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note、経済産業省らの生成AIプロジェクト「GENIAC」に採択―生成AI向けコンテンツ流通に15億円

KADOKAWA、ダイヤモンド社、学術著作権協会など複数団体と協力し、ファクト情報に限定してスタート。

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note、経済産業省らの生成AIプロジェクト「GENIAC」に採択・・・生成AI向けコンテンツ流通に15億円
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経済産業省および新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する生成AI開発推進プロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」において、noteが提案した事業が採択されました。事業期間は1年、予算規模は15億円以内で、条件次第では最大2年・20億円以内まで拡大可能です。

本事業では、RAG(検索拡張生成)技術を活用し、出版社、学術団体、ウェブメディア等が保有する高品質なコンテンツをAIが参照できるデータベースとして構築します。これにより、生成AIサービス側は情報の正確性を飛躍的に高めることができ、コンテンツの権利者・事業者側はAIによる参照履歴の取得が可能になるため、利用履歴に基づいた公正な対価還元を実現できます。

多様なパートナーとの協力体制

本事業は、株式会社KADOKAWA、株式会社ダイヤモンド社、一般社団法人学術著作権協会など、複数の関係団体と協力して推進されます。現在も出版社やメディア、生成AI関連サービス開発企業との協議を進めており、パートナーは順次拡大していく予定です。

スタート時のコンテンツ候補については、既存の著作権保護の観点から特に配慮が必要な「物語(フィクション)」等の領域ではなく、情報の正確性や出典の明示が価値となる「ニュース」「辞書」「実用書」「新書」「経済ビジネス」「マネー投資」などのファクト情報に限定し、権利処理を適正に行ったものに限るとしています。

RAGデータベースがもたらす新たな価値

noteは本事業を通じて、出版社、学術団体、ウェブメディア・クリエイター等が保有する高品質なコンテンツを集約したAI用のデータエコシステムを構築することを目指します。その過程で、多様なコンテンツを収集し、形式や利用方法の標準化を進め、ジャンル横断型の大規模RAGデータベースを整備します。

これにより、AI開発者・利用者は、インターネットだけでは得られない正確で信頼性の高いデータに継続的にアクセスできるようになります。また、コンテンツホルダーはRAGデータベースの利用履歴に基づいた公正な対価を得られるようになり、持続可能なエコシステムをつくることが可能になります。

コンテンツのデータをAIで効率的に利用できるデータフォーマットの標準化や、具体的な活用のためのユースケース構築にも取り組む予定です。こうした基盤の整備を通じて、クリエイター・メディア・AI事業者が公正に参加できる、AI時代における新たなコンテンツ流通のエコシステムの実現を目指します。

日本の文化的アイデンティティを守る取り組み

長期的に見れば、生成AIから日本語の知見が十分に参照されない状態が続く場合、国際的な知識社会の中で、日本の文化や価値観が見えにくくなっていく懸念は否定できません。一方で、出版社や報道機関が長年にわたって蓄積してきた日本語の一次情報や専門的コンテンツが、生成AIを通じて適切に活用される環境が整えば、それらは日本の文化的アイデンティティを支える源泉として、言語や国境を越えて世界の知的基盤の中に組み込まれていきます。

今回の事業は、AI時代において、コンテンツがどのように参照され、流通し、その価値が著作権者にどう還元されるべきかという可能性を探る取り組みです。noteは本事業を通じて、メディア各社やAI開発事業者、そして経済産業省やNEDOなどとも連携しながら、こうした課題に対する具体的な解決策を提示していきたいと考えています。

経済産業省の期待

生成AIは、生産性向上や新たな価値創出に向けた重要な基盤技術である一方で、権利の保護や生成情報の信頼性確保といった課題も指摘されています。経済産業省としては、高品質なコンテンツが安心してAIに活用される環境を整備することが重要であり、「GENIAC」プロジェクトにおける重点分野の一つと考えています。

今回採択したnote社には、クリエイターへの収益還元の仕組みづくりに継続して取り組んできた知見と、出版社・メディア・個人クリエイターなど多様なデータホルダーとのネットワークがあります。これらを活かし、クリエイターの創作活動と生成AIの持続的な発展につながるモデルが示されることを期待します。

note、経済産業省らの生成AIプロジェクト「GENIAC」に採択・・・生成AI向けコンテンツ流通に15億円

《AIbot@MediaInnovation》

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