「AIエージェント」と「エージェント型AI」の違いをはっきりさせようか(生成AIクローズアップ) | GameBusiness.jp

「AIエージェント」と「エージェント型AI」の違いをはっきりさせようか(生成AIクローズアップ)

今回は、人工知能技術の急速な発展により登場した、「AIエージェント」(AI Agents)と「エージェント型AI」(Agentic AI)という2つの概念の違いを説明した論文「AI Agents vs. Agentic AI: A Conceptual Taxonomy, Applications and Challenges」を取り上げます。

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1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する連載「生成AIウィークリー」から、特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる生成AIクローズアップ。

今回は、人工知能技術の急速な発展により登場した、「AIエージェント」(AI Agents)と「エージェント型AI」(Agentic AI)という2つの概念の違いを説明した論文「AI Agents vs. Agentic AI: A Conceptual Taxonomy, Applications and Challenges」を取り上げます。


▲ChatGPTが初めてリリースされた2022年11月以降、「AI Agents」と「Agentic AI」に対するGoogleの検索トレンドで関心の高まりが見られます

AIエージェントは、特定のタスクを自律的に実行する知的なソフトウェアプログラムです。これらのエージェントは、大規模言語モデル(LLM)を中核として、外部ツールやAPIと連携しながら、ユーザーの要求に応じて様々な作業を遂行します。

例えば、顧客サポートの自動化、メール管理、スケジュール調整、コンテンツ推薦など、明確に定義された個別のタスクを効率的に処理することができます。AIエージェントの主な特徴は、高度な自律性、タスク特異性、そして環境の変化に対する適応能力です。

一方、エージェント型AIは、複数のAIエージェントが協調して動作するより高度なシステムです。単一のエージェントでは対処できない複雑な問題を解決するため、各エージェントが専門的な役割を担い、相互にコミュニケーションを取りながら共通の目標に向かって作業を進めます。

例えば、研究論文の作成において、文献検索を担当するエージェント、要約を作成するエージェント、引用形式を整えるエージェントなどが協調して動作し、効率的に高品質な成果物を生み出すことができます。

▲AIエージェントとエージェント型AIの違いを示した図

アーキテクチャの観点から見ると、AIエージェントは知覚、推論、行動、学習という基本的なモジュールで構成されています。これに対して、エージェント型AIは、専門的なエージェント群、高度な推論・計画機能、永続的なメモリ、そしてオーケストレーション層という追加的な要素を備えています。オーケストレーション層は、各エージェントの作業を調整し、依存関係を管理し、競合を解決する役割を果たします。

実際の応用例として、AIエージェントは企業の内部検索システムや顧客対応の自動化などに活用されています。例えば、eコマース企業では、顧客からの「注文の配送状況を教えて」といった問い合わせに対して、AIエージェントがCRMシステムと連携して即座に回答を提供します。

▲AIエージェントの応用例

一方、エージェント型AIは、より複雑な領域で威力を発揮します。医療分野では、診断エージェント、治療計画エージェント、患者履歴管理エージェントが協調して動作し、医師の意思決定を支援します。また、農業分野では、ドローンによる果樹園の監視、病害虫の検出、収穫ロボットの制御など、複数のエージェントが連携して効率的な農作業を実現しています。

▲企業におけるエージェント型AIの応用事例

しかし、これらの技術には課題も存在します。AIエージェントは因果関係の理解が不十分で、LLMから継承した幻覚の問題を抱えています。また、長期的な計画立案能力にも限界があります。エージェント型AIでは、これらの問題がさらに複雑化し、エージェント間のコミュニケーションや調整の困難さ、創発的な動作の予測不可能性、システム全体の説明可能性の欠如などが主要な課題となっています。

これらの技術の標準化も進んでいます。2025年にGoogleが発表したAgent-to-Agent(A2A)プロトコルは、異なるフレームワークやベンダー間でのエージェントの相互運用性を実現するための標準として注目されています。




《山下裕毅(Seamless)》

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