
『バルダーズ・ゲート3』の開発元Larian Studiosが生成AIをワークフローに使用していると明かしたことを受け、ゲーム業界で大きな議論が巻き起こっています。
「AIは定着する」賛成派は開発の効率化に期待
この議論は、Larian StudiosのCEOがインタビューで生成AIの活用を語ったことが発端です。同社ではアイデア出しのレベルでしか生成AIを使っていないにもかかわらず、コミュニティからネガティブな反応があり、CEOが自身のXで釈明したということがありました。
そこへ『Kingdom Come: Deliverance(キングダムカム・デリバランス)』のディレクターであるダニエル・ヴァーヴラ氏と、元ノーティードッグのディレクターであるブルース・ストレイリー氏がそれぞれ意見を表明。業界全体を巻き込むものへと発展しています。
ダニエル・ヴァーヴラ氏は自身のXで長文を投稿し、Larian Studiosへの批判に対して「19世紀に人々が蒸気機関を打ち壊していたのと同じだ」と反論。自身はAI生成アートのファンではないとしながらも、AIが「定着するという現実を直視する」必要があると述べました。
ヴァーヴラ氏は、現代のAAAゲーム開発が、7年もの歳月と数百人のスタッフを要する現状を問題視。
「もしAIが、昔のように少人数のチームで1年で壮大なゲームを作る手助けをしてくれるなら、私は大賛成だ」と主張しています。クリエイターが退屈な作業から解放され、より本質的なことに集中できるようになると、AIの活用に期待を寄せました。
「人類の種の終焉」反対派は創造性の危機を懸念
一方、『The Last of Us』などで知られる元ノーティードッグのディレクター、ブルース・ストレイリー氏は、AIの利用に強く反対する立場を示しました。
同氏はYouTubeチャンネル「Kinda Funny Games」に出演した際、AIを「不要」とし、「本気で、それが人類という種の終焉だと思っています」とまで踏み込んで批判。
ストレイリー氏は、人間が何十万年もかけて作り上げた脳というスーパーコンピューターがあるにもかかわらず、膨大なリソースを消費して人間ができることを再現しようとする現在のAI開発の動きに疑問を呈しています。
「AIは私にインスピレーションを与えてくれない」「プロンプトを入力して作られたと分かっている映画なんて見たくない」と語り、人間の苦悩や葛藤から生まれる創造性こそが重要であると訴えました。
ただし、ストレイリー氏自身もAIが業界に定着していくことは避けられないと認めているようで、ゲーム開発におけるAIの在り方を巡る議論は、今後さらに活発化していきそうです。
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