インディーゲームパブリッシャー3社が語る「開発者のここを見て契約します」【IDC2025レポート】 | GameBusiness.jp

インディーゲームパブリッシャー3社が語る「開発者のここを見て契約します」【IDC2025レポート】

インディーゲーム開発者向けのカンファレンス「Indie Developers Conference 2025」にて、「PLAYISM」「room6」「講談社ゲームラボ」の代表者たちが契約のポイントを語ってくれました。

ゲーム開発 インディー
インディーゲームパブリッシャー3社が語る「開発者のここを見て契約します」【IDC2025レポート】
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「インディーゲーム開発者がいま何を知りたいと思っているか?」…そんな着眼点からPLAYISMの水谷俊次氏がゲストを決定したという本公演「パブリッシャーはインディーゲームのどこを見て契約を決めるのか?座談会」

2025年11月15日(土)に「esports 銀座 studio」で開催されたインディーゲーム開発者向けのカンファレンス「Indie Developers Conference 2025」(以下、「IDC2025」)に有名パブリッシャー3社の代表者が登壇。インディーゲーム開発者の誰もが知りたいと思っていることを題材としたセッションが実施されました。

登壇者は、PLAYISM代表の水谷俊次氏、room6の代表取締役である木村征史氏、講談社・第四事業本部クリエイターズラボ「ゲームラボ」の総合チーフである片山裕貴氏の3名。

インディーゲーム開発者にとっては心強いスポンサーでありパートナーである各パブリッシャーが、インディーゲーム開発者のどこを見て契約に乗り出すのか? ざっくばらんとした座談会形式で、得るものしかなかった本公演をレポートします。

登壇者左より、「PLAYISM」水谷俊次さん、「room6」木村征史さん、「講談社ゲームラボ」片山裕貴さん。スクリーンに表示された参加者一覧とは反対の並びです。

各パブリッシャーの特色は?

まずは本日登壇した、PLAYISMroom6講談社ゲームラボの特色の紹介です。

PLAYISMの在籍者数はおよそ25人。メンバー構成は多彩で、リリースプロデューサー、翻訳者、プログラマー、動画編集やバナー制作をこなすデザイナーなど。年間で17から18タイトルをリリースしており、パブリッシャーとしては一般的な業務をひと通りこなします。

もともとローカライズ専門の会社だったため翻訳の精度が長所でしたが、現在は社内開発チームによる移植作業やデバッグなどもこなします。ただし開発チームを持っているとは言っても自社オリジナルゲームをリリースする予定はなく、あくまでパブリッシャーとしてインディ―ゲーム開発者のサポートをすることが目的です。

room6はゲーム開発も手がけるパブリッシャーで、所属メンバーは7名ほどとという小規模の運営。内訳は、フルタイムで広報とパブリッシングを担当する人員が5名、パートが2名。キャッシュが潤沢ではないことから予算を大量投入とはいかないものの、月々の生活費のサポート程度であれば問題なくできるといいます。

年間リリースタイトルはおよそ1本から2本ですが、2025年は4本をリリースしました。準備中のタイトルも多く、今後そちらの動向によっては年間リリース数が増える可能性もあります。

他のパブリッシャーにはない特色としては、自社の開発チームを持っておりゲーム開発もしているところ。また「ヨカゼ」というインディーゲームレーベルも運営しており、通常はroom6のパブリッシングとなりますが、「ヨカゼ」レーベルのカラーに合ったインディーゲーム作品であれば「ヨカゼ」のレーベルからリリースします。

「ヨカゼ」についてはリリースするゲームの傾向を揃えており、ブラント化することでサポートしたインディーゲームをユーザーの目につきやすい状態にするという意図も含まれています。

講談社ゲームラボは、講談社の新規事業として立ち上げられた「クリエイターズラボ」のゲーム部門。チームメンバーは10人ほどで、それぞれマンガ編集者や小説編集者の出身という、書籍編集部に近い体制となっています。

年間リリース数は5本から6本。Steamが中心であるものの、ニンテンドースイッチやプレイステーションへの移植がある際はもう少しリリースタイトルが増えます。

特色はやはり編集部出身の人材がパブリッシャーをしていること。インディーゲーム開発者と並走する形で編集者の知見を活かしたり、必要な人材をインディーゲーム開発者に紹介したりすることも可能です。

また講談社のIPが使用できることも大きな強みでしょう。ただし日常的にIPの使用を許可しているというよりは、原作者がゲームに興味を持っており、なおかつIPを扱うことでそのゲームクリエイターが真価を発揮すると判断した時に講談社ゲームラボから打診があるという、限定したケースとなります。『ザ・ファブル Manga Build Roguelike』がまさにそのゲームタイトルであり、講談社ゲームラボからMONO ENTERTAINMENTに提案し実現した企画でした。

今回のセッションでトークテーマとなった3つの要素。なお各要素はここからさらに細分化されます。

パブリッシャーが支援を決める基準とは?

パブリッシャーがインディーゲーム開発者の支援を決める際、いきなり「ここに決めた!」となることはなく段階的に理解を深めていきます。まずは資料を送ってもらい全体の把握を。そして独自の視点でそのゲームや開発者を見て支援の可否を決定します。

それでは実際に、どのような資料をもとに検討がされるのか?目を通す資料は「作品ピッチ資料」と「Vertical Slice」。さらに「開発者自身」も対象です。

「作品ピッチ資料」には上記様々な要素があります。
「Vertical Slice」について。

まず「作品ピッチ資料」は、こちらはゲーム詳細、開発体制、開発スケジュールなどの基本的な資料のこと。どのようなコンセプトでゲームを開発し、どのような開発規模とスケジュールで作業し、どのようなユーザー層にどれだけ販売できると考えているのか。企画書と販売計画書をミックスしたような資料となります。

「Vertical Slice」は実際のゲーム本体となり、いわゆる「デモ版」「アルファ版」に近いもので、完成版に近いクオリティーのサンプルとなります。

本セッションはそれらの要素をさらに細かく解説し、パブリッシャー各社で異なるだろう注目ポイントを座談会形式でトークするというもの。つまりここからが本番です。

「作品ピッチ資料」のどの部分に注目するか、その一部をピックアップして登壇者がそれぞれの意見を述べます。

「作品ピッチ資料」でroom6の木村征史氏が特に注目しているのは、ストーリー・世界観・キャラクターについて。room6ではサポートするゲームジャンルの傾向が決まっており、たとえば銃を撃ちまくるFPSや刀でバッサバッサと切り倒すようなバイオレンスなテイストは避けているとのこと。それは代表の木村氏自身がなじみの薄いジャンルであるということもありますが、「ヨカゼ」の参加タイトルのように、作品世界やキャラクターを楽しむ、物語性の高いアドベンチャーゲームが好まれるようです。


《気賀沢 昌志》

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