なぜアドテク企業がゲーム事業に乗り出すのか?AppLovinがゲームパブリッシング「Lion Studios」にかける熱意 2ページ目 | GameBusiness.jp

なぜアドテク企業がゲーム事業に乗り出すのか?AppLovinがゲームパブリッシング「Lion Studios」にかける熱意

AppLovinが先日発表したゲームパブリッシング事業の立ち上げは、アドテク企業がゲーム配信に直接乗り出すということで大きな注目を集めました。その狙いや先日話題となった問題について、日本の責任者である坂本達夫氏にお話を伺いました。

市場 マーケティング

――近年のカジュアルゲーム市場についてはどのように見ていますか。

坂本:カジュアルゲーム自体はスマートフォンの黎明期からありましたし、スマートフォンの登場以前にも、PCやガラケーでFlashを用いたものが遊べたりしました。それが今になって一大産業として注目されるほど成長した背景には、ここ数年で一気に普及した動画広告の存在が大きいと考えています。

ひと昔前はバナー広告が主流でしたが、カジュアルゲームとは相性があまりよくありませんでした。有名IPを用いた「あの有名作品がゲーム化!」というようなものであればバナー広告で十分なプロモーション効果を得られましたが、たとえば「これはボールを転がして楽しむゲームです」というようなものは、バナーでは楽しさが全然伝えられません。

また、一時期はブースト広告も隆盛を極めましたが、あれも焼き畑農業のようなもので、今となっては逆施策とすらいえます。リワードで釣って一時だけランキングを席巻できても、その勢いに比例するかのようにユーザーの離脱率も高いんです。ゲームそのものの魅力で呼び込んでいるわけではありませんからね。今はアプリストアのランキングや検索のアルゴリズムで継続率がより重視されているということもあり、これでは事業として続けていくのは難しい。

そんなバナー広告とブースト広告の弱みを両方とも補ってくれるのが動画広告なんです。動画でプレイしているところを見せればどう遊ぶゲームなのか一目瞭然ですし、動画広告を見てゲームをダウンロードしたユーザーは、ゲームそのものに興味を持ってくれているわけですから、離脱率も低く定着しやすいんです。そのようにマネタイズと良質なユーザーの獲得が両輪で回るようになったことが、急成長の土壌になっていると思います。

――カジュアルなゲームは、シンプルであるがゆえにフォロワーを作りやすい傾向があるのかもしれません。先日、Lion Studiosがパブリッシングするゲームが、日本ですでにリリースされていたタイトルを模倣しているのではないかという指摘から、AppLovinの姿勢を疑問視する声もあがっていました。ずばりお伺いしますが、御社がさまざまなデベロッパーと組んで得たノウハウを他のデベロッパーに提供することはあるのでしょうか。

坂本:確かに、我々は独立したパブリッシャーより多くのデータにアクセスできます。ですが、明確にお伝えしておきたいことが2点あって、まずひとつは、特定のアプリに関するCPI(Cost Per Install)や継続率といった、個々のデベロッパーが持つスペシフィックなデータを口外することは絶対にありません。また、Lion Studios は Applovin チームと独立しており、チーム間のデータ共有は一切ありません。私も含め、Lion StudiosのチームメンバーはAppLovinのプラットフォームデータにアクセスすることができません。

そして、特定のデベロッパーに「今はこのアプリが人気です」とか「これをオマージュしましょう」などとお話することもありません。そもそも、今どんなジャンルが人気なのか、どのようなトレンドがあるのかは、我々がお伝えせずともみなさん逐一チェックしておられますしね。

こちらから口をお出しすることはないといっても、他社のパテントや著作権を侵害していたり、その他法的に問題があったりする場合は話が別です。一緒にビジネスをする際は、そうしたリスクはないかこちらでも事前に調べさせていただき、危ないと判断したらストップはかけさせていただきます。ですので今回のケースも、何らかの法的な問題があるわけではないと認識しています。

そして、なかなか議論の俎上に乗らないなと個人的に感じていることがあるのですが、「とあるゲームのクローンが出たからといって、大元のデベロッパーが得るべき利益をすべて持っていかれるかというと、そうではない」んですよ。なぜなら、カジュアルゲーム市場はゼロサムではないからです。プロモーションの打ち方次第で、ユーザーがゲームを行き来して双方にお金を落としてくれることもあります。AppLovinは、Lion Studios とパートナーシップを組んでいるかどうかにも関わらず、全てのお客様に成功していただきたいと思っています。

――ありがとうございます。最後に、Lion Studiosを通じて実現したいビジョンをお聞かせください。

坂本:規模によって差はあれ、デベロッパーが打席に立てる回数(ゲームを作れる回数)には限りがあります。ですが、我々はアドネットワークとして、それよりもずっと数多くの打席に立ってきた実績があります。その中にはもちろん"ゴロ"や"空振り"もありましたが、それも含め、それだけユーザーの獲得においては多くのノウハウを得ているということです。

独創的であり、かつよいプロダクトであればそれはきちんと結果や売上につながるべきですし、そうなることで、デベロッパーはより大きく成長できるべきです。Lion Studiosが確度の高いノウハウを持つパブリッシャーとなることで、これまで以上にそのお手伝いをできればと思っています。
《蚩尤》

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