
生成AI技術を活用した対話型サービスを展開するリートンテクノロジーズジャパンは2025年6月5日、都内で新製品発表会を開催し、没入型チャットシミュレーションサービス「キャラぷ」を正式発表しました。本サービスは、ユーザーがプラットフォーム上でカスタマイズしたAIキャラクターの公開・収益化を可能とする、体験型AIチャットサービスであり、2025年6月10日(火)より正式ローンチを迎える予定です。
発表会では、同社日本法人代表の増田良平氏が登壇。増田氏は、リートンテクノロジーズが2023年11月の日本法人設立以降、三菱総研といった企業とのパートナーシップや、東京学芸大学と連携し、教育機関でAI実証実験などを通じて、国内の生成AI活用推進に注力してきた実績を紹介しました。

また、リートンが手がける既存のAIサービスは、現在グローバルで月間アクティブユーザー(MAU)500万人、月間生成回数2億件を記録しており、2025年末までに月間アクティブユーザーを1,000万人に目指したいと明言。生成AIによる「生産性向上」と「エンターテインメント」の2本柱を強化する方針を語りました。
今回発表された「キャラぷ」は、「キャラクター」×「プレイ」をテーマに開発された新世代のAIチャットサービスです。ユーザーは自らが理想とするキャラクターをプロンプトの入力によって作成でき、イラスト、性格、口調、チャット内のシナリオカスタマイズも可能となっています。

ユーザーとAIキャラクターとの対話を通じて、ストーリーがダイナミックに展開され、過去の会話や文脈を記憶する「長期記憶システム」によって、リアルで自然な応答が実現されているとのことです。これにより、会話が長くなったとしてもパフォーマンスや精度の低下を防ぎ、高速で高品質な応答を楽しめると言います。リリース時点では約8,000体のキャラクターが公開予定ですが、今後はさらなる拡大が見込まれます。
「キャラぷ」の特徴として、ユーザーが作成したキャラをコミュニティ内で共有・フォロー・応援できる「推し活」的な側面も強調されています。人気のあるキャラクターは「いいね」やコメントで評価され、そのアクティビティに応じてクリエイターに報酬が還元される仕組みも導入予定。
既にサービスがローンチされている韓国では収益化システムによって、日本円で月10~20万円以上を稼ぐクリエイターたちもいるそうです。中には1人のAIキャラクターだけで120万円を稼ぐクリエイターもいるとのことで、日本市場においても“作って稼ぐ”新たなクリエイターエコノミーの構築が期待されます。


ゲストスピーカーとして登壇したZ Venture Capital(ZVC)マネージングディレクター兼CFOの松平浩一氏は、同社がLINEヤフーのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であることを紹介しつつ、リートンへの出資経緯とその成長性について言及。「日本にはアニメ、漫画といったキャラクター文化が根付いていることから非常に期待しています」と述べ、「キャラぷ」に強い期待を寄せました。
会場では増田氏によるデモンストレーションも実施。AIキャラクターとの悩み相談から、経営シミュレーションゲーム、ADV形式の無人島サバイバルゲームといった、さまざまなシナリオが紹介されました。すべての対話はユーザーの選択や入力に応じて分岐し、個別化されたストーリーが展開される仕様です。加えて、プロンプトの設計をサポートするテンプレート機能なども備わり、カスタマイズの自由度が高くなっています。
また、「キャラぷ」の今後の展望としては、複数のユーザーとAIキャラが同時に楽しめる「マルチプレイ機能」、より自然な会話体験を実現する「音声出力機能」、さらには「人気キャラクターのIPコンテンツ展開(漫画化・グッズ化)」などが順次リリースされることが発表されました。




「キャラぷ」の登場は、生成AIがもたらす表現の可能性を個人に開放するだけでなく、サブカルチャーに根差した日本市場において、AIと人との新たな関係性を提示する象徴的な試みと言えそうです。
リートンテクノロジーズが提唱する「遊ぶ、創る、稼ぐ」——これらを1つの体験として統合する「キャラぷ」が、次世代エンターテインメントのスタンダードとなる日は遠くないかもしれません。


