AI推論と高速配信の両立でユーザーの「待てない」を解消―Akamaiが打ち出す、AI時代のゲームインフラの新機軸【CEDEC 2025レポート】 | GameBusiness.jp

AI推論と高速配信の両立でユーザーの「待てない」を解消―Akamaiが打ち出す、AI時代のゲームインフラの新機軸【CEDEC 2025レポート】

これまで両立が困難とされてきたグローバル規模での高品質なサービス提供と、高度なAI活用が可能になります。

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AI推論と高速配信の両立でユーザーの「待てない」を解消―Akamaiが打ち出す、AI時代のゲームインフラの新機軸【CEDEC 2025レポート】
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グローバル展開、マルチプレイ、そして高度なAI活用。ゲーム開発の要求が複雑化するにつれ、従来の中央集権的なクラウドインフラは限界を迎えつつあります。そんな中、「インフラは“分散”する」という新たなパラダイムを提示したのが、Akamaiです。

ゲーム開発者向け技術カンファレンス「CEDEC2025」では、アカマイ・テクノロジーズの森祐孝氏が登壇。「Akamai Cloudで進化するゲームインフラ」と題し、同社が提供する世界最大規模の分散型クラウドプラットフォームを活用した、次世代のゲームインフラ構築手法を解説しました。

本セッションでは、”エッジネットワーク”、”GPU”、”Kubernetes(K8s)”を組み合わせることで、リアルタイムAI推論とグローバル規模での高速配信という、相反する要求をいかにして両立させるかが、具体的なアーキテクチャやユースケースと共に語られました。本稿ではその詳細をレポートします。

世界最大規模の分散型プラットフォーム「Akamai Cloud」

セッションの冒頭、森氏は「Akamai Cloud」の概要を紹介しました。同プラットフォームは、総容量1000Tbps、世界130カ国以上、1,200以上のネットワークに接続し、4,350以上のエッジPoP(Point of Presence)を展開し、24時間365日のサポートを提供するという、“世界で最も分散されたコンピューティングプラットフォーム”だといいます。

「Akamai Cloudは、エッジデリバリー、サイバーセキュリティ、クラウドコンピューティングを統合し、大規模分散、完全自動化、高効率化を実現している」と森氏はその特徴を語りました。

このプラットフォームは、「エッジ」「ディストリビュート(分散)」「コア」という3つの層でサービスを提供しています。

  • エッジ: ユーザーに最も近い数千カ所の拠点で、CDN、FaaS(Function as a Service)などを提供し、高速なレスポンスを実現

  • ディストリビュート: 100カ所以上に配置された拠点で、KubernetesやGPUなどのコンピューティングリソースを提供(現在は十数か所、今後100か所以上に展開予定)

  • コア: 20カ所以上の主要なデータセンターで、DBaaS(Database as a Service)やオブジェクトストレージなど、より包括的なサービスを提供

この3層構造により、コアからエッジまでが連携し、最適な場所で処理を実行できる環境が構築されています。

AI時代が突きつける、従来のゲームインフラの限界

続いて森氏は、従来のクラウドインフラが抱える課題について言及しました。中央集権型のデータセンターに依存するモデルでは、ユーザーが物理的に遠い場合にレイテンシー(遅延)が増大するほか、AI推論のような高負荷処理をクラウドで行うと、データ転送コストや処理遅延が深刻な問題となります。

「ゲーム業界では高速・低遅延な配信が求められる一方で、GPUリソースの確保や同時接続数の増加への対応が課題となっている。ゲームの進化に伴い、NPCの行動制御やユーザーのパーソナライズ、リアルタイムのコンテンツ生成など、AIの役割が拡大しており、従来のクラウドでは対応が困難になりつつある」と森氏は指摘しました。

低遅延とコスト効率を両立するAkamaiのソリューション

これらの課題に対し、Akamai Cloudは明確なソリューションを提示します。その核となるのが、前述の分散型アーキテクチャです。

「Akamai Cloudでは、ユーザーの“待てない”を減らすために各サービスを提供している」と森氏は強調します。世界最大規模の分散ネットワークにより、ユーザーに最も近い拠点で処理を行うことで、遅延を10~80ミリ秒に抑えることが可能に。さらに、アウトバウンドのデータ転送コストを抑えた予測可能な料金体系により、運用コストの最適化も図れます。

また、オープンソースベースの設計により、特定のベンダーに縛られる状況=“ベンダーロックイン”を回避し、開発の自由度を高めることができる点も大きなメリットです。

パートナーソリューション「Edgegap」で実現する、最適なマルチプレイ環境

Akamai Cloudの強力なインフラは、サードパーティの優れたソリューションと組み合わせることで、さらにその価値を高めます。セッションではその一例として、マルチプレイヤーゲームのサーバー管理を自動化するAkamaiのパートナーソリューション「Edgegap」が紹介されました。

Edgegapは、マルチプレイヤーゲームにおけるサーバーの効率的な調整と管理という、複雑な課題を解決するSaaS(Software as a Service)です。Akamaiのグローバルなエッジロケーションを最大限に活用し、ゲームサーバーの自動配置、スケーリング、ライフサイクル管理を実現します。

その仕組みは以下の通りです。

  1. ゲームデベロッパーがゲームサーバーのイメージをEdgegapの「オーケストレーター」にアップロードする

  2. プレイヤーがゲームを開始すると、マッチメーカーなどを通じてEdgegapにAPIリクエストが送信される

  3. リクエストを受けたオーケストレーターは、世界中に分散されたAkamaiのエッジ拠点の中から、プレイヤーにとって最適な(最も遅延の少ない)場所にあるゲームサーバーを瞬時に起動または割り当て、プレイヤーを接続させる

森氏は、「この仕組みにより、プレイヤーは常に最適な低遅延環境でゲームをプレイでき、ゲームプラットフォーム全体のパフォーマンスと信頼性が向上する」と、その効果を説明しました。

AI推論を加速する高性能GPUと、それを支えるKubernetes「LKE」

セッションでは、ゲームAIに不可欠な技術要素として、GPUとKubernetesについても解説されました。

Akamai Cloudでは、NVIDIAの最新世代GPU「RTX 4000 Ada」を搭載したインスタンスを提供。これにより、リアルタイムAI推論や3Dレンダリング、動画処理などを高速に実行できます。

そして、この高性能なGPUリソースを効率的に管理・運用するために提供されているのが、フルマネージドのKubernetesサービス「LKE(Linode Kubernetes Engine)」です。

森氏はLKEのメリットとして、以下の点を挙げました。

  • 簡単な構築と運用:数クリックでデプロイでき、CI/CDパイプラインとの連携で運用を自動化可能

  • 高いスケーラビリティとポータビリティ:急なアクセス増にも柔軟に対応し、ゲームの安定稼働をサポート

  • GPUの効率的な活用:必要な時に必要な分だけGPUを割り当て、リソースを無駄なく利用

  • ゲームとの高い親和性:マッチングサーバーやセッション管理、マイクロサービス化に最適で、ゲームのスケーラビリティ向上に貢献

LKEを活用することで、開発者は複雑なインフラ管理から解放され、ゲーム開発そのものに集中できる環境が整います。

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AI推論からチート対策まで。ゲーム開発における具体的な活用事例

本セッションの核心である、AI推論と高速配信を両立させる統合アーキテクチャも紹介されました。


《多賀秀明》

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