世界で年20%超の急成長ーeスポーツ市場の売上を支えるのはZ世代を見据える企業たち | GameBusiness.jp

世界で年20%超の急成長ーeスポーツ市場の売上を支えるのはZ世代を見据える企業たち

著しいスピードで拡大するeスポーツ市場を概観し、eスポーツに注目が集まっている理由を改めて解説します。

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世界で年20%超の急成長ーeスポーツ市場の売上を支えるのはZ世代を見据える企業たち
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昨今、eスポーツ市場は急速に成長しており、ゲーム業界のみならずゲーム非関連企業からも大きな注目を集めています。世界的には、オリンピック種目採用を目指した動きが加速。今年6月にはシンガポールにて「オリンピック・eスポーツ・シリーズ」が開催されました。2023年9月に中国・杭州で開催される第19回アジア競技大会でもeスポーツが正式種目として実施される予定で、2026年開催の第20回アジア競技大会(愛知・名古屋大会)においても正式種目として採用されています。

この記事では、著しいスピードで拡大するeスポーツ市場を概観し、eスポーツに注目が集まっている理由を改めて解説します。

年成長率21.5%と急拡大する市場

新型コロナウイルスの流行により外出の機会が減り、人々がデジタルサービスに没頭するようになったことから、SNSや動画・ライブ配信サービスは大きく成長しました。ゲーム市場もその恩恵を受けた分野であり、任天堂やテンセント等のゲーム企業はコロナ禍で売上を伸長。そしてeスポーツの流行にも拍車がかかりました。

米Statistaの公開しているデータによれば、世界のeスポーツ市場規模は、2022年は14.5億米ドル、2023年は17.2億米ドル、そして2030年には67.5億米ドルに成長すると予測され、その年平均成長率は21.5%にも上ります。

Statistic: eSports market size worldwide in 2022, with a forecast for 2023 and 2030 (in billion U.S. dollars) | Statista
世界のeスポーツ市場規模の推移と予測(単位:10億米ドル)
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eスポーツの観戦者数も年々増加傾向にあり、2020年の4億3570万人から、2022年には5億3210万人に。2025年には6億4080万人になる予測です。

Statistic: eSports audience size worldwide from 2020 to 2025, by type of viewers (in millions) | Statista
世界のeスポーツ観戦者数の推移と予測(単位:100万人)
黒:たまに観戦する 青:熱心に観戦する
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地域別の興味深い特徴として、主に欧米、韓国、日本などではPCゲームが、中国や東南アジア、中東、アフリカなどではモバイルゲームがそれぞれ主流なeスポーツタイトルとなっていることがあげられます。

日本国内でeスポーツというとPCやコンソールのタイトルを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、モバイルゲームは参入障壁が低く、eスポーツ市場において大きな存在感を放っていることを忘れてはいけません。ゲーム市場全体の話にはなりますが、2022年のグローバルのゲーム市場ではモバイルゲームが全体の半分を占めています。

2022年のゲーム市場内訳(画像出典:Newzoo)

『PUBGモバイル』をはじめとするモバイルゲームが盛んな中国はすでに世界屈指のeスポーツ大国ですし、東南アジアや中東、アフリカではコロナ禍でモバイルゲームユーザーとライブ配信の視聴者が増加したことを追い風に、今後、市場全体の成長をけん引していくと見られます。

市場の大部分を占める「スポンサーシップ収益」

ここまではeスポーツ全体の市場規模の推移を見てきました。では、実際にどのようなお金が動いているのでしょうか。

2022年、eスポーツチームや大会の主催者がスポンサー企業との契約で得た「スポンサーシップ」による収益は8億3730万米ドルで、eスポーツ市場における売上の約60%を占めていることが特徴的です。

Statistic: eSports market revenue worldwide in 2022, by segment (in million U.S. dollars) | Statista
2022年eスポーツ市場のセグメント別売上(単位:100万米ドル)
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「eスポーツ大会のスポンサーとなる」ということの大きなメリットは、やはりZ世代へ効果的にアプローチできることでしょう。Z世代はゲームや動画共有サービス、SNS等の利用が他の世代と比べても多く、ブランド認知や販売促進において、eスポーツを絡めたアプローチが効果的であることが複数の調査分析でも示されました

ゲーム・eスポーツに関連するPC・周辺機器ブランドだけでなく、レッドブル、コカ・コーラなどの食品・飲料メーカー、マスターカードやVISAといったクレジットカードブランドなど、多様なジャンルの企業がプロチームや大会とスポンサーシップを結んでいます。

一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)理事の浜村弘一氏は過去のインタビューの中で、ノンプレイヤーも巻き込んだeスポーツの盛り上がりをプロ野球に例え、「見るスポーツ」としてZ世代にリーチする有効な手段であることを指摘しました。


「スポンサーシップ収益」の他には、「メディア放映権」が2億780万米ドル、「パブリッシャーフィー」が1億3070万米ドル、「グッズ、チケット収入」が1億790万米ドルと続いています。「パブリッシャーフィー」は、大会で使用されるゲームタイトルのパブリッシャーが大会主催者に支払う手数料。大会で自社タイトルが使用されることでマーケティング上のメリットを享受できることの対価であり、eスポーツ市場における特徴のひとつでしょう。

「スポンサーシップに大きく依存している」ともいえる現在の状況ですが、先日開催された「VCT 2023 Masters Tokyo」の熱狂を見ると、こういったオフライン大会やイベント開催が増えることでチケット収益やグッズ、その他周辺ビジネスの収益もますます増えていく可能性は高いといえます。


eスポーツ市場がグローバルに拡大していること、そしてその売上の多くを「スポンサーシップ収益」が占めており、若者へのマーケティング施策としてのeスポーツに注目が集まっていることを紹介してきました。

e-Sports Business.jpでは、「eスポーツ市場への新規参入」「ビジネスチャンスとしてのeスポーツ」という視点から、さまざまな有識者へのインタビューを行っていますので、ぜひご覧ください。




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