Steamは2025年6月に韓国政府からの要請を受けて、『Mount and Blade: Warband』のMod「the Gwangju Running Man」をSteamから削除したと報じられていましたが、実際はSteamは同Modに対して韓国国内からのアクセスを遮断したのみで、その後同Modは制作者によりSteamから削除されたと海外メディアPCGamerが報じています。
民族主義的な「歴史歪曲Mod」に韓国政府から削除要求、厳しい対処が行われる

『Mount and Blade: Warband』は、2010年に発売されたストラテジーアクションRPGです。本作自体は中世ヨーロッパ風の世界を舞台にしていますが、Mod制作が盛んに行われているタイトルでもあり、中には日本の戦国時代や、「スターウォーズ」の世界を舞台にしたModも制作されています。
「the Gwangju Running Man」もそうした『Mount and Blade: Warband』のModの1つでしたが、問題だったのはその内容です。同Modは1980年に韓国で発生した民主化運動「光州事件」を舞台にしたものでしたが、このModのストーリーは当時の独裁政権の権力者であった全斗煥の行動や政府軍の虐殺を肯定し、民主化運動側の犠牲者を中傷する、右翼による歴史歪曲的なものであったとPCGamerは伝えています。
2025年6月13日付の韓国のゲームメディアThis is GAMEの記事によると、韓国政府は3月の時点で該当Modへの国内からの遮断措置を取り、その後Steamへ同Modの削除を依頼、6月12日に削除されたとしています。
しかしながらPCGamerの2025年7月8日付の記事では、韓国政府のSteamへの依頼は韓国国内への対象のMod配布のブロックであり、削除自体はModの制作者自体によって行われたとしています。
メディアの報じる内容に多少の食い違いこそあれ、Steamが政府の要求に応じて特定のModのアクセスを遮断するというのはかなり珍しい例と言えます。基本的に自由奔放なスタンスを取っていると思われるSteamが政府の要求に応じたというこの出来事が、多くの海外メディアの注目を集めていることは改めて間違いないようです。