ガンホー・オンライン・エンターテイメントが切り札にしてきた、『パズル＆ドラゴンズ』の施策効果が薄れています。
アクティブユーザー獲得に一役買った「大感謝祭」は勢いを失い、満を持して実施した「10周年記念イベント」も空振り。新型コロナウイルス感染拡大の巣ごもり特需の波にも乗ることができず、ユーザー数は尻すぼみ状態となりました。
■『パズル＆ドラゴンズ』アクティブユーザー数の推移
※決算説明会資料より
パズドラへの依存度が高いガンホーは、業績も冴えません。期待のかかっていた『ニンジャラ』も不発に終わろうとしています。ただし、ガンホーは大型投資を抑えていたため、豊富な現金を保有しています。M&Aなどの大型投資を行う時期が近づいていると見ることもできます。
2022年12月期通期の売上高は950億円前後か
ガンホーの2022年12月期第2四半期の売上高は前期比8.6%減の466億3,500万円、営業利益は同23.1%減の132億4,200万円でした。事業環境の変化が激しいことを理由に、通期の業績予想は出していません。ただし、ガンホーの過去4期の業績を見ると、通期の売上高は半期のおよそ2倍、営業利益率は31%前後です。
過去4期をもとに割り出した数字を当てはめると、2022年12月期の売上高は前期比4.4%減の944億9,800万円、営業利益は同2.4%減の294億3,000万円となります（これはあくまで筆者が独自に割り出した数字です）。
■ガンホー・オンライン・エンターテイメント業績推移
※決算短信より（営業利益率の目盛りは右軸）
パズドラのリリースは2012年1月11日。2013年の日経トレンディヒット商品ベスト30の2位にランクインするなど、爆発的にユーザー数を増やしました。2013年12月期の売上高は前期の6.3倍。売上高200億円台の企業が、わずか1年で1,500億円を突破。2014年12月期に売上高が前期比6.1%増の1,730億6,900万円となり、絶頂期を迎えます。
2015年12月期からは業績の下降局面を迎えました。
しかし、2019年12月期からわずかに上向いています。ガンホーの救世主となったのが、スペシャルイベント「パズドラ大感謝祭」でした。2018年10月末に実施。対象期間中にログインすると最大200個の魔法石が入手でき、レアガチャイベントも実施しました。パズドラはアクティブユーザー数の減少に喘いでいましたが、このイベントによって短期的な回復を図ることができました。
下のグラフを見ると、2018年11月～12月にアクティブユーザー数が跳ね上がっているのがわかります。
アクティブユーザーの獲得と業績へのインパクトが大きい「パズドラ大感謝祭」は、それ以降、毎年同じ時期に行われることとなりました。しかし、近年は目覚ましい効果が出ていないことは先に見た通りです。10周年のイベントも不発に終わりました。
