株式会社Remediesは、株式会社講談社が文章校正AI「wordrabbit(ワードラビット)」APIを、講談社開発の校正支援システム「ごじとる」の文章校正エンジンのひとつに採用したと発表しました。
特化型AIが注目される背景
AI導入が各社で進む中、特定領域に最適化した「特化型AI(バーティカルAI)」への期待が高まっています。幅広い分野に対応する汎用AI(ホリゾンタルAI)とは異なり、限定された分野に深く入り込むことで高い精度と効率性を実現するのが特化型AIです。
こうした特化型AIが注目される背景には、特定業務において汎用AIが「合格ライン」に達せず、業務に深く入り込んでいくのが難しいという実情があります。実際、2022年のChatGPT登場からすでに3年が経ちますが、McKinsey & Companyの調査によれば「企業レベルでは大多数がまだ実験段階にある」ことが明らかにされています。
こうした状況に対する一つの解とされるのが特化型AIです。特化型AIは特定領域の課題を掘り下げることで、汎用AIでは対応しきれない現場特有の複雑な要件を満たし、実運用に耐えうる高い信頼性を確保します。
出版業など、日本語の高い品質が求められる領域では、誤字脱字をはじめ、表記揺れ、固有名詞の確認など、品質維持のための多くの業務が存在します。これらの業務の負担は大きく、出版や記事公開のリードタイムにも影響するため、業務効率化が望まれている部分です。「wordrabbit」はこうした校正業務に特化することで、汎用AIでは到達が困難だった、プロフェッショナルな現場で求められる水準の校正品質を実現し、編集者がより創造的な業務に注力できる環境を創出します。

講談社が選んだ理由
講談社編集総務局デジタル校閲部部長の大橋日登美氏は、次のようにコメントしています。
「校閲業務は、文字の職人ともいえる校閲者の地道な手作業によって品質を担保する仕事です。そんな職人芸である校閲業務が、じつはデジタルと非常に相性がよいことはあまり知られていないかもしれません」
「私たちが開発した講談社の校正支援システム『ごじとる』は、100年を超える講談社校閲部の知見をつぎ込んだシステムです。さらに、すさまじい勢いで発展するAIの時代を迎え、AIのポテンシャルを『ごじとる』に組み入れたいと考えました」
「ただ、一般的なAI商材は、いまだプロの校閲業務のすべてを任せられるものではありません。とくに問題となるのは、校閲者がもっともやってはいけない『間違った指摘をすること』を、AIが簡単にしてしまうことです」
「wordrabbitの特化型AIは、こうした問題をよく制御できていると感じました。『ごじとる』とは互いの長所を活かし短所を補えるうえ、基本的な設計思想も非常によく似ています。それが今回、wordrabbitを『ごじとる』のAIバックエンドに採用した理由です」
「すでに社内で高評価を得ていた『ごじとる』に、wordrabbitを組み合わせたことで、校正精度のさらなる向上が可能になりました。今後、講談社が発するすべての情報のブラッシュアップに、この校正支援システムを活用していきます」







