これからeスポーツへ参入する企業は何を考えるべきなのか―KPMGコンサルティング ヒョン・バロ氏インタビュー | GameBusiness.jp

これからeスポーツへ参入する企業は何を考えるべきなのか―KPMGコンサルティング ヒョン・バロ氏インタビュー

様々な企業が参入を始めているこの業界ですが、その現状とこれから参入する企業は何を大事にするべきなのでしょうか。

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これからeスポーツへ参入する企業は何を考えるべきなのか―KPMGコンサルティング ヒョン・バロ氏インタビュー
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昨今、ますます注目を浴びているeスポーツ業界。以前では考えられないほど認知度が上がり、様々な企業が参入を始めているこの業界ですが、その現状とこれから参入する企業は何を大事にするべきなのでしょうか。

今回は、日本のeスポーツ黎明期である2018年に、KPMGコンサルティング株式会社にて、eスポーツアドバイザリーを立ち上げたヒョン・バロ氏に、今のeスポーツ業界と参入した企業の成功事例、そして未だ残る大きな課題などについて、お話を伺いました。

――まず始めに、簡単に自己紹介をお願いいたします。

バロ:韓国生まれのアメリカ育ちで、コンサルティング業界に入る前まではアメリカと韓国の企業や団体で研究開発の業務に10年ほど携わっていました。アメリカで航空宇宙工学博士号を取得し、韓国の大手自動車メーカーの研究開発本部にて自動運転の開発の開発責任者を任されていました。その後2016年に来日して、2017年にKPMGコンサルティングに入社し、今に至っています。

――一貫して研究開発であったり、リサーチャーとして働いていたのですね。

バロ:コンサルティング業界に転職するまではそうでしたね。KPMGコンサルティングに入社後は、先端テクノロジーに触れていたというバックグラウンドを活かして、AIやデータアナリティクスという分野に携わり、MRヘッドセットを使ったKPMG独自のARソリューションを担当したこともありました。

――その頃からeスポーツにも目を向けていた?

バロ:そうですね。韓国やアメリカでeスポーツの発展を見てきたのですが、ゲーム大国である日本でなぜeスポーツが流行っていないのか、おかしいなと。2017年の夏ごろから社内でもその話を少しずつし始めて、私が一番最初に実施したのが社内の勉強会でした。eスポーツとはどういったものなのかを知ってもらうための勉強会ですね。この勉強会に意外と人が集まり、参加者の反応もよかったのです。それで、これはもしかしたら、脈があるのではと思いまして。

――ありがとうございます。これまではe-⁠Sportsアドバイザリーという部署名でしたよね。

バロ:立ち上げのころはそうでしたね。最近はデジタルコンテンツアドバイザリーいう部署名になりまして、e-⁠Sportsだけではなくメタバースなども担当しています。

――KPMGコンサルティング内のeスポーツおよびデジタルコンテンツのチームは何名ほどいらっしゃるのでしょうか。

バロ:専属のチームメンバーはさほど多くありませんが、プロジェクトに合わせてメンバーを集めたりしますので、戦略系やパブリックケアに携わるメンバーを含めると10名程度になります。

――日本においてはeスポーツがかなり盛り上がってきていますが、2017、18年の当時はビジネスとしてもまだまだ拡大していませんでした。その中で、KPMGコンサルティングはeスポーツのどこにビジネスチャンスを見出したのでしょうか。

バロ:まだマーケットとして重視されていない部分がポイントでした。海外では既に有望なマーケットとして認識されているのに、日本がそうなっていないのはやはりおかしいなと。eスポーツのマーケットは、ご存知の通り大手ゲーム会社や出版社など、一社のIPホルダーがすべてを取り仕切るというよりは、エコシステムで成り立っています。その中で私から見てチャンスだと思ったのは、ゲームと関係ないように見える我々のような存在でも、コンサルタントして関わり、マーケットを引っ張っていけるような要素が多い、というところでした。経営層からも成長性が見込めると同時に、健全性も求められているマーケットであることから、共感を得ることができたと思っています。

――“コンサルタントの入る余地がある”というのは、具体的にどのようなソリューションやアイディア提供を考えられていたのでしょうか。

バロ:そうは言ったものの、まずはやりましょう、ということで始めましたので、実は悩みました。当時マーケットから必要とされそうなサービスを考えて提供しましたが、残念ながら現在まで同じ形で続いているサービスはあまりありません。現在は、様々な企業にヒアリングさせていただきながら試行錯誤して、サービス開発をしていますが、注目が高いテーマは「市場戦略・事業戦略」ですね。新規事業戦略策定支援として、計画の策定や実行支援の実績が多いです。専門チームの立ち上げ支援を行うこともあります。

――そういうこともされているんですね。

バロ:例えば宮崎県にある企業から、宮崎県内にプロスポーツチームがないので地元のチームが欲しいという話を伺ったことがあります。プロスポーツチームを持つというのはそれなりの投資が必要になりますが、eスポーツチームであれば比較的少ない投資で実現できるのではという話から始まり、実際に立ち上げられています。

――以前はプロダクトアウト的に工夫していたのを、今は日本独自に合わせたソリューションやサービスを軸に、若干マーケットイン型に切り替えているという形ですね。

バロ:そういう流れになりましたね。その中で、経済産業省様が注目してくださっているのはひとつキーになる部分かなと。政府における政策立案に関する提言や、マーケットリサーチというのはまさに我々が一番強みを持っている部分ですので、その中で、海外の先行事例を収集・分析し、様々なパターンを提案さていただきました。そこでの接点から、またクライアントが増えることもありました。

――ちなみに、KPMGコンサルティングとして一番最初に携わったeスポーツプロジェクトはどのようなものだったのでしょうか。

バロ:eスポーツの専門人材の育成や専門組織の立ち上げの観点から、「ガバナンス構築支援」「先端テクノロジーを活用したビジネスモデルの構築支援」「グローバルな視点に立ったマネジメント体制構築支援」の3つの軸でサービス提供を開始しました。まずはKPMGの既存のナレッジを活かす形でご相談をいただいた企業などに提案をしました。その3つを進めながら、もう一つ教育ビジネスを行いました。それが、慶應義塾大学様と実施したeスポーツ論という専門人材育成の寄附講座です。その講座からは私たちも様々なインサイトを得ることができました。講座やプロジェクトを進める中で得たインサイトを活かして、新しいサービスの開発も進めています。

――ありがとうございます。マーケットの健全化、というお話もありましたが、実際どのようなイメージなのでしょうか。

バロ:2010年、韓国のeスポーツが盛り上がっていたころに、八百長事件が起き、当時あったチームの半分以上がなくなりスポンサーも多くが撤退しました。どれだけみんなが頑張って、苦労して育てたマーケットでも、このようなことが起こると、マーケットは縮小してしまいます。この事件をリアルタイムで見てきて、学ぶことはたくさんありました。

競技をしている以上、公平性やアカウンタビリティなどは非常に大事な部分です。そこをどう担保していくのか、それがビジネスとして成り立つかどうかとは別の軸で、協会などの団体とは別に政府で担保するなど何かしらの取り組みを考えるべきだと思います。我々KPMGコンサルティングは本来ゲームとは関連性が低い企業ですが、監査法人をグループ会社に持つファームであることから、守りのリスクコンサルティングというのは強みのひとつです。その視点から、もっと貢献できることがあるのではと考えています。

――確かに、eスポーツ市場におけるプロテクトシステムというのはやはりまだまだ弱いですよね。

バロ:日本に限らず、eスポーツ関連のスキャンダルはどこの国にもあります。八百長だったりチートだったり。そこに関して何か施策や取り組みを行っていかないと、サステナブルにならないと思います。

――特に日本ではリスク視点から貢献できる会社はほぼないと思いますので、非常に興味深い話です。ありがとうございます。そうして約4年ほど日本のeスポーツに関わられていますが、何か変わってきた部分はありますでしょうか。

バロ:まずはeスポーツの認知度がかなり上がりましたね。今はもう知らない人がいないほどです。ビジネスとしても、みんな前向きに検討している部分があるのかなと思っています。2018年当時は提案に行っても、担当者レベルでは話が進みますが、決定権を持っているある程度上役の人に「わからないから」と流されてしまうことも多々ありました。その当時と比べると状況はかなり変わっていますし、あとマーケット全体を見ると、“日本らしい”動きもかなり出てきていると思います。例えば、地方の自治体などが推進しているeスポーツの取り組みなどがそうですね。海外ではまず見られない現象だと思いますので、興味深く感じています。今はまだ創生期だと思いますので、日本らしいモデルをもっともっと成長させていく必要を感じています。

さらに細かく言うと、この4年間でチームや選手の成長も見られました。当時は日本からグローバルで活躍するチームや選手というのはあまりいなかったのですが、今は『VALORANT』などで大きな成果を出しています。たった4年でここまでの成果を出すというのは誰にも予想できなかったのではと思います。

また、スポンサーの金額、大会の賞金も非常に伸びて億単位になってきていますし、スポンサーとして関わる企業も業界問わず増えてきたのは非常に良い点です。

コロナ禍でリアルなイベントが開催されなかったということはありましたが、その分オンラインイベントが盛んに行われ、今はまたリアルイベントが盛り上がってきています。日本のeスポーツマーケットはポテンシャルが高いなと感じますね。

――逆に変わっていない部分というのはありますか?

バロ:日本のゲーム会社、ゲーム業界からの積極的な参加、つまり投資があまりないというのは変わっていないと感じています。eスポーツ型のゲームやコンテンツ作りがもっと活発になれば嬉しいですね。

今、eスポーツといったらやはり海外のタイトルがメインですよね。もちろん、様々な課題はあるものの、ゲーム実況などに関しても、自社のIPに関する保守的な部分というのはまだまだ変わらずにあると感じています。この考えは今後変わっていってもいいのではないかと思っています。

――何かやりたいと思っている国内ゲームメーカーは多いかもしれませんが、リスクヘッジのやり方がわからない、というケースはあるかもしれません。そこにKPMGコンサルティングが入って、守りのソリューションを提供するというのはビジネスとしてあるのではないでしょうか。

バロ:おっしゃる通りで、リスクヘッジの部分もそうですし、根本的なビジネスモデルが国内のゲームと海外で全く違うんです。国内ではゲームをパッケージで売って収益を得るビジネスモデルですが、海外では基本プレイは無料ですがゲーム内でアイテムを購入したりするマイクロトランザクションで収益を得るのがメインです。

ゲーム会社としては、簡単にビジネスモデルを切り替えることは難しいと思います。中長期的な視点で、どちらの方がリターンが高くなるか、リスクテイクができるかどうかは、もちろんその会社の経営判断になると思います。ですが、そこで我々のようなコンサルティングファームが、中長期的にどの程度のリターンが見込めるかというのを、金銭的な面もカルチャー的な面も含めて戦略策定をご支援できるといいのではと考えていまして、今は様々な企業に提案させていただいている状態ですね。

――ありがとうございます。先程、日本のチームから世界で戦えるような強いチーム、選手も出ているという話もありましたが、注目されることが多くなった分スキャンダルというような問題も増えてきています。

バロ:そうですね。eスポーツ市場のエコシステムの中に様々なプレイヤーやステークホルダーが存在しています。それを何か一つの取り組みで全部守るというのはおそらく無理なので、それぞれのステークホルダーごとに必要になってくる守りの取り組みというのがあるのではと思います。

例えばスポンサーと大会主催者、チームの関係であれば、間に金融機関などの第三者を立てることで、金銭の流れを透明化する、というのはひとつ考えられますね。他にもストリーマー(配信者)の側に立つと、別の見方がありますので、切り口次第で様々な議論の余地が生まれてくると思います。しかし、それが全部整理されているかというとそうでもありませんので、1つ1つ整理していければと思っています。

――少し前までは、「eスポーツ=大会」、という感じでしたけど、今はストリーマーやVTuberなども含めてeスポーツと捉える方もすごく増えているので、整理するのは難しいですよね。

バロ:eスポーツとファンのコミュニティという面でも、コミュニティの数が多い分バラバラで、とても難しい問題ですね。また、ゲームコンテンツ自体にも寿命があり、長くて5年ほどだと思います。一方で『リーグ・オブ・レジェンド』のように10年を超えるゲームもありますが、それでもやはりサイクルがあり、そのコミュニティ自体がなくなってしまうこともあるので、産業としてもビジネスオーナーとしても、eスポーツに手を出すのは難しいと思います。

これが一般のスポーツであれば1つの競技が長く続くケースが多いので、守りの取り組みを1つ作ると長い間活用できます。しかし、eスポーツではそうではありません。そのため、eスポーツにおけるこういった守りの取り組みは、一企業だけで対応するのは難しいのではないかと思っています。ここは政府やパブリックセクターと連携してソーシャルインフラとして対応した方が環境の健全化になるのではないかと考えています。

――韓国やアメリカといったeスポーツ先進国では、そのような事例はあるのでしょうか。

バロ:代表的な例で言えば、韓国にもJeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)様のような組織があり、先程お話した八百長事件から本格的に動き始めたと思います。その組織がリードして、タイトル・選手・大会・ネットカフェなど、様々な認定制度を設け、教育にも携わっています。これで全てに対応できているわけではないと思うんですけども、リーダーシップをとって改革を進めています。

一方で、アメリカや中国はプライベートセクターでリーダーシップをとることが多いです。例えばテンセント様は『リーグ・オブ・レジェンド』の世界大会を行っているので、彼らの規制集などを見ると、かなり厳しく、しっかり作っていることがわかります。プライベートセクターがリーダーシップをとれるというのは、体力のある企業だからこそ、という部分が大きいです。そのような企業が今、日本にあるのかというと疑問ですね。そのため、日本の場合だと例えばJeSUと政府、企業とで連携してやるべきなのではないかと感じています。

――その中で、KPMGコンサルティングと経済産業省とのeスポーツに関する調査結果を先日発表されていました。この調査結果から、得られた気付きはなにかありましたか。

バロ:WEBに公開されていますので、細かい部分は調査結果を是非読んで頂きたいのですが、やはりマーケティングチャネルとしてeスポーツとゲームは効果がある、というところがメインになるかと思います。実際、それを検証することが狙いで作成したレポートでもあります。例えば、最近はSNS広告の効果が一般的になっていますが、eスポーツやゲーム内広告についてはまだまだ効果が広まっておらず、検討している企業は一部に留まります。

しかし、様々なスポンサー企業へインタビューしてみると、多くの企業がその有効性を感じています。マーケティングやプロモーションの際に、SNSやテレビなど様々なオプションがある中で、eスポーツやゲームを選択肢の一つとして検討していただきたいというのが、今回のレポートになります。

――特に若年層、いわゆる“Z世代”に効くと。

バロ:そうですね。Z世代には特に効果が大きいです。他のスポーツ業界もそうですし、悩みはどこも同じだと思うのですが、観客層はどんどん年齢が高くなっているので、Z世代との接点作りは本当に難しくて。その中でeスポーツとゲームは、Z世代には非常に有効な選択肢だという部分が一番大事なポイントです。

――ありがとうございます。今の環境の中で、ビジネスとしてeスポーツに参入する際のメリット・デメリットというのはどのようなものがあるのでしょうか。

バロ:ケースバイケースであり業種でも変わってくるとは思いますが、一般的には、コンテンツを持ってない企業もしくは自治体に向けて、掛け算ができるコンテンツを持っている企業は、eスポーツの強みを活かせると思います。自社でゲームを作れなくても、eスポーツという素材を使えば、チームを持つことも、大会を主催することも、配信することもできる。周辺産業まで考えれば、ヘルスケアや教育などもあります。企画としての選択肢はとても多くあるのです。

もちろん、企画の良し悪しなどはありますが、比較的少ない投資でも自社のコンテンツが作れ、それでブランディングもできる。事業としてローコストかつ、上手くいけば、ハイリターンが得られる部分なのかなと思いますね。

ただ、企画をたてても企業としてどこまでできるか、という現実的な問題もあります。eスポーツ市場はまだ未知数な部分も多く、見解も複数出ています。一つの会社のみで全ての企画に対応していくのは難しく、パートナーシップを組んだり、第三者の企画を導入することも多いです。

――選択肢は多い、ということは、eスポーツをメディアビークルの一つとだけ捉えると、逆に駄目と。ただ大会を主催するだけではなく、ファンが喜ぶ演出や企画などを提供しなければならない。

バロ:そうですね。例えば、人気のあるゲームタイトルの大会をタッチポイントにして、という形は多いと思いますが、それが自分の事業にメリットがあるのかという部分は考える必要があります。実際のターゲットはそこではなく、高齢者かもしれないし、親子かもしれない。そこはしっかりと検討するべきです。どんなターゲットでも、eスポーツ企画主体でリーチができるのがこのマーケットの強みですので。

――バロさんから見て、eスポーツにチャレンジして成功している国内企業の事例などはありますか?

バロ:先程のレポートの中にもいくつか取り上げていますが、例えばとある保険会社ではeJリーグを長くスポンサードしているなかで、数万人にリーチし、その内数%が資料請求を行っているという結果が出ています。レートとしては比較的高くなっており、満足度の高い結果を得ています。他にも、金融証券会社でeスポーツチームを立ち上げて、ブランディングに成功している例もありますね。

また、九州地方の食料品・健康食品メーカーでは、eスポーツチームの立ち上げをきっかけに、選手やファン向けのサプリを製品化し、中国市場を中心に成功を収めています。eスポーツ向けサプリを出す・出さないはもちろん経営判断ですが、チームを立ち上げたからこそ、何か気付きがあったのではないかと思います。

他にも、PCメーカーやゲーミング関連のデバイスを中心とした小売系の企業で販売実績をあげている企業もありますね。eスポーツ業界に近い商品を出している企業ほど実績が出やすいというのはわかりやすいですが、一方で全く違う業界の企業も成功しています。

もちろん、成功する・しないは企業にもよりますし、何か業界に近しい商品を出していれば、それだけチャンスは多くあると思います。それでも、全く違う業種、BtoB・ビジネスパーソン向けの企業でも、eスポーツチームを作ることでZ世代の接点が増え、ファンも増えています。そこは例えば採用などの面でもプラスだと思います。大事なのは考え方次第なのではないかと。新規事業をeスポーツでやりますと言っても、すぐに黒字化できる世界ではないので。参入を検討している企業が、そういう観点で見られるかどうかは大事な部分だと思います。

――ありがとうございます。様々な成功事例はあるということですね。他に、eスポーツ×採用についてもバロさんの意見を伺いできればと思います。

バロ:我々自身そこはかなり効果を感じています。我々はBtoB企業ですが、eスポーツから我々のことを知っていただき、応募いただくことはかなり増えています。毎年の新卒採用の中で、インターンシップを行っているのですが、コロナ禍前に2年ほどインターンシップケースとしてeスポーツを取り上げたことがあります。また、先ほど申し上げた寄附講座では、毎回様々なゲストスピーカーをお呼びし、考え方や視点をシェアいただき、最後にはピッチコンテストを行いました。仮のクライアントを設置し、どのようなビジネスアイディアがあるかを考えていただき、最終プレゼンは我々のオフィスで行いました。実際、そのようなeスポーツの取り組みがきっかけで入社に繋がったケースもありました。

さらに、KPMGコンサルティングはグローバルネットワークを持つ企業なのですが、日本がいち早くeスポーツに取り組み出したからか、海外のKPMGメンバーから、採用でeスポーツを使いたいと問い合わせが来ることもありますね。そのような連携も可能です。

――eスポーツは、ビジネスチャンスがかなり多く、採用のツールとしても使える。そういう可能性に皆さん気づき始めていますね。その中で、最初期から市場に携わっているKPMGさん、バロさんとしてはどのような苦労があったのでしょうか。

バロ:やはりゲームというものに対してのネガティブな印象と、eスポーツの認知度の低さですね。そこの転換に繋がるような提案をしていくのも難しい点がありましたし、提案しても「知らないから」で落とされてしまうことも多かったです。その中で実績を少しずつ積み上げてからは、スムーズに話が進むことも増えましたし、経済産業省様とご一緒させていただいてからは、取引も増えています。やはり最初期の啓蒙活動は苦労した部分ではあります。

――ありがとうございます。これからeスポーツ業界に参入を考えている企業さんの参考になればと思います。

バロ:そういう意味ですと、もう一つ。経営層からeスポーツをやれと言われたのですが、どうすればいいでしょう、という相談を受けることがあるのですが、そういうケースは大抵うまくいかないです。

逆にボトムアップ、担当者レベルでやりたくてしょうがないという意思を持っている方がいて、経営層をどんどん説得していきたい、という体制の方が今まで見てきた限りだと成功しています。ですので、そうしたいけど上司の理解がないから止めている、という場合は、我々のようなコンサルティングファームにお声がけいただければ、支援ができますので。一番大事なのはその熱意だと思います。

――そうですよね。eスポーツに限らず。それでは最後に読者に向けてメッセージを頂ければと思います。

バロ:4年間続けていますが、eスポーツの可能性はまだまだあると思っています。日本らしいeスポーツモデルという話もさせていただきましたが、それを次のステップに持っていくためには、多くの関係者の協力を得なければなりませんし、それに対するリスクテイクが必要な部分もあると思います。そこを単独でやるには限界があるので、ぜひ、パートナーシップや座組を組んで協力できればと考えています。まだまだ伸び代はあると思いますので、チャレンジしていただきたいです。

――ありがとうございました。

《GameBusiness.jp》

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