グローバル展開の裏で規制と向き合うゲーム業界の課題とは?―法律家が語る「ゲームの法規制」や「生成AI」の今 | GameBusiness.jp

グローバル展開の裏で規制と向き合うゲーム業界の課題とは?―法律家が語る「ゲームの法規制」や「生成AI」の今

ゲームに関連する法をはじめ、生成AIや個人情報保護など日本国内と海外のあらゆる事例を、法律の観点から語ります。

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グローバル展開の裏で規制と向き合うゲーム業界の課題とは?―法律家が語る「ゲームの法規制」や「生成AI」の今
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2月20日、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は国内ゲーム産業におけるデータや調査結果をまとめたレポート、「CESAゲーム産業レポート2025」の発刊を記念したセミナーを実施しました。

セミナーではコンテンツやクリエイターの支援を行う省庁の働きや、ゲーム開発スタジオによる生成AIの活用事例、グローバルな展開が当たり前となる時代での課題など、さまざまな観点から“ゲーム業界の今”を見る多彩なトピックが語られました。

本稿では西村あさひ法律事務所・外国法共同事業の松本祐輝弁護士によるグローバル規制と向き合うゲーム産業と近時の課題についての講演の様子をお届けします。

ゲーム産業は海外進出がしやすい、しかし一方でグローバルな法規制に対応する必要も……。

松本祐輝氏

松本氏は西村あさひ法律事務所・外国法共同事業に所属する弁護士で、ゲーム産業分野での法規制や、経済産業省などと連携しeスポーツの規制緩和に取り組むなど、ゲーム業界の法律や整備に携わってきました。

まず松本氏はゲーム産業について、デジタルコンテンツならではの優位性がある点について言及しました。輸送や生産に大きなコストがかかる自動車産業などとは異なり、インディーなど小規模であっても海外にも展開しやすいローコストな面や、Steamなどの世界的な配信プラットフォームがあることも大きな利点になっていると語ります。

手軽に海外へ展開できる一方、各国の法律への対応については検討しなければいけない問題でもあります。例えばアメリカでは、消費者による訴訟のリスクが日本に比べて格段に跳ね上がりますし、ゲームに関する法規制についても各国の基準に対応しなければなりません。

また、韓国では2025年にゲーム産業法が改正され、海外の企業が韓国内でゲームを展開する場合には現地の代理人を設置することが義務付けられました。さらに、ルートボックス(ガチャ)システムにおいては排出確率の表示を義務化することが明文化されています。

欧米地域ではルートボックスを禁止するケースもみられるほか、EU各国でも追従して規制する動きが加速気味です。ブラジルの「電子ゲーム法」では青少年や未成年を保護するような内容も盛り込まれているといいます。

大手企業であれば各国の法規制対応にコストを割くことが可能ですが、インディー開発者や新規参入企業の場合、現地の法律の専門家による適切なサポートを受けられないまま対応しなければいけないような状況に陥ってしまうかもしれません。

各国のゲームに関する法規制で注目すべきポイントはいくつかあり、ルートボックスなどの「課金モデル」、中国当局の審査や現地での事業者登録など「販売許認可・外国事業者規制」といったもののほか、確率の表示など日本の内容に近くとも、課徴金や制裁が厳しいといったケースもあるようです。



また、機関によるレーティングが必須の地域や、利用規約やプライバシーポリシーがその国の言語で表記する必要がある地域など検討・対応が求められる事項は各国で様々です。さらには、その地域の宗教・政治・文化などあらゆる背景に対して「コンテンツの内容が不適切ではないか」などを考慮する必要もあります。

一方で、日本におけるゲームに関連する法規制の現状はどうでしょうか。資金決済法や景品表示法、特定商取引法など消費者を保護するきっちりとした規制がなされ、企業もしっかりと法令を遵守しているというのが松本氏の見解です。

しかし、日本の企業は法律を遵守する一方、海外事業者については法令を遵守していない場合でも大規模な課徴金や制裁が見られないなど、日本の事業者との対応に“不公平感”が生まれてしまっていることを指摘しています。

このギャップを是正するため、今後は不遵守事業者に対するアクセスの遮断や違反者の公表といった制裁措置を検討することや、企業の規模などに応じた柔軟な規制緩和の検証や整備を行うことの必要性を強調しました。

法律の観点から見る「生成AI」と「個人情報保護」への向き合い方

続いてのトピックは、法律の観点から見た「生成AIと個人情報保護」に移りました。AI法(人工知能基本法)に基づく「人工知能基本計画」では、まずはAIを実際に使ってみて、そのうえで規制の再検証やAIを基軸にした産業構造の構築などを検討していく指針が打ち出されています。

生成AIの生成物について関連付けられる著作権法については、既に行われた法改正により、第30条の4に記載された「当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合」、つまりデータの解析やAI学習などの範囲で使用する場合には、著作物の利用が認められています。

一方、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」にはこの適用が除外されることになります。

生成AIなどに関する分野では裁判例の蓄積が乏しいため、経済産業省の「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」がその補完として機能すると松本氏は強調しました。

生成AIを活用することで開発の効率化などのメリットがあるものの、今後の課題点もみられると松本氏は言及。意図しない著作権侵害や、生成物が著作物に依拠しているかどうかの判断、ストーリーや世界設定の剽窃にあたるリスクなどを考慮する必要があるほか、「AI失業」への配慮なども検討する必要があります。

同じくトピックとしてあげられた個人情報の取り扱いや規制についても日本と海外では特徴が異なります。日本ではプライバシーポリシーの記載事項を網羅した直接の法令がなく、個人情報の利用目的や第三者へ提供される場合の明示等がプライバシーポリシーに掲載されることが多いです。

また、保有する個人情報の安全管理措置の一環として、情報漏洩時に対象者全員に個別に通知をする義務があるなど、海外と比べてやや厳しいように見える規制もあるといった特徴があります。

海外、特にEUや米国では、高額な課徴金やデータ保護に関する関心が高く、日本と異なるスタンスの法規制を整備している地域が多いといえます。安全管理措置などでも違いがみられ、情報漏洩時に一定の規模を超えなければ個別の通知義務が生じないという制度設計をしている地域も存在します。

さらにオーストラリアなどではSNSに対する規制も強化されつつあり、若者が多く利用するサービスでもあるゲームについても、データの取得や個人情報の取り扱いなどに注意する必要があると指摘します。





配信プラットフォームのグローバル化が進み、ゲームの海外進出が手軽になる一方で、開発者にとってはローカライズ以外にも法的規制やリスクの検討、個人情報の保護という、対応しなければならない新たな課題が見えつつあります。また、発展し続ける生成AIも、作業の効率化などメリットはあるものの、意図しない著作権侵害など、その向き合い方には慎重にならなければいけません。

特に中小企業やインディースタジオといった比較的小規模なクリエイターの場合、松本弁護士をはじめとする専門家によるアドバイスを受けるのも重要です。

《kurokami@Game*Spark》

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