
オンラインクレーンゲーム『トレバ』を運営するサイバーステップが、2025年5月期(2024年6月1日~2025年5月31日)に16億9,500万円の純損失を計上しました。
同社は5期連続で2桁億円規模の純損失を出しています。売上は急減しており、2025年5月期は全盛期の1/5ほどにまで縮小しました。最も注目度が高かったのが声優プロダクションのBloomZのNASDAQ上場ですが、増資を行ったことによってサイバーステップの持株比率が低下。連結から外れています。
これにより、1億円近い持分変動損失を計上しました。
主力の『トレバ』はプライズゲーム活況の恩恵を受けられず
2025年5月期は16.1%の減収となる25億400万円の売上、17億8,700万円の営業損失(前期は14億5,500万円)を計上しました。2022年5月期に大幅な人員削減を行ったものの、減収のスピードが速すぎるためにその後もオンラインゲーム事業、エンターテインメント事業ともに利益は出ていません。

※決算短信より筆者作成
プライズゲーム市場そのものは活況で、ゲームセンター運営のGENDA、イオンファンタジー、アミューズメント施設運営のラウンドワンの好業績をけん引しています。背景にはアニメやアイドル、キャラクターなどの推し活ブームがありますが、トレバはその流れに乗ることができていません。
2024年6月に『テラビット』のPlayStation版を発売しましたが、収益貢献は限定的でした。
2025年6月には新作『Bygone Dreams:バイゴーンドリームズ』をリリースしています。ボスニア・ヘルツェゴビナを拠点とするアニメーション制作スタジオPrime Time Studioが開発したゲームで、2017年に開催されたPCゲーム技術カンファレンス「REBOOT Develop 2017」で映像体験賞を受賞しました。
新作ゲームは定期的にリリースしているものの、収益性の悪化に伴う人員削減、コスト削減が続いており、開発環境は厳しさを増していると考えられます。別の収益基盤を築くため、サイバーステップはゲーム以外の事業にも注力しています。その一つが声優プロダクション事業。中核にある会社がBloomZで、2024年7月24日にNASDAQに上場しています。