2025年11月20日に大阪・梅田にて、同25日には東京・新宿にてゲーム開発向けの総合イベント「Game Tools & Middleware Forum(GTMF) 2025」が開催されました。
今回が20回目の開催となった「GTMF」は、ツールやミドルウェア、クラウドサービスなどゲーム制作を支える最新技術やサービスを紹介する国内最大級の専門イベント。本稿では出展ブースの中から、ゲームエンジン、クリエイティブ制作・アセットおよびハードウェア関連企業のブースをレポートします。
Epic Games Japan
11月12日に公開されたばかりである、Unreal Engine 5.7の最新機能を実際にエディター上で体験することができました。UE5.7では、それまで実験段階だった機能がベータや正式実装に移行するなど、着実に実用性を増しています。

金属、スキン、布地などの複数のマテリアルの挙動を高品質・高精度で表現できる「Substrate」や、ゲーム世界の環境を素早く構築することで開発期間の短縮にも貢献するプロシージャル コンテンツ生成フレームワーク (PCG) が正式実装となりました。また、1,000個を超える規模の光源をシーンに配置できるMegaLightsも実験段階からベータ版に移行しています。

ブースで話を聞くと、来場者からは上記のような最新機能だけではなく、普段使っている機能に関する具体的な質問も多く寄せられたとのこと。多くの開発者がUEを活用していることを実感しているとのことでした。その一方で、他社製ゲームエンジンからUEに変えたいという新規ユーザーからの相談もあったとのことです。
Unreal Engineの詳細はこちらオートデスク
クラウドベースのAI 3Dツールセット「Flow Studio」が出展されていました。映像、動画をアップロードすると人物をスキャンして、AIを駆使したモーションキャプチャー技術で人物の動きをキャプチャーします。

映像アップロード→人物スキャン→キャラクターの割り当て→書き出しという4つのステップでキャラクターモーションを生成できます。服装や場所、機材を選ばない手軽さが特徴で、スマホで撮影した映像でも使用可能です。
「Flow Studio」は現状のゲーム開発のモーションキャプチャーワークフローを置き換えるものではなく、プリビズやテスト、モーションスタジオでの撮り忘れが発生してしまったときのフォロー手段や、モーションキャプチャーの入門用などというような立ち位置を想定しているそうです。

また、オートデスクは3ds Max、Maya、MotionBuilderなど制作プロジェクトに必要なツールを包括的に搭載したパッケージ「Media & Entertainment Collection」を展開しており、このコレクションにはFlow StudioのProライセンスも含まれています。
オートデスク コーポレートサイトはこちらサードウェーブ
ゲーミングPCブランド「GALLERIA」で知られるサードウェーブのブースでは、GeForceのグラフィックボート最高スペックRTX5090を搭載したデスクトップPC「GALLERIA XMC9A-R59-GD」、ノートPC「GALLERIA UL9C-R59-8A」をはじめ、AI-PCやオンボードのパソコンなど、動作を対比できるよう幅広いラインナップで、ゲームの試遊や動作デモを実施していました。

ハイスペックデスクトップPC「GALLERIA XMC9A-R59-GD」では、CADデータをUnreal Engineに取込、加工した高精細でリアルな光源表現ができるCGシミュレーターを展示。リアルタイムで演算しているので高い負荷がかかるものの、スムーズに動作していました。

ノートパソコン「GALLERIA UL9C-R59-8A」など、ゲーム試遊を通じてスペックの違いで動きや表示が異なることを体感。またオンボードでもゲームによっては楽しむことができるのを体感してもらうのが狙いとのことでした。

スパイス
モーションキャプチャーの「MOVIN(ムーヴィン)」と「MoA(モア)」が展示されており、来場者は実際に体験できました。

「MOVIN」は、セットアップ3分、キャリブレーション3秒で始められるマーカーレスのモーションキャプチャーシステムです。LiDARセンサーとRGBカメラを搭載した「MOVIN TRACIN」の前で3秒間ポーズを取るだけでキャプチャーを開始でき、光学式のモーションキャプチャーと比較して93%の高精度を実現しています。

一方の「MoA」は、HTC VIVEの技術を応用したトラッカーを使用するインサイドアウト方式のモーションキャプチャーです。インサイドアウトは、自分(被写体)の前にカメラを置いて撮影するのではなく、被写体のヘッドセットに搭載されたカメラで周囲を認識し、被写体の体の位置や動きを把握する方式です。
「MoA」も専用スタジオや専用スーツを使うことなくキャプチャーできるほか、上述の「MOVIN」よりコストを抑えられるため、VtuberやCGアニメ制作など、より幅広い分野で活用できるとしています。
スパイス取り扱いのモーションキャプチャー製品はこちらダイナコムウェア
世界各国の言語で「ありがとう」が記されたのぼりが目を惹いたのは「ダイナコムウェア」のブース。オリジナルフォントの「DynaFont」は、定番の読みやすいベーシックな書体だけでなく、ゲームのUIやタイトルにも魅力的なデザインフォントまでを揃えています。

ブースでは19種類の言語デザインと多言語対応のグローバルフォント「金剛黒体(こんごうこくたい)」を特にPR。言語間でデザインの太さが統一されているところがポイントで、ゲーム起動時に表示されるような注意書き画面では複数の言語を併記することが多くなりますが、太さを揃えることで自分の読み慣れている言語へ自然に視線誘導ができるようになるとのこと。

製品カタログや導入事例を集めて紹介した冊子も陳列。「事例を元にデザインイメージの叩き台としても使っていただけるような資料になっていると思います」と、ただサービスの紹介だけでなく実用的な資料になっていました。
ボードゲームの「フォントかるた」とDynaFontがコラボした特別バージョンも、数量限定で配布されており、製品以上にフォントへの興味・理解が深まる情報を展示するブースとなっていました。
ダイナフォントの詳細はこちら





