【特集】SIE吉田修平氏が語る、これからのインディーとVRの形「供給体制は整えている」 | GameBusiness.jp

【特集】SIE吉田修平氏が語る、これからのインディーとVRの形「供給体制は整えている」

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【特集】SIE吉田修平氏が語る、これからのインディーとVRの形「供給体制は整えている」
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今年も京都・みやこめっせで行われたインディーゲームの祭典「A 5th of BitSummit」。学生や個人の出展はもちろんのこと、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)も大きなブースを構え、多数のインディータイトルを展示。今回、SIEワールドワイド・スタジオの吉田修平プレジデントにインタビューを実施、これからの「インディー」の在り方とPlayStation VR(PS VR)の未来について話を伺いました。

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――本日は宜しくお願いします。今年のBitSummitの雰囲気はどうでしょう。

吉田修平氏: BitSummit自体は今年で5年目ですよね。私はインディーゲームが好きなので今回で3回目の参加になります。BitSummit開催3年目からセッションに呼んで頂いて、PlayStationのインディーの取り組みについてプレゼンをさせてもらっています。当初びっくりしたのが、海外のデベロッパーやメディアさんが多く来ていますし、運営やコアとなっている京都のインディーデベロッパーの半分ぐらいが海外組なんですね。日本にいながら国際的なインディーゲームイベントができている、というのは非常に珍しくて不思議な感じです。私が一番好きなのは東京ゲームショウのインディーゲームコーナーなんですが、インディーの人たちって作り手の人たちがそこにいるので、ゲームをやってわからないところを聞いたりとか実際にお話できるんですね。作り手と会える、そこがすごく面白いですね。全く知らないゲームでも「なんじゃこりゃ!」というようなものも見つけられる、子供が遊園地に来たような気持ちになれますね。

また、毎年出展されているゲームのクオリティが上がってきている感じがしていまして、ほとんどのゲームがそのままリリースできるようなレベルで作り込まれています。インディーのなかでもプロというべきような、厳選されたタイトルが出ていると思います。BitSummitの人気が出てきているので、出展したいデベロッパーも増えているのではないでしょうか。展示されているゲームを見ると刺激になるし、ちょっとメジャーなインディーイベントというポジションになっていると思います。

――昨年もそうですが、VR関連が多い印象があります。

吉田修平氏: 今年出ているVRはちょっと洗練されていますね。インディーVRの中で短期間で作り上げたというよりは、経験を積んで熟れたような作品が多いように思います。


――学生の出展も多いと思いますが、クオリティが上がっているように感じます。

吉田修平氏: 同感です。ミドルウェアも充実してきていて、学生さんでもUnityやUnreal Engineを活用して、ちょっとプロフェッショナルで、クオリティが高いものも作れるようになっていますね。

――ゲーム作りました、だからイベントに出展するというのではなく、質が高いものや尖ったものも多いですね。

吉田修平氏: 私も紙飛行機を飛ばすタイトルをプレイしたのですが、投げた後に少しだけコントロールできるんですよ。ぱっと投げて的に当てるだけなんですが、割と思うように動かせて、すごくよく出来ているなと思いました。

――コントローラだけでなく手や頭を使うゲームが増えているなと思います。

吉田修平氏: そうですね。うちで言えばPS VRで来月発売する『Farpoint』があります。昨年はVR元年と言われていましたが、それはシステム導入の年始であって、今年はソフトの作り手が慣れてきて、新しい工夫が出てくる年だと思います。


――個人の方含めて、ゲームを乗せるプラットフォームにみなさん対応しているなと感じています。逆にちょっとでも注目されないとすぐ埋もれてしまうような気がしますが、良い方法はないのでしょうか?

吉田修平氏: そうなんですよね。作り手の数が増えてくると、ゲームクオリティも上がります。プレイステーション ストアでも人の目に触れるところに置かれるタイトルの数には限りがありますよね。コンソールはもともとインディーの数が少なく、開発の敷居も高いので、自然とキュレーションされるためコンソールのストアだと目立ちやすかったのですが、最近はインディータイトルも増えてきたので、また埋もれてしまうことは私も気になっています。いいものを作って、次にまた行けるというのは重要だと思っています。いい作品を見つけてサポートすることはやっていかないといけないと思っています。

――BitSummitのPlayStationブースで、『パラッパラッパー』の列に並んでいた学生さんが「あのゲーム知ってる? 昔すごかったらしいよ」という会話を聞いて衝撃を受けました。

吉田修平氏: 『パラッパラッパー』は今年20周年ですね。初代PlayStationの頃のああいうゲームの作り方ってインディーゲームですよね。あの頃はソフトがCD-ROMに変わって、パブリッシャーがコストを削減してゲーム制作が出来るようになり、多くの新しいクリエイターが入ってきたんです。その人達がそれまでの作り方にとらわれずに新しいジャンルのゲームを出して来られたんですね。それはある意味、今で言うインディーブームの空気に似ているなと思います。

――ユーザーが面白いインディーゲームを探すコツはあるんでしょうか?

吉田修平氏: とにかくプレイステーション ストアにさえ来てくれれば、いいゲームは出ているし、インディーのタグもあるので目立つようにプッシュしているので、探す習慣がなくなっているように感じます。年々デジタルでゲームを買う人が増えてきていて、ディスクで50GBぐらいのデータのゲームでもデジタルで購入してくれる方もいます。

デジタルで買ったりとか、無料でもらえるからとプレイステーション ストアでダウンロードしてくれた人はまた来てくれるんですね。いつでも買えるし、ディスクがなくても遊べますし、実店舗で売ってないゲームもあるので、その人口を地道に増やさないといけないと思っています。その効果は少しずつ出てきていると思います。海外で数年前にインディーブームが来ていて、良いゲームがPlayStation 4(PS4)やPlayStation Vita(PS Vita)でも出ているのに、日本では発売されていなかったものがあるんですね。


海外ゲームを日本で出すためにはローカライズをしてレーティングを取得しなければならないですが、あまり売れない場合もあります。今は環境が変わってきていて、海外ゲームを日本で紹介してくださるパブリッシャーさんも増えてきて、日本一ソフトウェアのような会社さんも手を上げてくれたりとか、日本のメディアの方もインディーゲームコーナーを出してくださったりとかで、認知は上がっています。

海外デベロッパーのクオリティの高いゲームが、日本でも早い段階で出るようになってきています。PlayStationの場合だと、SIEJAにインディー担当のサポートメンバーがいたり、インディーゲームをカテゴリとして紹介するマーケティング、PR担当もいるので、やっていくしかないと思います。

――一発逆転はないんですね。

吉田修平氏: 地道にやっていくしかないと思います。でもヒット作品やヒーローが生まれるということは、非常に大きなステップになります。『Downwell』のMoppin君が出てきたり、日本人が作ったインディーゲームが世界でヒットするのはすごく良い話です。学生あがりでMoppin君のような人や同人でずっとやられていた人たちがプロとしてコンソールで出すという流れもいいです。やっぱり積み重ねですよね。最近は海外のメジャーなイベントのアワードをインディーゲームが取っていて、ビッグタイトルと並ぶような形で扱われているので、そういうものが増えてくると思いますね。普段忙しいユーザーでも、短いゲームで3時間ぐらいで一通り味わえるというのは手頃で、デジタルゲームの良さだと思いますよ。

――多くのインディータイトルがSteamとのマルチプラットフォームですが、「PlayStationならではのインディー」という方向性はあるのでしょうか?

吉田修平氏: 私はその必要はないと思います。Steamで評判が良くて次はPlayStation、コンソールに行こうというので良いと思います。デベロッパーの人と話すと、それが1つのステップになっているのもあります。コンソールでゲームをプレイする人って、多くの場合コンソールのみでしかプレイしないと思うんですね。先にSteamで出ていても、あぁこれがPS4やPS Vitaで出るんだ、というぐらいでいいと思います。メジャーなタイトルと違ってクオリティがわかりにくい場合もありますし、デモが必ずダウンロードされるわけでもないので、Steamでヒットしたという評判があれば参考になります。


――SIEとして、インディーのサポート体制は変わってきていますか。

吉田修平氏: PlayStation 3の後半ぐらいからかなり力を入れていて、特にPS Vitaはインディーゲームを遊ぶのに非常に適しているプラットフォームだったので注力しました。PS4では、その流れの中で最初から大事なカテゴリになっています。最近だと日本で力を入れてきたというのが正しいところで、欧米に関しては変わっていないです。今はVRですね、新しいメディアですし、インディーデベロッパーにとっては大きなチャンスです。インディーがVRで面白いものを作ったら目立ちますよね。

『Job Simulator』を開発したOwlchemy LabsがGoogleに買収されたニュースもありました。ちょっとしたサクセスストーリーみたいなものも出てきています。SteamやViveなどでリリースしても目立つのが難しいですが、VRの方がまだ数が少なく、全く新しいものを大手が作る前に作れるというのは大きいです。今であれば少人数でも戦えるような市場になっていると思います。

日本のSIE開発サポートチームがいくつかのデベロッパーにリソースを提供して、試作プロトタイプの制作までフォローアップするという取り組みもずっとやっています。普通のPS4ゲームなどではそこまではやらないので、VR方面ではそういう意味で力を入れています。

――PlayStation VR本体の供給体制はいかがでしょう。

吉田修平氏: 増やしていますよ。去年発売前に想定していたラインを軽く超えていて、途中で生産量も増やしています。そういう意味では大成功なんですが、日本でこれだけ手に入らないというのは良くなかった点で、反省しています。

毎月1回、出荷日ごとに朝ツイートされるユーザーさんをチェックしていたんですが、3月までは3~4人、5人に1人ぐらいしか抽選に当たっていなかったんですが、4月以降は買えた人がかなり増えた印象を受けています。需要があるとわかってから供給に追いつくまでに時間がかかっていますが、欧米では追いついてきていますし、日本でももうすぐ追いつけると思います。

―――わかりました。本日はありがとうございました。

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インディーゲームおよびPlayStation VRの未来について語ってくれた吉田プレジデント。どのようにゲームマーケットを構築していくのか、SIEの今後の動きに注目です。
《編集部》

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