【特集】『PUBG』の起源と、目指す先―BlueholeのChanghan Kim氏インタビュー | GameBusiness.jp

【特集】『PUBG』の起源と、目指す先―BlueholeのChanghan Kim氏インタビュー

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【特集】『PUBG』の起源と、目指す先―BlueholeのChanghan Kim氏インタビュー
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早期アクセスタイトルでありながら、400万本以上を販売するなどPCゲーマーの間でブームを巻き起こしている、『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)』。開発と運営を手がけるのは、韓国のオンラインゲーム開発スタジオBlueholeです。Game*Spark編集部は、E3 2017会期中のタイミングに、同社エグゼクティブプロデューサーとして『PUBG』開発を指揮するChanghan Kim氏にインタビューを実施しました。『PUBG』が生まれた経緯にはじまり、今後のアップデート計画、さらにはE3 2017で発表されたコンソール独占契約まで、様々なトピックに答えてもらいました。

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――本日はよろしくお願いします。まずは、Kimさんの開発チームにおける役割や経歴など、自己紹介をお願いします。

Changhan Kim氏(以下CH): はじめまして。Blueholeで、バイスプレジデントとエグゼクティブプロデューサーを担当するChanghan Kimです。立ち上げからリリースまで、Blueholeのゲーム開発における、あらゆる側面を管理しています。ことMMORPGにおいては幅広い経験を積んでおり、3DのMMORPG『Sephiroth』、ハクスラ系の『Devilian』、カジュアル系の『Punch Monster』など、主要なタイトルに関わっています。Blueholeに入社する前は、Ginno Games, Incの共同創設者/CTO/エグゼクティブプロデューサー、Nextplay, IncのCTO/開発ディレクター、Imazic, Incの技術ディレクター/デザイナー/サーバーエンジニアといった職歴を持ちます。

――Blueholeはどのような開発会社ですか? また、『PUBG』は何名のスタッフで開発しているのですか?

CH: Blueholeは、韓国を拠点とするオンラインゲームとモバイルゲームのゲーム開発スタジオで、2007年に創設されました。代表的な開発タイトルとしては、全世界で2,500万人の登録ユーザーを記録し、SteamのMMORPGカテゴリでも1位になったことがある人気アクションMMORPG『TERA』があります。『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS (以下PUBG)』は、Bluehole初の非MMOタイトルで、現在Steamにて早期アクセス配信中です。Bluehole全体ではおよそ500名のスタッフが異なるプロジェクトに取り組んでおり、70名以上が『PUBG』の開発を担当しています。現在の内訳としては、プログラマーが15名、アーティストが25名、UIとゲームデザインが5名、QAテスターが5名、コミュニティーマネジメントとマーケティング、ビジネス開発にはおよそ20名が当たっています。

――『PUBG』の開発がスタートした経緯を教えてください。

CH: 私が次に何をしたいか考え出した時、スタジオは基本プレイ無料のモバイルゲームしか開発していませんでした。基本プレイ無料のモバイルゲームは世界的なトレンドで、もちろん韓国でもブームです。我々の開発チームは16年近いMMORPGの開発実績があるので、モバイルではなく、PC市場における新しいチャンスを模索したいと考えました。近年、モバイルゲームの人気がいっそう高まっているものの、私はモバイルよりもPCプラットフォームへの情熱があり、PCゲームの開発をずっと続けているので、それを続けたかった。当時、Bluehole内外のチームがどんなことをしているかを見渡すと、皆がGoogle PlayやApp Storeといった、クラウドサーバーやデジタルディストリビューションプラットフォームを利用して世界中のプレイヤーにモバイルゲームを届けていました。今までずっと韓国のプレイヤーだけをターゲットにしていた私は、その時に目が覚めたのです。PCプラットフォームで、もっと幅広いプレイヤーにリーチすることは可能なのだと。『DayZ』が世に出た時、バトルロワイヤルとしても知られるセッションベースのサバイバルゲームをずっと作りたいと思っていました。しかし、韓国のゲーマーにはこの手のゲームは受けないだろうという考えから、実行には至っていなかったのです。ゲームを作るということは、世界への進出を検討する以前に、まず韓国市場での成功が必要不可欠でした。グローバルなマーケットを見て、ついに夢を実現させる時がきたのだと分かりました。私は調査を行い、このバトルロワイヤルを手がけたPLAYERUNKNOWNという名のModderを見つけ、連絡を取って意気投合すると、『PUBG』のプロジェクトを立ち上げました。

――PLAYERUNKNOWNことBrendan Greene氏はどのような人物でしょうか?

CH: Brendanは、『PUBG』の開発に深く関わっている人物です。ゲームに価値ある知識と洞察を提供しており、それらは『PUBG』のゲームプレイに重要な要素として取り入れられることがあります。

――バトルロワイアル以外のゲームモードを追加する考えはありますか?

CH:ゲームを安定させて正式リリースするのが最大のプライオリティですので、現在のところ新しいゲームモードを追加する予定はありません。まだ早期アクセス中で、新しいモードを出す以前に、ゲーム体験を最適化するのが極めて重要です。究極的なゴールとして、複数のゲームモードを用意してゲーム体験を豊富にしたり、新コンテンツを制作するというのがありますが、現状は、パートナーのコンテンツクリエイターに、カスタムゲームを作れるようにしたり、新しいモードをテストしたりできるように権利を与えています。

――銃の試し撃ちができる射撃演習場のような場所を用意できませんか?

CH: プレイヤーが銃を練習できるモードは検討中ですが、それが射撃演習場のようなものになるか、異なるタイプのカジュアルなゲームモードになるか、形式は決まっていません。

――今後武器のスキンなどを追加する計画はありますか?

CH: コアとなるゲームプレイ部分に影響がない限り、武器のスキンを追加するアイデアには前向きです。

――今後追加予定の車両や銃はありますか?

CH: ゲームバランスに支障がないという前提で、新たな車両や銃はコンスタントにゲームに追加されていくでしょう。

――ゲーム内ポイントで買えるボックスに新アイテムを追加する考えはありますか? また、現在は、箱に何種類のアイテムが入っているのか、知りたがっているユーザーが多いようです。

CH: ボックスにはスキンのみを追加していく予定です。今はゲームの安定性を最重要課題としているため、新しいスキンは追加していませんでしたが、将来的には、多種多様なスキンタイプとカスタマイズ要素を提供していく考えです。

――それ以外で、プレイヤーからはどのような要望が多く寄せられていますか?

CH: サーバーラグの問題がユーザーから多く寄せられています。6月のアップデートで最も優先したのは、サーバーパフォーマンスの最適化に注力することです。

――バトルロワイヤルスタイルのMMOサバイバルシューターは人気ジャンルになりつつありますが、『PUBG』はどのような魅力を追求し、他の同ジャンル作品と差別化していくのでしょうか?

CH: 我々の当初のゴールは、完全にスタンドアロンのバトルロワイヤルゲームを作ることでした。他の同ジャンルゲームである『DayZ』や『Rust』、『H1Z1』にも、メインのモードとは別でバトルロワイヤル系モードが存在しますが、『PUBG』ではユニークなバトルロワイヤルのゲームプレイ体験を提供するという目的のためだけに開発されています。現在のゴールは、さらにゲームを改良して、現行および将来のユーザーや視聴者に求められる興奮と体験を提供することです。

――PS4とXbox One版は、日本でも発売されますか?

CH: E3 2017で、Xbox OneとXbox One Xでの先行リリースを発表しました。我々は異なるプラットフォームで『PUBG』を展開していくことを常に検討していますが、今の段階でお伝えできることはありません。

――では、Xbox One/Xbox One Xのコンソール独占契約について、それを決定した理由や、Microsoftとどのように協力しているかを教えてください。

CH: Xboxのゲームプレビューは、Steamの早期アクセスと似通ったシステムで、まだ開発中のゲームを、ユーザーと直接交流しながら改良していくことができます。Xboxで先行リリースした理由はこれの存在が背景にあります。『PUBG』はいつもユーザーコミュニティーとのやりとりの中で改良を重ねてきました。コンソール版においても、最高のバトルロワイヤル体験を届けられるよう、同じやり方をしていくつもりです。


――同じくE3 2017で発表されたゾンビモードについて、どのようにアイデアが生まれたか、コンセプトを教えてください。

CH: ゾンビモードは、『PUBG』のパートナーコミュニティーによって作られたカスタムゲームから始まったアイデアです。いくつかのパートナーが、少数のプレイヤーが大量のゾンビと戦うゲームをカスタマイズしていました。このモードはストリーミングコミュニティーで大きな注目を集めたため、Blueholeが公式のゾンビスキンを用意してサポートすることに決めたのです。

――日本人プレイヤーの数は増えていますか? また、Blueholeは日本の『PUBG』コミュニティーをどのようにサポートしていきますか?

CH: 日本の『PUBG』コミュニティーは継続的に拡大しています。日本の皆さんからの関心やサポートがあるのはとてもうれしいです。基本的な事として、我々は高品質なゲーム体験を提供することが、コミュニティーをサポートする上で最も重要だと考えており、ゲームが素晴らしいものとなるよう、ベストを尽くしています。また、日本人コミュニティーからの我々やゲームに対する意見やアイデアに耳を傾けるようにしていきます。

――「ドン勝(Don-katsu)」とは一体何でしょうか? あらためて、どのような由来や言葉の意図があるのか教えてください。英語版では「チキンディナー」で、ユーザーからは誤訳の可能性も指摘されていますが、「トンカツ(Ton-katsu)」や「カツ丼(Katsu-don)」とは異なるものですか?

CH: 「ドン勝」は、確かに誤訳なのですが、日本人コミュニティーの間でどういうわけか人気が出てしまいました。この造語を作ったBlueholeの担当者は、故意に考えたと主張していますが、実際のところは分かりません。故意だろうと偶然だろうと我々は「ドン勝」を気に入っていて、日本人プレイヤーの皆さんが面白おかしくネタにしているのも楽しいです。

――プレイヤーが自由にカスタムマッチを作れるようになりますか?

CH: 現状、カスタムマッチはパートナーシッププログラムのパートナーのみが利用できます。今のところ、一般プレイヤーに開放する予定はありませんが、将来的に検討の余地はあると言えるでしょう。

――今後、Bluehole公式のe-Sports大会などを実施する考えはありますか? 競技シーンについての考え方を教えてください。

CH: 繰り返しになりますが、我々が今注力しているのはゲームを完成させること、『PUBG』を最高のバトルロワイヤルゲームにすることです。もしファンからの要望があるなら、e-Sports展開に取り組むでしょう。しかしながら今は全体的なゲームの最適化とカスタムゲーム制作にフォーカスを続けていきます。

――最後に日本の『PUBG』プレイヤーにメッセージをお願いします。

CH: 欧米では、サバイバルゲームジャンルが一般的になりつつあります。したがって、アジア地域での成功はあまり期待しておらず、主に欧米地域でのコミュニティー拡大に注力してきました。ところが蓋を開けてみると、驚いたことに、日本と韓国からとてつもない支持と成長があることを知って、開発チームは影響を受けました。我々は、近いうちに、日本の『PUBG』コミュニティーの皆さんと直接お会いしたいと考えています。開発チームが日本人プレイヤーの皆さんの声を直接聞いて、それをゲームの開発とサービスに取り入れられるよう、準備をしているところです。

――Kimさん、ありがとうございました。

《Rio Tani》

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