5月は3月決算の主要なゲーム会社が決算を発表するタイミングです。本稿では、注目の企業をピックアップするとともに、決算発表を予定する企業を一覧で紹介します。
連載「ゲーム企業の決算を読む」220万台の応募があったニンテンドースイッチ2で業績はどう変化する?
5月8日は任天堂の通期決算発表日です。
2025年3月期(2024年4月1日~2025年3月31日)は2桁の大幅な減収営業減益で着地する見込み。2月4日に通期業績の下方修正も発表しました。決算の注目は今期の通期業績予想です。大きな目玉となる6月5日発売予定のニンテンドースイッチ2は国内だけで220万人が応募するという驚異的な人気を獲得しました。
2017年3月3日に発売したニンテンドースイッチは、3月末までに274万台を出荷。2018年3月期の販売台数は1,505万台となり、『スーパーマリオ オデッセイ』1,000万本の大ヒットも加わったことで、この期の売上高は前期の2.2倍となる1兆556億円に跳ね上がります。なお、会社の期初予想では前期の1.5倍の売上高7,500億円でした。
大ブレだった前回の反省もあり、今期の業績予想はより実績に近いものになってくるのではないでしょうか。リリースするソフト群にも注目。ハードとソフトの組み合わせによっては、売上高2兆円突破も見えてきます。
減収減益から計画を上回る増収増益へと躍り出たカプコン
5月13日はカプコンが通期決算を発表します。
4月24日に2025年3月期の通期業績の上方修正を発表。売上高を予想比2.8%、営業利益を2.7%それぞれ引き上げました。第3四半期累計期間(2024年4月1日~2024年12月31日)は前年同期間比16.3%、営業利益は35.0%減という大幅な減収営業減益でした。そこからまさかの増収営業増益で、さらに計画を上回るという好調ぶり。
社運をかけた『モンスターハンターワイルズ』の大ヒットで風向きが変わりましたが今回の決算発表で注目したいのが2026年3月期の新作タイトルです。『ストリートファイター6』と『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』をニンテンドースイッチ2のタイトルとしてリリースすることは発表済み。未発表の新作タイトルに言及する可能性もあります。
中期的には『モンハンワイルズ』の追加コンテンツのリリースがあるはずで、盤石な収益基盤を構築しているともいえるでしょう。勢いのあるゲーム会社の一つです。
まさかの『Football Manager 25』開発中止―苦境のセガの次なる一手は
5月12日はセガサミーホールディングスが通期決算の発表を行います。
セガは大手ゲーム会社の中では苦戦気味。2025年3月期は1割の減収、2割の営業減益を予想しています。第3四半期通過時点で概ね予想どおりだったことから、減収営業減益はほぼ確定的。2月7日に『Football Manager 25』の中止を発表しており、停滞感に拍車をかける結果となりました。
開発資産は引き継がれるものの、タイトルの評価減を計上。2025年3月期の業績には大ダメージを与えています。
セガは『クレイジータクシー』や『ジェットセットラジオ』、『Shinobi』など往年の人気シリーズを復活させるプロジェクトを進めています。このプロジェクトを発表したのが2023年12月。タイトル名やリリース予定日は未だ明かされていません。業績の停滞が目立ってきた今、株主にアピールする意味でもビッグプロジェクトの詳細についてアナウンスするタイミングだと言えるでしょう。決算発表での注目ポイントです。