
セガサミーホールディングスは、2025年11月7日に開催した決算説明会にて、近年の新作フルゲームの販売不振について言及しました。その中で、同社の子会社アトラスが手掛ける『ペルソナ』『真・女神転生』シリーズなどで見られる、追加要素を含むいわゆる「完全版」が後から発売されることへの懸念が、ユーザーの買い控えを招いている可能性があるとの見方を示しました。
高評価でも販売不振、ユーザーの「完全版待ち」も一因か

2026年3月期 第2四半期決算のアナリスト・機関投資家向け説明会において、「近年発売されたフルゲーム新作の多くは、高く評価されている一方、販売実績は期待に届かないことが多い。要因をどのように考えているか」との質問が上がりました。
これに対し同社は、ジャンルの競合タイトルや価格設定といった要因に加え、「時間をおいていわゆる完全版が販売されることに対する懸念が買い控えを招いている可能性があると考えている」と回答。
加えて、明確な原因は特定できていないとしつつも、「ユーザーにゲームの魅力が十分に伝えられないといった、マーケティングにおける課題もある」との認識を示し、現在分析を進めているとしました。
『ペルソナ』『真・女神転生』で続く販売手法、ユーザー間でも長年の議論に

アトラスが手掛けるタイトルでは、過去に『ペルソナ4』に対する『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』、『ペルソナ5』に対する『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』といった形で、新キャラクターやシナリオなどの追加要素を含んだバージョンが、後からフルプライスで発売されることが恒例となっています。
この手法は『真・女神転生』シリーズでも見られ、2021年11月に発売した『真・女神転生V』に対し、新規シナリオなどを追加した『真・女神転生V Vengeance』が2024年6月に発売されています。
こうした販売手法は、俗に「完全版商法」とも呼ばれ、長年にわたり議論の対象となってきました。無印版を購入したプレイヤーが、追加要素のために再度フルプライスでゲームを買い直し、最初からプレイする必要があることへの意見も見られます。
今回のセガの発言は、こうしたユーザー間の長年の議論や懸念を、公式がある程度認める形になったと言えそうです。









