ダイヤモンド社は3月30日、日本のメディア産業の現状を定量的に分析した「ダイヤモンド・メディア白書2026」を公開しました。全国700社以上のメディア企業に調査を依頼し、生成AIに関する調査で104社、経営に関する調査で82社から回答を得ています。
白書は同社が新設した研究組織「ダイヤモンド・メディアラボ室」と、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一教授との共同研究としてまとめられたものです。
生成AI導入は進むも、戦略不在が浮き彫りに
白書の第1章では、メディア企業における生成AI導入の実態が報告されています。回答した104社のうち8割以上が何らかの形で生成AIを導入していました。ただし全社的に本格導入している企業は28%にとどまり、多くは一部の部署や個人単位での活用にとどまっているようです。

さらに、導入企業の4割超が明確なガイドラインを持たないまま運用している事も明らかになりました。導入による成果は既存業務の効率化や制作スピードの向上に集中しており、新規事業の創出といった経営判断の高度化への活用は限定的だということです。白書は「自社にとって生成AIとは何か」という経営側の位置付けが先送りされている構造を指摘しています。
経営者の課題認識と実行力のギャップ
第2章の経営者調査では、82社の経営者・経営層から回答を得ています。メディア産業の地盤沈下の原因として、約8割がSNSの浸透によるメディア接触行動の変化を、約7割が情報発信主体の多様化を挙げていました。DX推進の最重要課題としては6割以上がデジタル人材の確保・育成を選んでいます。
一方で、経営幹部候補の育成について約半数の企業が特別な教育を実施していないと回答しており、戦略と実行体制の間に距離がある事がうかがえます。5年後の事業像についても、8割近くが既存事業の延長線上にある進化型を選択しており、抜本的な変革への踏み込みには慎重な姿勢が見られます。
信頼は「喪失」ではなく「変質」
第3章では、新聞通信調査会や総務省などの大規模継続調査を統合分析し、メディアに対する信頼度の変化を検証しています。2008年以降、新聞・テレビ・インターネットを含む全てのメディアで信頼度は低下傾向にあるものの、利用と信頼の相関は薄れつつあるとの事です。インターネットは利用では首位を占める一方、信頼度では新聞やテレビを下回るという乖離が常態化しています。
また、信頼度スコアの理由として「なんとなく・特に理由はない」という回答が2013年の6.6%から2024年には9.8%へ増加しており、信頼の基準そのものが曖昧化しつつあると見られます。白書はこの状況を単純な信頼の喪失ではなく、信頼の分化と変質として捉えるべきだと指摘しています。







