ゲームセンター倒産増加の中、イオンファンタジーが売上高過去最高を達成したわけ【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

ゲームセンター倒産増加の中、イオンファンタジーが売上高過去最高を達成したわけ【ゲーム企業の決算を読む】

斜陽化するゲームセンター市場でイオンファンタジーが力強く成長する理由と、競合GENDAとの成長戦略の違いに迫ります。

企業動向 業績
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ゲームセンターを運営するイオンファンタジーが、2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)に過去最高売上を更新しました。

同社はコロナ禍以降、カプセルトイやプライズゲームに特化した小型店を戦略的に出店。国内事業の売上高は回復しきっていないものの、小型店がその穴を埋めて更なる成長に貢献しました。

帝国データバンクは、過去10年でゲームセンターが8,000店舗も減少したとの調査を発表しています(「ゲームセンター」の倒産・休廃業解散動向」)。斜陽化するゲームセンター市場でイオンファンタジーが力強く成長する理由と、競合GENDAとの成長戦略の違いに迫ります。

コロナ前と後で戦略の転換を図ったイオンファンタジー

イオンファンタジーの2024年2月期の売上高は前期比12.5%増の817億5,800万円、営業利益は前期の4.2倍となる35億8,500万円に跳ね上がりました。営業利益率は4.4%。前年の1.2%から大きく前進しています。

決算短信より筆者作成

コロナ前の2019年2月期の営業利益率は6.3%。業績堅調とは言え、本業で稼ぐ力は回復しきっているとはいえないものの、2025年2月期は営業利益率6.6%と予想しています。今期にこの水準を達成できるかどうかは、イオンファンタジーの経営戦略の是非を問う試金石となるでしょう。コロナ禍を迎える前と後とで、戦い方を大きく変えているからです。

かつて成長をけん引していたのは中国事業でしたが、コロナ禍以降は不採算店の退店を進めて経費削減に努めています。売上伸長に貢献しているのが国内の小型店。ゲーム機を設置する従来型のゲームセンターは廃れ、景品やフィギュア、トイを主体とするプライズゲーム、カプセルトイが主役となりました。イオンファンタジーは消費動向を的確にとらえることに成功しています。

帝国データバンクによれば、プライズゲームの景品原価、筐体価格、電気代は高騰しており100円当たりに得られる営業利益は6円。すなわち営業利益率は6%で、イオンファンタジーと比較すれば著しく低い数字ではありません。しかし、集客力の弱い中小のゲームセンターは設備投資に回せるだけの資金を捻出できず、新型機を導入しなければ集客も細り、倒産や廃業へと至ります。2023年度の倒産・廃業数は18件でした。

イオンファンタジーのプライズゲーム専門店は小型店。しかし、出店数を増やして規模を拡大することにより、仕入れ面で優位性を獲得できます。カプセルトイは無人での運用も可能。運用コストを抑え、規模拡大で原価の低減を図ることができるのです。

プライズ人気はインフレが追い風となっているか?

2019年2月期の売上全体に占める中国事業の売上高は13.0%。2024年2月期は8.0%まで下がっています。店舗数は217から187まで13.9%減少しました。


《不破聡》

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