ソニー・インタラクティブエンタテインメントとAMDは、協業で実施しているプロジェクト「Project Amethyst」の最新の取り組みを紹介する動画を公開しました。
◆「Project Amethyst」における3つの革新的なグラフィック技術の取り組みが紹介

動画には、AMDのコンピューティング&グラフィック部門でSVP(上席副社長)とゼネラルマネージャーを務めるJack Huynh氏と、PS5およびPS5 proのリードアーキテクトであるMark Cerny氏が登場。
SIEとAMDが共同で進めるプロジェクト「Project Amethyst」に関する取り組みを紹介しています。


「Project Amethyst」では、ゲーム技術の進化を推進するという共通のコミットメントのもと、機械学習など最先端技術を活用したグラフィックやゲームプレイのための技術研究が行われています。
今回の動画では、“ブレークスルー”となる3つの技術が紹介されました。
■「Neural Arrays」

「Neural Arrays」は、従来のGPU構造におけるオーバーヘッド(処理の負荷や効率)に関わる問題を解決するための仕組みです。多数のユニットが個々に演算するのではなく、ユニット同士が連携してデータを共有することで、ひとつの巨大なユニットのような働きをします。
これによって効率的な処理が可能になり、レンダリングやアップスケーリング技術がより高性能なものになります。
■「Radiance Cores」

「Radiance Cores」は、レイトレーシングやパストレーシングを強化するための技術。PS5から導入されたレイトレーシングは反射や影など幅広い部分で使用されているものの、通常のシェーディングの処理にくわえて光の反射などの計算も行わなければいけないため、現在の手法には限界があるといいます。
そして新しい専用のハードウェアブロックである「Radiance Cores」では、光の計算などの処理を専門に行い、CPUやGPUの負荷を軽減。この技術により、レイトレーシングやパストレーシングがリアルタイムでより効率的なものに引き上げられます。
■「Universal Compression」

「Universal Compression」は、圧縮によってGPUメモリ帯域の使用を大幅に削減する技術です。従来のGPUでは、メモリ帯域幅の制限が次世代のレンダリング技術におけるボトルネックであると指摘しています。
従来のDCC(デルタカラー圧縮)から発展した「Universal Compression」はテクスチャだけでなく、GPUから送られるあらゆるデータを分析・評価することで、可能な限りの圧縮を行います。
データの必要なバイトのみが送信されるため、メモリ帯域幅の使用が大幅に削減。結果として、フレームレートの向上や消費電力の削減などが見込まれます。

さらに、これらの最新技術が組み合わさることで、さらなる相乗効果があると説明されています。
◆最新技術はシミュレーション段階……しかし「次世代機」への導入が期待できる

動画の終盤でMark氏は、今回紹介された最新の技術はまだ初期のシミュレーションを行っている段階であることに言及。しかしシミュレーションの結果は非常に有望で、「数年後に“次世代のコンソール”に導入できることをとても楽しみにしています」とコメントしています。
レイトレーシングなどの技術によってグラフィックやゲーム体験をワンランク上のものに押し上げた「PS5」の発売からも早5年。存在も示唆された“次世代機”では、「Project Amethyst」で研究された最新技術でグラフィックやゲーム体験がどのように進化するのかに期待です。