認してみてをやってみないと分からない」。アクションゲーム開発において、そう考えて実装と手直しを繰り返し、気づけばスケジュールが圧迫されている、という経験を持つ開発者は少なくないでしょう。アクションだけではなく、もしかしたらRPGでも、FPSでもほかのジャンルでも同様かもしれません。

そんな手戻りの多さに頭を悩ませる方に向けて、CEDEC 2026の講演「NINJA GAIDEN 4における忍ばないバトルアクションの作り方」では、プラチナゲームズが実践する「作る前に頭の中で遊べる状態にする」ための具体的な設計フローが語られました。

登壇したのは、プロデューサー・ディレクターの中尾裕治氏と、リードゲームデザイナー/コンバットディレクターの石川卓磨氏。本講演では、プレイヤーアクション、エネミー、ステージという3つの観点から、企画・仕様・調整の各フェーズで実践している考え方を解説。

本講演は、企業でチームを組んで開発する方はもちろん、インディーゲームなど一人や小さなチームで開発する方にとってもかなり役立つ解説がまとまっております。特に中尾氏の解説には、強い体験を作りつつ、そして円滑にゲーム開発を進めるための大事なことが語られています。

左から、中尾氏、石川氏。

コンセプトは感覚ではなく「体験」で書く。中尾氏が語る『NINJA GAIDEN 4』のブレない指針

まず中尾氏が紹介したのが、コンセプト設計の考え方です。『NINJA GAIDEN 4』では、全体コンセプトを「逆境・残虐・変化」の3語で、プレイヤーアクションの個別コンセプトを「繊細」と「大胆」の2軸で定めています。

ここで中尾氏が強調したのが、コンセプトには「爽快」「快感」といった感覚ではなく、ゲームによってどういう体験ができるかを書くべきだという点です。「体験を書くことで、作っていく仕様の1つ1つがコンセプトからずれてないかを確認するっていうことがすごくしやすくなる」といいます。筆者が読んできたゲーム開発のメソッドや指南書などでも中尾氏の「体験をまず書く」指摘と近い指摘は数多くみられるため、AAAタイトルでもインディーゲームでも普遍的に適用できる考え方ともいえるでしょう。

例として挙げられたのが、首を絞めるアクションと首を切り落とすアクションの比較です。前者はグロテスクではあるものの、ビジュアルとしては地味で残虐さが伝わりにくいため不採用に。後者は「スパッと気持ちよくいける」という点で、コンセプトである残虐性を体現しやすいため採用されたといいます。

「入れてみないとわからない仕様は存在しない」。手戻りを防ぐ3段階のシステム設計

続いてシステム設計にあたって中尾氏が最初に述べたのが、「実装して試す」というアプローチをなるべく避けるべきだという考え方です。「入れてみないとわからない仕様っていうのは正直存在しないと思ってます」とし、事前にじっくりシミュレートすることで手戻りを大きく減らせるといいます。

具体的な手順は3段階です。まず、アクションゲームのシステムを「基本要素」「応用要素」「発展要素」の3カテゴリーに分けてひたすら書き出します。基本要素はゲーム体験のサイクルを成立させる最低限の要素、応用要素は条件付きでテクニカルな要素、発展要素は途中で解禁される拡張要素にあたります。

次に、書き出した要素同士の関係性を整理します。特に「回避とガードはどう使い分けるのか」といった類似要素の役割分担を先に決めておくことで、後から要素の過不足に気づきやすくなるといいます。

最後に、これらを一つの「アクションサイクル」としてまとめます。基本要素のサイクルをまず書き、それを崩さないように応用要素、発展要素の順に足していくという流れです。『NINJA GAIDEN 4』では、弱攻撃・強攻撃・ジャンプ・ガード・回避などが基本要素と、特殊操作によるコマンド技が応用要素、ジャスト回避などの解禁技が発展要素にあたります。

さらに、できあがったサイクルを「時系列(右に行くほど気持ちよくなる)」と「難易度(下に行くほど難しくなる)」の2軸のマトリクスで捉え、右下に行くほどリスクとリターンが上がる設計になっていれば、面白いアクションサイクルだと判断できるという考え方も紹介されました。

攻撃そのものを作る工程では、まず技の構成をすべて書き出し、次に「性能」を書くことが重視されました。「こんな動きしたい」というモーションのイメージではなく、ゲームとしてどういう性能・効果を持つ技なのかを書くことで、想像とズレた動きが上がってくることを防げるといいます。

また、動きの指定については、モーションアーティストに委ねる方針が取られました。「モーションのプロの方ではあるので、性能をちゃんと伝えた上でそれが叶う一番最高の形を作ってもらったほうがやっぱり最終的には品質が良くなる」とし、指定しすぎることで既視感のある動きになってしまうリスクも避けられるといいます。

カメラ演出を伴う必殺技などについては2種類に分け、攻撃範囲や発生フレームが明確なものは通常の攻撃と同じプロセスで、「滅却」のような動き自体が主役の演出技は、先に絵コンテを作ってから性能面のフィードバックを行うという使い分けが説明されました。

問題は“技”ではなく“条件”にある。作り直しを避ける仕様調整のポイント

仕様の調整段階では、3つのポイントが挙げられました。「問題を明確にする」「変更箇所を絞って考える」「作り直しはNG、オミットはOK」です。

中尾氏によれば「じっくりシミュレートして作ったアクションが、根本的に面白くないということは基本的にない」という前提のもと、「面白くならない原因は技の条件や制約側にあることが多い」といいます。そこで作り直しを避けるべき理由は、一つの仕様変更が組み上げたアクションサイクル全体に波及し、仕様の練り直しにつながってしまうためです。

たとえば、ある必殺技の設定に課題が見つかった場合、どのように対応するかというと必殺技そのものを作り直すのではなく、条件だけを変更する形で調整が重ねられ、仕様を洗練させていく形をとったといいます。また、面白さへの寄与が薄いとわかった要素については、こだわりを持たずに削る「オミット」の判断も重要だと述べられました。

この指摘は、やはり開発の手戻りをいかに避けながら、ゲームの精度を上げていく意味で大きなものでしょう。なにか開発中にゲームプレイの課題を発見したとき、イチから開発したものを作り直す判断をしがちですが、ここには少し立ち止まって検証するヒントがあると思います。

エネミー設計の主体はプレイヤー。石川氏が明かす“NINJA GAIDENらしさ”を生む敵AIの制御

最後にプレイヤーパラメータについて、ルールを先に決め、基準となるキャラクターを調整したのちにその他を調整するという流れが紹介されました。中尾氏は「プレイヤーのパラメータは開発序盤で真っ先に調整し、そこから動かさない」という方針を明かし、周辺要素である敵やステージ側を都度調整していくほうが後々スムーズになると説明しました。

続いて石川氏が、エネミー(敵)設計について紹介しました。『NINJA GAIDEN 4』のエネミー全体のコンセプトは「他のどれでもなくNinja Gaidenのエネミーであること」。種族ごと、さらに個体ごとにコンセプトを重ねる階層構造で設計されているといいます。

石川氏がここで強調したのが、エネミーはプレイヤー主体で考えるべきだという点です。「空を飛んで攻撃する雑魚」のようにエネミーの動き先行でコンセプトを立てると、空中での行動は作り込まれていても、プレイヤー側がどう対応すべきかが用意されないまま実装が進んでしまいがちだといいます。これに対し「地形を利用して戦う雑魚」のようにプレイヤー体験を軸にコンセプトを立てれば、攻略の誘導が自然と設計に組み込まれるとのことです。

攻撃設計についても、まず技数をコンセプトに応じて先に決め、その後は「役割」で攻撃を設計することが重視されました。同じ動きでも役割の違いで攻撃を整理することで、死に技や似た攻撃の重複を防げるといいます。

またAI設計では、同じ敵や同じ攻撃が連続しすぎないよう調整する「攻撃待ち時間」という概念が紹介されました。

個々の敵・個々の攻撃・遠距離攻撃それぞれに設定される「個別攻撃待ち時間」に加え、複数の敵が同時に襲いかかってくる際の「全体攻撃待ち時間」を、プラチナゲームズの他タイトルの4分の1ほどの時間に設定し、「NINJA GAIDEN」シリーズらしい容赦のない戦闘を作り出しているといいます。

プレイヤーへの攻撃がヒットした際の「攻撃ヒット待ち時間」についても触れられ、ボスの体力が減った際にこの待ち時間を解除することで、余裕がなくなり必死に攻撃してくるような緊張感の演出にもつながるとのことです。

このほか、画面外からの攻撃は難易度が上がりすぎないよう、画面内に入ってから攻撃を仕掛けるよう制御していることや、プレイヤーが壁際に攻め込みすぎた際にエネミーがステージ中央へ戻る挙動を仕込んでおくといった、ボス戦を成立させるための細かな調整例も紹介されました。

攻撃のランダム性についても言及があり、本編ではパターンを学習して上達を感じられるようランダム性を抑え、DLCではよりリアルタイム性の高い駆け引きを狙ってランダム性を増やすなど、難易度に応じた使い分けが行われたことも紹介されました。エネミーのパラメータ調整についても、基本的な流れはプレイヤーと同様としつつ、こちらは開発最終盤までディレクターやチームとの擦り合わせが続けられたといいます。

最後に両氏は、プレイヤーアクション、エネミー、ステージいずれの設計においても「先にゲームプレイを想像すること」が何より重要だと総括し、講演を締めくくりました。

《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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