
2024年5月にサービスを開始して以来、多くのプレイヤーを魅了している『学園アイドルマスター』。
その魅力の根幹をなすのが、アイドルたちの成長や日常を描く膨大な「コミュ(ストーリーパート)」です。リリース時点で800話以上、2025年7月時点では2000話を超えるという驚異的な物量を、高い品質を維持しながらいかにして生み出しているのか。
ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2025」にて、開発を手がけるQualiArtsの宇野雅視氏、杉村貴之氏、山城悠太郎氏が登壇し、その制作術の裏側を公開しました。本記事では、縦画面と横画面で異なるアプローチを取りながら、「量産」と「品質」という相反する課題を解決に導いた演出術と、それを支える内製ツールの詳細に迫ります。
『学園アイドルマスター』が描く2つの「コミュ」
講演の冒頭、宇野氏は『学園アイドルマスター』(以下、『学マス』)のストーリーパートである「コミュ」について、大きく2種類に分けられると説明しました。一つは、主にアイドルとプロデューサーの関係性を描く縦画面の「親愛度コミュ」。もう一つは、特定のアイドルユニットの物語を深く掘り下げる、横画面で展開される「初星コミュ」です。

縦画面コミュは、テンポ感とカジュアルさを重視し、より多くの物語をプレイヤーに届けることを目的としています。一方、横画面の初星コミュは、各話をアニメのように作り込み、重厚な読後感を感じさせることを目指しているとのことです。この異なる目的を持つ2つのコミュを効率的に制作するため、同社では制作ラインを分けて対応していると明かされました。