【TGS2017】SIEJA・盛田厚プレジデントに聞く「ゲームはエンタテイメントの一番の進化形」 | GameBusiness.jp

【TGS2017】SIEJA・盛田厚プレジデントに聞く「ゲームはエンタテイメントの一番の進化形」

プレスカンファレンスでの発表からTGSでのブース展示まで、どのような意図がこめられたのか、盛田厚プレジデントを囲んで合同取材が行われました。

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東京ゲームショウ2017の直前に「2017 PlayStation Press Conference in Japan」を開催したソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア。ゲームショウのブースでは、カンファレンスで発表された注目タイトルが数多くプレイアブル出展されました。プレスカンファレンスでの発表からTGSでのブース展示まで、どのような意図がこめられたのか、盛田厚プレジデントを囲んで合同取材が行われました。[取材・構成:森元行]


■PS4で欲しかった最後のピースがそろった


ーーーPlayStation VR(PS VR)のPlayStation Camera同梱版の値下げが発表されましたが、単体版の値下げはありますか?

盛田:今回PS VRの価格改定を発表した理由として『グランツーリスモSPORT』『V!勇者のくせになまいきだR』など、PS VR対応・専用のゲームタイトルが発売されること。そして生産体制がようやく整って、PS VRの出荷数を強化すること。このように10月中旬にソフトウェアとハードウェアの双方で施策が整いつつある中で、PS VR全体として新たな販売施策を行う必要があると考えました。そのうえで、カメラ同梱版の構成比が単体版より圧倒的に高いという事情もあり、「カメラ同梱版が主流商品」ということを明確に打ち出した方がお客様にもわかりやすいだろうと考えて、このような形になりました。

ーーーPS VR単体版の販売も継続されますか?

盛田:市場の動向を見ながら、検討していきたいと考えています。

ーーーPS VRの価格改訂も含めて、プレスカンファレンスの反響は如何でしたか?

盛田:これは皆様が判断された方がいいと思いますが、一つには『グランツーリスモSPORT』『モンスターハンター:ワールド』のような期待の大型タイトルが出てきて、我々が3年前にPlayStation 4(PS4)をローンチした時点で「このタイトルは揃えていきたい」と思っていたIPが、すべて出揃ったと思っています。また大型タイトルだけでなく、バラエティにとんだタイトルがいろいろ出てくる中、PS4タイトルの広がりを伝えたという思いもありました。そこについては、伝えられたのではないかと思っています。TGSでも、そうしたタイトル群が十分に試遊できるブース構成にしました。そんなふうにプレスカンファレンスでは我々のメッセージをきちんと伝えられましたし、TGSではそのための場所が用意できていると思います。

ーーー『Detroit Become Human』のブース展示で、はじめはコンパニオンが人形だと思っていました。良く見たら動いていて、「人間だ!」と。


盛田:『Detroit Become Human』は我々の新しいIPです。このIPをきちんと盛り上げていくためにも、しっかりとした打ちだし方をした方がいいということになりました。そのうえで、うちのマーケティングチームが力をいれたいと言いまして、ああいった形になりました。社内では議論もありましたが、意図は理解できましたし、やって良かったと思っています。

ーーー『モンスターハンター』が久しぶりにPSハードに戻ってきたことについて、あらためて心境をお聞かせください。

盛田:『モンスターハンター』に限らず、PS4でユーザーが遊びたいと思っていたタイトルは全部そろえないと、安心してPS4を買っていただけない、お客様の全員を振り向かせることはできないと思っていました。そういう意味で重要なピースが『モンスターハンター』だと思っています。また当時はPSP「プレイステーション・ポータブル」でしたが、弊社でも休み時間にみんなが会議室にこもって遊んでいたり、街中でみんなが遊んでいたりという風景を見ていて、あの頃の盛り上がりが個人的にも印象に残っていました。そのため『モンスターハンター』がPS4で出てくれることは感慨深いですし、嬉しいですね。

ーーーグラフィックもすごかったですね。

盛田:PS4のパワーを存分に使っていただいて、すごいグラフィックを実現していただいたのは、本当にうれしいですね。かっこいいなと思いました。

ーーーPS VRで『JAPAN Studio VR音楽祭』や『NewsVR』など、ゲーム以外のコンテンツの発表が多かったようにも感じました。


盛田:PS VRはすごくいろいろな可能性があると思っていますし、実際にローンチのタイミングで、さまざまなコンテンツが出てきました。ただ、やっぱり最初に買ってくれる皆さんはゲームを遊びたいだろうなと思っていましたし、PS VRはゲームを好きな人がゲームの世界に入れるという、それまで夢に描いていた世界が実現できるということを考えると、まずゲームをきちんと出していく必要があると思っていました。そのため『グランツーリスモSPORT』などのゲームタイトルが出てきてくれることが重要でした。それと同時に新しい映像体験としてのPS VR、テレビの次の進化形であるPS VRという訴求はしていきたいと思っています。

ーーーそれは大きなビジョンですね。

盛田:先ほど「一家に一台プレイステーション」と言いましたが、家庭のテレビがVRに変わっていくのであれば、テレビの台数だけPS VRが普及しても良いはずです。そうした中では映像体験がすごく重要です。「こんな体験ができます」ということを、いかにユーザーの皆さんに伝えていけるかが必要になってきます。その際に「いろんなコンテンツがあるので、さあどうぞ」というだけでなく、どんなユーザー体験ができるか、わかりやすく提示して、その中でユーザーが体験したいと思ったモノがあれば、自由に体験してもらえればいいのかなと。

実際、我々のグループには音楽や映画やアニメの会社がありますが、音楽であれば単にコンサートホールを独り占めして、360度見渡せるだけでなくて、『JAPAN Studio VR音楽祭』のように、自分の隣にキャラクターがいて、一緒に鑑賞したり、インタラクションがあったり、プロジェクションマッピング的な映像体験もセットで音楽が楽しめたり、今までにない体験を提供することで、通常のコンサートホールでは不可能な体験ができることをお伝えしたいという狙いがありました。

ーーー指揮者の視点にも変えられるんですよね

盛田:そうですね。ゲーム業界の皆さんがみんなで知恵を絞って、おもしろいアイディアやコンテンツを出していくのはもちろんですが、ゲーム業界以外の方にもたくさんアイディアをお持ちの方がいると思います。そういったものをどんどん出していただけるような環境作りはしていきたいですね。

■展示の仕方には多様性があってもいい


ーーー一方でPlayStation Vita(PS Vita)の発表がなかったことが気になりました。日本の市場は据置型ゲームよりも、携帯ゲーム機やモバイルゲームが人気ではありますが……。


盛田:今回PS4に特化したのは、PS4のタイトルの豊富さを一番伝えたかったからです。ただしPS Vitaという意味で言えば、いまだに『Minecraft』はPS4版もPS Vita版も毎週着実に売れています。こういったタイトルはなかなかありませんし、今でもイベントに親子連れで来場いただき、『Minecraft』を楽しんでいただいています。

ーーーなるほど。

盛田:ただ、子ども達が家庭用ゲームに触るきっかけがPSVitaと『Minecraft』だったとすると、PS4も遊んでいただけなければ、我々が掲げる「みんなのプレイステーション」「一家に一台プレイステーション」まで広がりません。そのためにはPS Vitaで『Minecraft』を楽しんでいるユーザーに、PS4版も遊んでいただくことと、PS4のリモートプレイとしてPS Vitaで遊んでいただけるという、両方の流れを創り出すことが大切になります。日本ではPS Vitaもまだ売っていくつもりですが、両方で相互に連動していく形で訴求していくのが良いのかなと思っています。

ーーー「キッズの星」プロジェクトも進められていますね。


盛田:ソニーグループにはいろいろな企業があります。そこでソニーグループ全体で一つのキャラクターを育てていくことにチャレンジしたいという思いがありました。そんなに簡単にできることではありませんが、その活動がいま動いていることをきちんとお伝えしたかったので、プレスカンファレンスで映像を公開しました。そこで生まれたキャラクターは、プレイステーションでも活用していきたいと考えていますが、具体的な施策については、準備が整った段階でお話しさせていただきます。

ーーーそうしたキャラクターと一緒にプログラムの勉強ができれば良いなとも思いました。親御さんにとってもわかりやすいのではないかなと。

盛田:たしかに、知育的な入り口としてのゲームはあると思いますが、やはりゲームはエンタテイメントの一番の進化形だと思っています。私が子どもの頃はマンガを読んでいると怒られて、勉強しなさいと言われましたが、そうした子ども達の中からマンガ家が生まれて、そこからアニメや映画が生まれて、今やさまざまなコンテンツの源流になりました。ゲームも同じように過渡期だから怒られるだけで、本来であれば純粋にエンタテイメントとして認知されるべきものだと思っています。文字だけだったものに絵が付き、絵が動いて、そこにインタラクションが加わって、自由に操作できるようになる。そういう意味でいえば、一番ゲームがエンタテイメントとして進んでいるわけで、ひとつのエンタテインメントとして映画を観にいこうというのと同じように、ゲームをやろうという形になるべきだと思います。


そうなれば、子どもにマンガやアニメを見せるのと同じように、ゲームをやらせる時代になるんじゃないかなと。そのうち「このアニメじゃなくて、こっちの名作アニメを見なさい」という感じで、「このゲームじゃなくて、こっちの名作ゲームを遊びなさい」というゲームがあってもいいと思います。そして、そのゲームは、決して知育ゲームだけではないと思っています。

ーーーTGS2017ブースにて力を入れていたポイントはどのあたりになりますか?

盛田:冒頭の話にもつながりますが、まずプレスカンファレンスで発表しました大型タイトル『グランツーリスモSPORT』『モンスターハンター・ワールド』『コール オブ デューティ ワールドウォーII』『Detroit Become Human』は十分に試遊できる環境を整えました。それ以外にも、さまざまなタイトルがたくさん出てきているので、それらをきちんと試遊して楽しんでいただく環境を整えています。それもPS4 Proと4Kブラビアの、最高の環境でバラエティにとんだタイトルを体験いただけるところが一番のポイントです。

ーーー東京ゲームショウ2015で日経BP社が出した公式レポートによると、ゲームショウの一般公開日で来場者がゲームを試遊した平均本数が1.8本、ゲームを1本も試遊しなかった割合が35%でした。この数字についてどのように思われますか?

盛田:東京ゲームショウの一般来場者には、ステージイベントを観覧されたり、コスプレで来場されたりと、ゲームの試遊以外の目的で来られる方もいらっしゃると思います。ただ、混雑して遊べなかったということであれば、それは運営側の問題ですよね。個人的にはもっと試遊回数が増えると良いと思います。

ーーーこれについてはE3も同じで、今年のE3のPlayStationブースでは来場者が多すぎて、事前に取材予約があったタイトルをのぞけば、ゲームを試遊できませんでした。今やフルプライスのゲームがダウンロード販売される時代ですから、展示方法についても、多様性があっていいと思います。たとえば出展タイトルをすべて期間限定でダウンロード配信するなどの施策はどうでしょうか?

盛田:いろいろな展示の在り方があると思いますし、おっしゃるとおりだと思います。一つにはイベントに実際に行くことで生まれるワクワク感がありますよね。そのため、リアルな展示会の意義はあると思います。その一方でデジタル時代ですから、ゲームの楽しみ方については、いろいろなやり方があるでしょう。もっとも、じゃあ来年からそうしますと、今ここで言えるわけではありませんが……。


そのうえで、一つの試みとして、今年のTGSでのPlayStationブースではステージイベントをやめました。来場者には基本的にゲームを試遊していただきたいからです。ステージイベントのかわりにインターネットで生中継して、会場に来られない方には配信を見て楽しんでいただく。こんな風に今年のブース展示には、会場の内側と外側でどちらも楽しんでいただける構成にしました。これがどれくらい受け入れられるかも含めて、今後についても考えていく必要があると思います。

ーーーありがとうございました。
《小野憲史》

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