ゲームスタジオは既存IPという“安全な賭け”に頼っている―Newzooが最新レポートを公開 | GameBusiness.jp

ゲームスタジオは既存IPという“安全な賭け”に頼っている―Newzooが最新レポートを公開

新規IPは苦戦し、市場は飽和状態に。

市場 調査
ゲームスタジオは既存IPという“安全な賭け”に頼っている―Newzooが最新レポートを公開
  • ゲームスタジオは既存IPという“安全な賭け”に頼っている―Newzooが最新レポートを公開

Newzooは、2023年のコンソール&PC市場を振り返るとともに今後の市場を予測する最新レポート「The PC & Console Gaming Report 2024」を無料で公開しました。

ゲームユーザーによる総プレイ時間は減少傾向

リードアナリストのTom Wijman氏は、ゲーム市場は2022年にやや落ち込んだあと回復のきざしを見せてはいるものの、2023年は大規模なレイオフが業界に影を落としたと指摘。2024年のユーザーによる総プレイ時間は減少傾向にあり、多くの注目や資金は限られたゲームやゲームスタジオに注がれることになるだろうとしました。

その一方で『バルダーズ・ゲート3』に言及し、「プレイヤーベースをよく理解して尊重し、なおかつ奥深さも担保されているなど丁寧に作られたゲームであればその名を残すことが十分にできる」ことから、市場はまだ楽観視していると述べました。

ゲーム市場は飽和をむかえつつある

2023年のPCおよびコンソールゲームの売り上げは935億米ドルで、前年比2.6%増となりました。同年で大ヒットを果たしたゲームの多くはクロスプラットフォームでリリースされたものであり、PC市場の成長がそのまま市場の成長に寄与しました。

しかしヒット作の多くはライブサービス型のゲームではなかったことから、ユーザーのプレイ時間や収益などをライブサービスのヒット作から奪っているような構図でもあり、ユーザーの可処分時間の確保が大切なライブサービスゲームがゼロサムゲームになりがちな問題をあらためて浮き彫りにしています。

PCおよびコンソールゲーム市場の売上は、2015年から2021年にかけてCAGR(年平均成長率)7.2%の急成長を遂げた一方、2023年末から2026年までのCAGR 2.7%と控えめに予測されています。成長の要因は、コンソール機のさらなる普及と、まことしやかに噂されている任天堂の新型ゲーム機によるものが大半であると分析されています。ゲームメーカーは、飽和している市場でいかにプレイヤーの心を掴んで離さず、収益につなげるかが肝要となります。

ホリデーシーズンを含む第4四半期でも平均プレイ時間が減少

コロナ禍による巣ごもり需要が世界的に終わりつつあることで、2021年第1四半期から2023年第4四半期までの四半期ごとの平均プレイ時間(PC、Xbox、PlayStation)は26%減少しました。

第4四半期はホリデーシーズンが含まれることから一般的に成長が期待される期間ですが、それでも伸び悩み、2024年1月のプレイ時間も前年比10%減となりました。この傾向は今後も続くと見られており、現時点で予想されている2024年リリースタイトルに大型のものが少ないことも懸念材料であると見られています。

また全プレイ時間の約23%は過去3年以内に発売されたタイトルでした。これは2022年の19%から増加しており、2023年に多くの人気作が生まれたことがわかります。しかし、2023年のプレイ時間の60%以上は、たとえば『フォートナイト』や『Roblox』『League of Legends』などといった6年以上前にリリースされたタイトルが占めており、ここ3年~5年の間にリリースされたゲームは存在感を落としています。レポートでは「今日、プレイヤーを長時間夢中にさせるゲームを作ることがいかに難しくなっているかを示している」と指摘しています。

2023年にリリースされたタイトルのプレイ時間ではなく収益に目を向けると、ライブサービス型(17タイトル)が59%、買い切り型(26タイトル)が32%を占めていました。ジャンルから見てみるとTPSとアクションRPGのみがエンゲージメントを伸ばしており、この2ジャンルが今のトレンドといえそうです。

ゲームスタジオは「既存IPに頼っている」

2023年は毎月約30ほどのパブリッシャーがMAUの80%を占めていたこともわかりました。

ほかの大半のスタジオは『バルダーズ・ゲート3』や『Remnant II』などいくつかのヒット作をのぞけば注目されないことがほとんどで、その結果、ゲームスタジオは既存IPのフランチャイズという安全策に頼りきりになっているとの指摘も。

また、既知の人気タイトルであればあらためて存在を周知させる必要はないことから、『FF7リメイク』や『バイオハザード RE:4』のようなリメイクも有効な手段のひとつであるとしています。

レポートの全文は、こちらから無料でダウンロードできます。

《蚩尤》

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