【特集】『アトム:時空の果て』手塚眞×松山洋×イバイ・アメストイ直撃インタビュー! 彼らが感じる手塚治虫作品の魅力とは | GameBusiness.jp

【特集】『アトム:時空の果て』手塚眞×松山洋×イバイ・アメストイ直撃インタビュー! 彼らが感じる手塚治虫作品の魅力とは

手塚プロダクションとアクティブゲーミングメディアがタッグを組み、また多彩なクリエイターが参加を表明している、iOS/Android/PC向けカードゲーム『アトム:時空の果て』。

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手塚プロダクションとアクティブゲーミングメディアがタッグを組み、また多彩なクリエイターが参加を表明している、iOS/Android/PC向けカードゲーム『アトム:時空の果て』。本作は、「鉄腕アトム」をはじめとする手塚治虫キャラクターたちが作品の垣根を越えて結集し、サイバーパンクな未来世界を舞台に、まったく新しい物語を綴る一作として発表。また、開発の支援を目的とするクラウドファンディングを「Makuake」にてスタートさせ、目標額の200万円を先日達成しました。

Makuakeでのプロジェクト成功は、本作に対する期待感の表れとも言えるでしょう。知名度の高さはもちろん、業界の最前線で活動を続けるクリエイターの多くが影響を受けたことでも知られている手塚治虫作品。そのIPを用いて、また各キャラクターを新たに描くことで、如何なるゲームを生み出すのか。気になっている方も多いことと思います。


左からイバイ氏、手塚氏、松山氏

クラウドファンディング達成に先駆け、本作の開発に当たっているアクティブゲーミングメディアのイバイ・アメストイ氏と、手塚治虫作品が常に身近な距離にあり、誰よりもよく知る手塚眞氏、そして本作に向けて2キャラクター分の設定や新たなデザインアートなどを担当するサイバーコネクトツーの松山洋氏をお招きし、『アトム:時空の果て』の立ち上がりや本作ならではの魅力、更に今後の展開など、非常に幅広い話を伺いました。

企画・編集:栗本浩大(@koudai5511
聞き手・文:臥待 弦

◆誰もが躊躇する「アトム」の新デザイン、まさかのスピルバーグ監督にも打診


──本日はよろしくお願いします。まずは、本作『アトム:時空の果て』にどのような立場で関わっているのか、読者の方々に向けた自己紹介をお願いします。

イバイ氏:アクティブゲーミングメディアの代表を務めるイバイです。当社は、このゲームの開発会社およびパブリッシャーという形になります。

手塚氏:私は、ヴィジュアリストという肩書きで映画を作ったりするほか、手塚治虫のコンテンツ全てを扱っている「手塚プロダクション」の取締役もやっています。

手塚治虫のコンテンツで、特に慎重にやらなければならないプロジェクトの時に、いつも監修をさせていただいています。今回も、手塚治虫作品全般をベースにしたゲームということで、監修を行っています。

イバイ氏:肩書きだけの監修ではなく、キャラクターデザインやゲームプレイ、シナリオも含めて、非常に細かく監修していただいています。

──手塚眞さんの監修を受けて、「なるほど」と思ったり感銘を受ける部分は多かったですか?

イバイ氏:はい、沢山ありました。例えばキャラクターデザインに関しては、「ここを変えた方がいいんじゃない?」といったご指摘はもちろん、「手塚先生は、こういう思いでこのキャラクターを描いたので、ここの部分は変えない方がいい」といった明確なアドバイスも多くいただきました。

手塚氏:意外と難しいんですよ(笑)。自分もクリエイターじゃないですか。クリエイターとして口を挟むのと、コンテンツを守る人間として口を挟むのは違うため、立場に一線を引きつつ話をしなければならないので。

──内からわき上がってきたものが、どちらの視点から生まれたものなのか、それを常に自分に問いかけていらっしゃるんですね。では松山さん、お願いします。

松山氏:本作のプロジェクトが立ち上がった後だと思いますけど、世界観や、登場するキャラクター、ユニットイラストにデザインなどを、パートナーシップを結んで一緒に作っていけるクリエイターを探しているという話を、AGMの“特攻隊長”こと東野さんから伺いまして(笑)。


──どのような形で話が進んだのでしょうか。

松山氏:いきなり「奥浩哉さんが決まりました」とか言われて(笑)。始めは、手塚治虫作品の案件とは教えてくれなかったんですよ。「面白いことをやろうとしている」「色んな人に声をかけている」「この案件であれば、多くのクリエイターがやりたがると思います」といった感じで切り出され、だからCC2さんと一緒にやりたいんですと。

──その話を聞いた、松山さんの第一声は?

松山氏:「だから中身を言え!」でしたね(笑)。

──ですよね(笑)。

松山氏:それで詳しい話を聞いたら、手塚治虫のIPでカードゲームを作るという話じゃないですか。一瞬、「どの手塚治虫!?」とか思いましたよ(笑)。そんなバカな、って。でもどうやら本当だったので、更に驚きました。

イバイ氏:松山社長はクリエイターを応援する人だという話は、ゲーム業界の中でも有名なんですよ。私がお会いしたのは今日が初めてなんですが、彼は自分のところのスタッフでも、どんどん前に出て取材を受けて欲しいと考えている方でして。

そういったお話を聞いたから、東野も松山さんのところへ話を持っていったのだと思いますが、受けていただけるとは全然考えていなかったので、本当に感謝しています。

松山氏:東野さん曰く誰でもいいわけではなくて、漫画が好きで企画に賛同してくれる人を捜していたそうです。その話を聞いた時に、「よくぞ俺のところにもってきたな!」と嬉しくなりました(笑)。

私はかなり漫画が好きなんですが、その中でも手塚治虫といえば神様みたいなものじゃないですか。そんな方の作品と、このプロジェクトを通して関われるなら、それは是非ともという感じでお返事させていただきました。

ちなみに今回ウチは、「鉄腕アトム」の中から2つのキャラクターをお預かりして、(本作向けの)キャラクター設定とデザインアート、ユニットイラストの作画を担当させていただきます。あとは、全般的なプロモーションの協力をやって欲しいと伺っています。その関係で今日も呼ばれたのだと思います(笑)。

──このプロジェクトを耳にしたら、やらずにはいられなかったと。

松山氏:ええ、そうですね。

手塚氏:どちらかですよね、「絶対やりたい!」と思うか、「怖くてやれない」と思うか(笑)。怖いというのは、色んな意味で。

松山氏:確かにそうかもしれません。

イバイ氏:色んな方にお話をさせていただいた時も、「興味がない」という回答は一回もなかったんですよ。「今忙しいから、来年まで待ってもらえるならやりたい」とか「このキャラクターなら手がけてみたい」といった反応も多くて。ただ唯一、「アトムだけは嫌です」と断られましたね。


──あれだけ確立され、また支持を受けているキャラクターですからね。

イバイ氏:手塚治虫さんのデザインを直接受け継ぐだけではいけませんし、普通の子供に近い視点で描くとなると浦沢直樹さんが描いた「PLUTO」のアトムを超えることはないでしょうから、今回はまったく異なるアプローチで取り組んでいます。

──では、現段階ですでに、アトムのデザインは進んでいるんですね?

イバイ氏:はい、手塚さんに監修していただきながら、会社の中で進めています。今年中には、本作のアトムのデザインをお披露目できます。「もう少しまゆげの感じを変えた方がいい」などの指摘をいただいて修正してみると、かなり印象が変わるので、やはりアトムのことをよく分かっていらっしゃるんだなと改めて感じます。

手塚氏:10年くらい前に、IMAGIという会社がアトムを題材にした3Dのアニメーション映画『ATOM』を制作しました。この時も監修として入ったんですが、漫画のキャラクターは平面なので非常に難しいんですよね。手塚治虫の平面というのは、ただの平面ではなく時間を描いている絵なので、始めから歪んだ状態の絵になっているんですよ。それを立体化すると不自然になってしまうんです。

本当に3Dにするのは難しくて、IMAGIのスタッフも色んな形でチャレンジしたんです。漫画の通りにやってみたり、リアルにしてみたり。でもやっぱりおかしいんですよね。その試行錯誤にずっとおつきあいしました。


──その時は、どのようなアドバイスをされたのでしょうか?

手塚氏:アトムって漫画の中で、女の子みたいなまつげをしているんですよ。あれがチャームポイントでして、ああいう子供みたいな見た目のキャラクターが強いという演出が面白いわけです。ただ、それを3Dにしてまつげをつけると、本当の女の子みたいになってしまうんですよ。

あと国際的な認識もありまして、アメリカの低年齢層の子供達というのは、まつげのあるキャラを「女の子」と認識してしまうんです。なので一度まつげを外してみたんですが、そうすると今度はアトムっぽさがなくなって。だから、「どのくらいのまつげにしようか」という模索をしましたね(笑)。身体の全てのパーツに関して、そういった苦労を経ました。

こうして出来上がったものは、「ワールドワイドでみんなが納得するもの」という形になるわけですが、そうするとどうしても、日本人が見ると違和感を感じる。でも逆に、日本人が一番好むデザインをそのまま立体化すると、諸外国に持っていた時に「おかしい」となってしまうわけです。本当に難しいんですよ。

──ではそういった中で、本作のアトムはどういったイメージで監修されているのでしょうか?

手塚氏:今回は世界観がサイバーパンクなので、ストーリー的にも設定的にも理解した上で、「その世界観の中のアトム」というイメージで考えています。あとは、他の登場キャラクターとの兼ね合いやバランスも考慮しつつ、ですね。

イバイ氏:ただ、「今回の作品のキャラクター」という理解をしていなくとも、「このキャラは誰ですか?」と聞いたらみんなが「アトム」と答えるようなデザインになっています。具体的に言えば、髪の毛であったり、全体の色の配色などですね。

──新たな切り口によるアトムのお披露目、楽しみにしています。

イバイ氏:ちなみに、アトムのデザインをスピルバーグ監督にやってもらえないか、お願いしたこともあるんです。

──大御所もいいところじゃないですか! どのような返答をいただいたんですか?

イバイ氏:ものすごく忙しいので、今は難しい。2年くらい待ってくれたらやれるかも、とのお答えでした。あと、スピルバーグ監督は、「A.I.」という映画に携わった時に「鉄腕アトム」を参考にさせてもらったと仰って、「子供を、大人も憧れるヒーローにするのはすごく難しいので、気を付けてくださいね」とも教えてくださりました。

──重いお言葉ですね

イバイ氏:スピルバーグ監督も参考にするほどのキャラクターなんですよね、アトムは。

手塚氏:「A.I.」の企画を最初に立てたのは、キューブリック監督と聞いています。亡くなる前にスピルバーグ監督へ譲ったそうですが、キューブリック監督は「鉄腕アトム」の大ファンだったんですよね。「2001年宇宙の旅」を製作する時にも、手塚治虫に直接連絡をとって「美術監督をやってください」と話を持ちかけたくらいです。なので、「A.I.」に対しても、「鉄腕アトム」が何かしらのアイディアや影響を及ぼしたのかなと思います。

──次々と意外なお話をいただけて、嬉しく思うと同時に驚きの連続です。色々とありがとうございます。
《臥待 弦(ふしまち ゆずる)》

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