
ゲーム攻略サイトを運営するGameWithとゲームエイトの通期決算が出そろいました。
ゲームエイトは増収となったものの、成長の力強さには欠く結果となりました。ゲームエイトの親会社であるGunosyは『ハイキュー!! TOUCH THE DREAM』などの開発を行ったGホールディングスの買収を決定。大胆な一手を打ちました。
一方、PV(ページビュー、閲覧数)の減少に悩まされたGameWithは、広告のPV単価底上げで四半期単体での黒字化に成功。堅調に契約者数を増やしている光回線などの新規事業に経営資源を集中し、メディア以外の領域での収益基盤構築を急いでいます。ゲーム攻略メディアは新たな局面を迎えそうです。
『ポケポケ』『モンハンワイルズ』リリースもPVは改善せず
GameWithの2025年5月期(2024年6月1日~2025年5月31日)の売上高は前期比1.3%減の34億5,100万円、営業損失は1億9,600万円(前期は6,700万円の営業利益)でした。この期の通期予想はレンジを持たせて開示しており、下限が前期比0.1%増の35億円、2億円の営業損失としていました。売上高はやや下限を下回ったものの、損失幅は予想内に収まった形です。
2025年5月期第3四半期累計期間(2024年6月1日~2025年2月28日)は6.5%の減収だったうえ、2億円を超える営業損失を出していました。通期計画の下限を大幅に下回る懸念もあった中、4Q(2025年3月1日~2025年5月31日)で巻き返しました。
2026年5月期(2025年6月1日~2026年5月31日)は、下限の売上高を前期比7.1%増の37億円、営業利益ゼロを予想しています。2期連続の減収でしたが、今期は一転して増収へと向かう見込み。回復基調に戻しました。

※決算短信より筆者作成
GameWithを苦しめてきたのがPV数の伸び悩み。2024年5月期4Q(2024年3月1日~2024年5月31日)に四半期のPV数が前年同期間の17.8%減の3.7億PVに減少すると、そこからはほぼ横ばいでの推移が続くようになりました。ネットワーク広告の売上はPV数とPV単価の掛け算で算出できます。仮にPV単価が0.3円だったとすると、5,000万PVの減少で1,500万円の売上が失われることになるのです。

※決算説明資料より筆者作成
なお、PV数停滞の要因は明らかにしていません。ただし、『モンスターストライク(モンスト)』など特定のゲームタイトルに占めるPV数の割合が一定数あり、時間の経過とともにその人気が一服。伸び悩みにつながった可能性もあります。
また、大ヒットゲームとなった『Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』がリリースされた2Q(2024年9月1日~2024年11月30日)、『モンスターハンターワイルズ(モンハンワイルズ)』の4Q(2025年3月1日~2025年5月31日)もPV数が回復することはありませんでした。
一方でGameWithは広告単価の改善に注力し、4Qの広告単価指標を2021年5月期以降で最高の水準まで引き上げました。
ネットワーク広告の単価を引き上げるためには、クリック率の高いクリエイティブやキャッチコピーの作成、広告との整合性の高いユーザーの獲得などが必要。手間がかかり、難易度が高い領域です。それを組織としてやり切ったことに、GameWithの強さを見出すことができます。