
IGDA日本が主催する「東京シリアスゲームサミット」の初日が4月17日、Red Bull Gaming Sphere Tokyoにて開催されました。
本サミットはゲームの知見を実社会の課題解決に活用する「シリアスゲーム」の最前線を共有することを目的としています。それゆえに、セッション全体で「ゲームが持つ遊びの力を社会活用する」というポジティブな可能性を評価する講演が数多く用意されています。
しかし、スピーカーセッション「ゲーム研修の実像と虚像」では、一転して「ゲームが持つ遊びの力」を無条件で活用することに待ったをかけるような内容となっています。
本講演を行ったのはカレイドソリューションズ代表の高橋興史氏。高橋氏は企業向けアナログゲーム研修という実務的な領域を担当してきた経験から、ゲームを研修に導入しようとする人が陥りがちな思い込みと、19年の実践から見えてきた現実について講演しました。
本講演ではゲーム研修という観点から「ゲームは本当に簡単に社会に活用できる万能なものなのか?」という問題も提起されており、シリアスゲームに対する問いも読み取れるものでした。
「研修ゲーム」と「ゲーム研修」。似て非なる2つの概念

高橋興史氏は2008年にカレイドソリューションズを創業してから、19期目を迎える企業向け研修の専門家です。自らを「あくまで手段としてゲームを活用する研修の人間。シリアスゲームの中でも、企業向けアナログゲーム研修というのは傍流も傍流」と位置づけており、もともとゲームの専門家ではないといいます。
そうした立場として、これまで150以上のテーマで研修を行い、アナログのボードゲーム的な研修ゲームを60個以上制作してきました。しかし、傍流の立場として、社員の研修という具体的な目的を達成できるかに取り組んできたからこそ、ゲームが持つ力がどこまで有効なのかを冷静に評価できたと言えるかもしれません。

まず高橋氏が整理したのが、「研修ゲーム」と「ゲーム研修」という2つの言葉の違いです。見た目はほぼ同じながら、本体が何かによってビジネスモデルが根本から変わるといいます。
研修ゲームは「ゲームが本体で、研修が付属している」形です。物を売るプロダクトアウト型のビジネスに近いものです。
一方、ゲーム研修とは「研修が本体で、ゲームが付属している」形です。つまり、物ではなくサービスを提供するビジネスに近く、ゲームそのものを売るのではなく、企業の課題解決を支援することが目的になります。高橋氏が事業として行ってきたのはこちらです。
「ゲーム研修を行っていきたいという方が、研修ゲームの物売り発想で何かを考えてしまうとだいたい失敗する。私自身も、最初はこの区別がついておらず、失敗したことが多々あった」と高橋氏は実体験を語ります。

高橋氏は研修という文脈に限定したうえで、ゲームが持つ強みを3点に整理しています。






