運営がひとつのコンテンツとして評価される時代がくる―『逆転オセロニア』と『ロマサガRS』に見るモバイルゲーム運営の未来 | GameBusiness.jp

運営がひとつのコンテンツとして評価される時代がくる―『逆転オセロニア』と『ロマサガRS』に見るモバイルゲーム運営の未来

2020年12月10日、LINEとSocial Game Infoは、ゲーム業界向けセミナー「『逆転オセロニア』『ロマンシング サガ リ・ユニバース』のキーマンに聞く、IP・オリジナルタイトルの立ち上げ/周年施策の舞台裏」をオンラインで共同開催しました。

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2020年12月10日、LINEとSocial Game Infoは、ゲーム業界向けセミナー「『逆転オセロニア』『ロマンシング サガ リ・ユニバース』のキーマンに聞く、IP・オリジナルタイトルの立ち上げ/周年施策の舞台裏」をオンラインで共同開催しました。セミナーでは、ディー・エヌ・エーのゲームプロデューサー・香城卓氏と、スクウェア・エニックスの「サガ」シリーズプロデューサー・市川雅統氏、アカツキの『ロマサガRS』プロジェクトリーダー・須河史朗氏が登壇し、人気タイトルの舞台裏が語られました。

価値観の変遷による運営チームのコンテンツ化

最初に登壇したのは、2021年2月でサービス5周年をむかえるモバイルゲーム『逆転オセロニア』でプロデューサーを務める、“けいじぇい”こと香城卓氏です。「これからは運営がコンテンツ化する時代になる」と最初に結論を語った香城氏は『逆転オセロニア』がたどってきた道のりを振り返りながら、その意図を説明していきます。

オセロをベースとした対戦ゲーム『逆転オセロニア』は、2020年12月10日時点で2,800万ダウンロードを誇りますが、配信開始当初から好調だったわけではなく、DAU(Daily Active Users)がリリース11カ月後から急激な成長を見せるという稀有な成長曲線をたどったゲームです。


同作を楽しむプレイヤーたちを「オセロニアン」と呼称する香城氏は、最初の11カ月間は一般的なプロモーションをまったくせず、全国各地で小規模なイベントを何度も行ってオセロニアン同士をつなげるコミュニティ作りに全力を傾けていたからだと語ります。

香城氏は、そうした施策に踏み切った理由は「現代の価値観」にあると語ります。今日の消費者たちは、特定のゲームを遊ぶべきかどうかをタイトルそのものではなく、それを取り巻くユーザーの集合知や評判から判断すると指摘。

ゲームにかぎらず、外出時にふと煮干しラーメンか炙り味噌ラーメンが食べたくなったときなども、グルメサイトのレビューや点数を参照し、それがどちらのラーメンを選ぶかの判断基準になることは往々にしてあるとしながら「プロダクトの価値を決めるのはプロダクトの魅力そのものではなく、そのプロダクトのコミュニティの世論である」と断じました。


ゲームをおもしろい、楽しいと思ったユーザーがその思いを気軽に発信できるよう、近くに仲間がいることを知って安心してもらう。最初の11カ月間はその心理的安全性を担保するためのコミュニティマネジメントに全力を注ぎ、それが実ったからこその急成長なのだと香城氏は語りました。

そしてそのための心構えとして、大都市でイベントを開催してユーザーたちに“来てもらう”のではなく、もっと小規模なイベントを全国で頻繁に開催することで“運営側がユーザーたちのもとへ訪れる”ことが大切であるとしました。香城氏はこの心構えを「もし3000万円の予算が手元にあったら、(大規模なイベントを数回行うのではなく)300万円で行えるイベントを10回開催します」と例えました。


しかし、2018年に暗雲が立ち込めます。そのきっかけは、同年の新春に開催した「新春限定超駒パレード」ガチャで排出されるとあるキャラクターでした。そのキャラクターが対戦環境を大きく破壊してしまう(所持の有無で勝率に著しく差が出てしまう)能力であったため、極端に偏ったゲームバランスに見切りを付けてしまったユーザーが少しずつ離反。その風潮は1年を費やしても解決できず、翌2019年に運営3周年をむかえても、アクティブユーザーの逓減は止められませんでした。

事態を重く見た香城氏は、その時に考えていたすべて企画・展開をいったん白紙撤回。この問題と真正面から向き合い、解決して信頼を取り戻せなければこのゲームに未来はないと判断し、2019年8月に、ユーザーに向けて運営の赤裸々な思いを伝え、知らせる「運営方針説明会」を開催し、2020年元旦までに対戦バランスの是正を完了させると誓いを立てました。


問題のキャラクターの有無が、勝敗にどのくらいの影響を及ぼしてしまうのか、それをどのように是正し、今の数値はどうなっているか。普段は表に出さない対戦データの数値をすべて開示し、ユーザーから叩かれ、非難されても定期的にそれを伝えるライブ配信を実施。

2020年元旦で約束通り対戦バランスの是正を完遂したことでようやくユーザーの信頼が回復し、同年の『オセロニア』4周年の折にはユーザーたちの「“オセロニアン”でよかった」という声であふれ、それまで運営がどんな施策を行っても振り返ってくれなかった“休止・引退”プレイヤーたちがゲームに復帰。こうして、運営5年目にして再びDAUが跳ね上がりました。


香城氏は「今は、運営がどんなスタンスでユーザーと向き合い、課題に立ち向かっているかが大きな評価軸になります。それが“運営がコンテンツ化する”ということです」とし、ゲームとしてのおもしろさに加え、“この運営はおもしろい”と思ってもらえるようになったからこそ今日の成功がある、とまとめました。

ファンの笑顔になる施策とは何かを常に考える

続いては、スクウェア・エニックスの「サガ」シリーズプロデューサー・市川雅統氏と、アカツキの『ロマサガRS』プロジェクトリーダー・須河史朗氏によるセミナーが行われました。

2020年12月に2周年をむかえたスクウェア・エニックスより好評配信中のスマートフォン向けRPG『ロマンシング サガ リ・ユニバース(以下、ロマサガRS)』。スクウェア・エニックスがプロデュースとマーケティングを担当し、アカツキが企画と運用を担当しています。市川氏は「契約上はきっちり役割を分けなければいけないのですが、プロモーションのアイディアをお互いに出し合ったりと密に連携しています」としつつ、アカツキは「「サガ」シリーズを一緒に盛り上げようと強く思ってくれている。パブリッシャーとデベロッパーという関係において、ここまで密に話ができるデベロッパーとはなかなか出会えません」と厚い信頼を寄せていました。


昨年2019年で、同作における1周年の大きな施策は、4人組ミクスチャーバンド・King Gnu(キング ヌー)とのタイアップCMでした。King Gnuの新曲「ユーモア」を楽曲に起用した新CMは大きな話題を呼びました。また、ゲーム内での1周年の盛り上げに全力を注ぐあまり、周年施策の直後はガス欠になりかけてしまったと言及しました。ゲーム外との連動をうまく取れていなかったという反省点もあり、次はもっとうまくやらなければと決意を新たにしたそうです。

そして2周年の施策を考えるにあたり、脳裏に浮かんだのがアーティスト・山崎まさよしさんとのタイアップでした。山崎さんは2005年にPlayStation 2で発売された『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-(以下、ミンサガ)』でテーマソング「メヌエット」の作詞・作曲・歌唱を手がけており、ゲームの世界観に寄り添った楽曲はファンから高く評価されています。

市川氏は「『ミンサガ』はリマスター版が制作されていません。かといって、『サガ フロンティア』のリマスターを発表したばかりですので、リマスター版をすぐにお届けすることもできません。そんな中で、ファンの方たちに向けて『ミンサガ』など過去のタイトルも忘れていませんよというメッセージを打ち出したかったんです」と語りました。


また、この頃から「もっとファンと向き合う、ファンが喜んでくれる運用をするべきではないか」と強く考えるようになり、その指針として「まずは業界内で周りにいるファンが喜んでくれるか」を意識するようになったそうです。

山崎さんが名曲「One more time, One more chance」を弾き語りする2周年記念のタイアップCMは、映像でナレーションを務め、また、コアゲーマーとしても知られる声優の杉田智和さんがそれを知って喜ぶ姿を見て、成功を確信したというエピソードが語られました。

アカツキの須河氏は『ロマサガRS』の運営を振り返り、ゲームを盛り上げるためにプランナーを始めとするチームメンバーが当初から3倍ほどに増加し、プランナーチームが3つ存在すると語りました。それぞれがこれだという企画を練り、個別に市川氏に提案するそうです。

市川氏はその体制を「間接的に話を聞くよりは、直接話した方が分かりやすい」と評価し、入社間もない人がゲームをよくするための企画を提案してくれる組織を作ることが大切だと続けます。「運営が2年、3年と続いても、お互いが言いたいことを言える空気が醸成されていなかったらサービスの質は落ちる一方」とモノ言える雰囲気を醸成・構築することがいかに重要かも指摘しています。

須河氏は「逆に、“言いたいことも言えない環境はかっこ悪い”という空気感を作ることに気を付けています」と冗談めかして続け、さらに市川氏は「コンソールでの「サガ」シリーズは河津(スクウェア・エニックス 河津秋敏氏/「サガ」シリーズ総合ディレクター)が最終的な判断を下してくれますが、モバイルゲームは大勢の人の意見こそが次につながる一手になる」としました。

2020年4月から5月にかけて開催された、佐賀県とのコラボについても言及されました。「サガ」シリーズと佐賀県の初コラボ「ロマンシング佐賀」が開催されたのは2014年のこと。一緒に「サガ」を盛り上げてくれた佐賀県にせめてもの恩返しがしたいとサービス開始当初から考えていた運営と、人々の生活を支える水を想起させるデザインマンホールをアピールすることで、地域と継続的に関わってくれる“関係人口”を創出したいと考えていた佐賀県の思惑が一致。『ロマサガRS』のキャラクターであるポルカなど7体の歴代キャラクターをドットで描く、鋳型で造られた世界初のドットマンホールが制作・寄贈されました。



当初はここまでの規模は考えていなかったものの、佐賀へ出張したらすっかり同県に魅了されてしまったアカツキ側の熱意も手伝って、大がかりなコラボを成功させることが出来た……と市川氏はまとめました。

登壇者3名による質疑応答

セミナー終了後は、登壇した3名が回答する質疑応答が行われました。その一部をお届けします。

――『逆転オセロニア』でファンコミュニティを構築するにあたって、イベント開催時に気を付けたことは?

香城会場はどういう雰囲気なんだろう、どんな人たちが来るんだろうというのは誰しもが気になるところで、不安にも思うところだと思います。会場の雰囲気を伝える動画を公開したり、他のオセロニアンたちの参加表明が目に入りやすくすることで、その不安を軽減させられるよう努めました。

――これまでの開発・運営を通して印象に残っているエピソードは?

市川当初企画していたものが全然「サガ」らしさがないゲームで、このゲームをこのまま世に出してしまったら「サガ」シリーズを終わらせることにすらつながってしまうかもしれない……と大きな不安を抱きました。

プロデューサーは多くの場合、ゲームの内容や骨子には関わらないことが多いと思いますが、その時ばかりはチーム全員を集めて飲みに行き「このゲームではファンに喜ばれないので、大きく作り直そう」と腹を割って提案しました。

「サガ」シリーズは歴史が長く多くの作品があるだけに、ディレクターがシリーズのどこを好きであるかで大きく異なるゲームになりうるので、そのバランス取りにはいつも苦心しています。

――開発・運営スタッフが顔出しすることは重要だと思うか?

香城一切顔を出さない手法もありうるとは思います。ただ、モバイル端末の性能が上がるにつれ、モバイルゲームで表現できないものはどんどん少なくなっています。言い換えれば、差別化が難しいということです。

ですが、価値があると評価されやすいものは“再現性のないもの”です。スタッフの顔出しがこれにあたるかは断言できませんが、少なくとも属人性の強い部分には再現性はまったくありません。ゆえに、モバイルゲームのコンテンツの一つになりうる手法だと考えています。

須河「サガ」ファンは熱量の高い方が多く、アンケートの文面などからもそれを強く感じます。そんな中、向こうにこちらの顔が見えないと一方的なコミュニケーションになってしまいます。きちんと顔を見せることで、「一緒にモノを作っていく」という安心感が与えられると思います。

市川自分のことだけでいうと、当初は顔出しすることは気乗りしませんでした。ただ、『ロマサガRS』については、ファンのみなさんの中には「自分が昔好きだったものを、どこの誰とも分からない者にいじくりまわされて変な風にされてしまうのはイヤだ」という不安を抱く方もおられたはずです。そこを信頼してもらうためにも、きちんと顔出しして、こちらの思いをまっすぐに伝えるのは大事だと考えるようになりました。



長期運営や新規起ち上げからの成功を目指すことが難しくなってきている昨今のモバイルゲーム市場ですが、その中でも結果を残している両タイトルに共通していることは、なんといっても真摯にユーザーに向き合うということであることが感じられるセミナーとなりました。

単に広告を打つだけでなく、一方で狭いコミュニティに閉じるだけでなく、いかにゲームの成長を伴走してくれるファンを増やしていくかが今後のマーケティングの肝になっていくことでしょう。今回セミナーを開催したLINEでは、ご存知の通りユーザーとのコミュニケーションプラットフォームとして活用できる「LINE公式アカウント」だけではなく、広告プラットフォーム「LINE広告」としてもゲーム業界の心強いパートナーとなっています。その他にもLINEのプラットフォームを通じて様々な施策が実施できるので興味のある方はぜひ事例などを参考にしてみてください。

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ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI
《蚩尤》

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