ソニーはゲーム事業利益率が15%超に、関税の影響抑え通期営業利益500億円上乗せ【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

ソニーはゲーム事業利益率が15%超に、関税の影響抑え通期営業利益500億円上乗せ【ゲーム企業の決算を読む】

ソニーが好調な滑り出しを見せました。

企業動向 業績
ソニーはゲーム事業利益率が15%超に、関税の影響抑え通期営業利益500億円上乗せ【ゲーム企業の決算を読む】
  • ソニーはゲーム事業利益率が15%超に、関税の影響抑え通期営業利益500億円上乗せ【ゲーム企業の決算を読む】
  • ソニーはゲーム事業利益率が15%超に、関税の影響抑え通期営業利益500億円上乗せ【ゲーム企業の決算を読む】

ソニーグループが好調な滑り出しを見せました。

2026年3月期第1四半期(2025年4月1日~2025年6月30日)は4割近い営業増益。トランプ関税の影響額の試算値が下がったことにより、通期営業利益の見通しを従来予想から500億円上乗せしました。これにより、通期営業利益は期初予想の1兆2,800億円(前期比0.3%増)から、1兆3,300億円(同4.2%増)に引き上げています。

ゲーム&ネットワークサービス(以下ゲーム事業)は特に好調で、四半期の営業利益率は前年の7.5%から15.8%まで8.3ポイントも上昇しました。


サプライチェーンを中国から素早く移転したソニーの優れた手腕

2026年3月期第1四半期の売上高は前年同期間比2.2%増の2兆6,216億円、営業利益は同36.5%増の3,399億円でした。営業利益率は13.0%。ソニーは金融部門の切り離しを進めており、今期は金融事業を業績に含めていません。前期の第1四半期における金融事業を除外した営業利益率は9.7%でした。本業で稼ぐ力は3.3ポイント上がっています。

第2次トランプ政権が突然の高関税を発表した際、ソニーの株価は5%近く下がるなど、関税が業績に与える影響は甚大だろうと見られていました。ソニーも今年5月の決算説明会にてPlayStation 5の値上げを示唆。また、アメリカに生産拠点を移転する可能性にも言及していました。

結局、ソニーはヨーロッパやオーストラリア、ニュージーランドでゲーム機の値上げを行いましたが、アメリカの価格は据え置きました。ただし、製造拠点は中国から別の国に移転させたことを明らかにしています。アメリカに輸出するハードウェアは現在、中国国外から行っています。

アメリカと中国の関税交渉は難航しており、対中関税の一部を90日間延期することで8月11日に合意しました。しかし、基本税率10%とフェンタニル関税20%を加えた30%の状態は続いています。

ソニーの複雑かつ広範なサプライチェーンを中国から別の国に移転したスピード感と、迅速かつ的を得た経営判断は圧巻というほかありません。結果として、当初トランプ関税の影響を1,000億円と試算していましたが、700億円にまで抑え込むことに成功しました。それが営業利益の上方修正に繋がっています。

『DEATH STRANDING』の続編は苦戦気味か?

2026年3月期第1四半期のゲーム事業の売上高は前年同期間比8.3%増の9,365億円、営業利益は2.3倍の1,479億円に急拡大しています。ソニーはゲーム事業の通期売上高を期初予想から200億円引き上げました。自社以外のサードパーティーによるソフトが売上、営業利益ともに貢献しています。特に利益への影響は大きいでしょう。

補足資料より筆者作成

2025年もPlayStation用ソフトは良作に恵まれました。


《不破聡》

この記事の感想は?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら