市長もゲームに出演!新潟県三条市舞台の御当地RPG『三条上々!!!』はどのように生まれたか―企画に参加した子供が、いつか町に戻ってくる「好きの理由」になれれば嬉しい【後編】 | GameBusiness.jp

市長もゲームに出演!新潟県三条市舞台の御当地RPG『三条上々!!!』はどのように生まれたか―企画に参加した子供が、いつか町に戻ってくる「好きの理由」になれれば嬉しい【後編】

後半では、開発の八十里こえお氏を中心にゲームのお話をお聞きしました!

ゲーム開発 インディー
市長もゲームに出演!新潟県三条市舞台の御当地RPG『三条上々!!!』はどのように生まれたか―企画に参加した子供が、いつか町に戻ってくる「好きの理由」になれれば嬉しい【後編】
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ゲームクリエイターの八十里こえお氏は、新潟県三条市を舞台にしたRPG『三条上々!!! 山と川と鋼と八人の米神(以下、三条上々!!!)』をフリーゲーム夢現/PLiCy(プリシー)で公開中です。

今回、Game*Sparkでは三条の滝沢市長をはじめとした、本作にまつわる方々へのインタビューを実施。前編ではゲームの紹介と、滝沢市長へのインタビューをお届けしました。



後編となる本稿では、開発者の八十里こえお氏、ゲーム制作において大きな協力を果たした三条マルシェ実行委員長・鈴木千博氏、『RPGツクール』シリーズを開発するGotcha Gotcha Gamesの北島修一氏にも本作に関するディープなお話を訊いています!

滝沢市長(左)、鈴木氏(右)

地域RPG『三条上々!!!』はこう生まれた!

――それでは、改めて制作者側の視点から『三条上々!!!』についてお聞かせください。最初に、開発者である八十里こえおさんのこれまでの経歴などを教えていただけますと嬉しいです。

八十里こえお氏(以下、こえお氏):僕が業界に入ったのは、もう35年ほど前になります。最初に関わったゲームはイマジニアから1990年に発売した『シムシティ』で、ローカライズの担当でした。

イマジニアでは『ポピュラス』『シムアース』『シムアント』のスーパーファミコン版の開発にも関わっています。その後イマジニアを退社してから、スーパーファミコンでは『いただきストリート2』『ザ・モノポリーゲーム2』などの作品にも参加しています。

『ザ・モノポリーゲーム2』では糸井重里さんが設立したエイプも制作に携わっており、現在は株式会社ポケモンのCEOである石原恒和さんも本作に関わっていますね。監修の百田郁夫さんはモノポリー世界選手権で日本人初のチャンピオンになった方で、ご指南を受けて僕もモノポリーはかなり上達しました(笑)。

こういった経歴もあって、ボードゲームを制作するのが好きになりました。『三条上々!!!』のマップづくりも、『シムシティ』を参考にしているところがありますね。『いただきストリート』シリーズとしては、その後もモバイル向けのシリーズなどに関わっています。他のゲームでは、PS2の『ダービースタリオン04』にも携わっていますね。

また2004年にはパパイヤ電池開発を設立して、色々なゲームの開発や管理をしています。当時は様々なビッグタイトルにも携わっていたんですが、派遣した社員がそちらで偉くなったりして、引き取ってもらったりしました。そういうこともあり、コロナ禍もあって会社の規模を小さくして、今はほとんど僕1人でやっています。

――すごい経歴ですね!個人的に『シムアント』は大好きなゲームで、Game*Sparkでは記事にしたこともあります。

こえお氏:当時は、正直誰がこういうゲームを遊ぶんだろうと思って作っていましたね(笑)。

実は日本版『シムアント』にあるシナリオモードですが、これはオリジナル版にはなくて。このモードを作るために、ウィル・ライトさん(※『シム』シリーズ制作者)のところまで行って、「シナリオモードを作らせてください!」とお願いしたんですよ。

オリジナルのままでは日本の子供たちの心を掴みづらいと思いましたし、日本の四季を表現するのはきっと面白いだろうと。スーパーファミコン版では夏にオニヤンマが飛んでいたり、厳しい冬を越えてアリが春に旅立つといった、季節ごとの変化やイベントもあるんです。



――経歴に興奮し、少し脱線してしまいました!改めて『三条上々!!!』の開発経緯についてお聞かせください。

こえお氏:今は妻の実家である三条市で活動しているのですが、当時はテレワーク作業をしていました。そんなときに「地域おこし協力隊」の方々から連絡があって、協力隊員として参加することになったんです。

そこで隊員の方々と仲良くなっていくうちに、地域の小学校でお話させていただく機会がありました。やっぱり子供たちはゲームの作り方などの話に興味津々ですね。

もちろん授業ですのでゲームの話ばかりではなく、子供達に良いことも言ってますよ。例えば「人生は勉強を続けていくことが大切だよ」とか、「ありがとうとごめんなさいはちゃんと言おう」などの話も伝えています。

それで子供たちには「はかせ」と呼ばれるなど、すっかり仲良くなって。色々話している内に、みんなこの町が好きだけれど、そこに“裏打ちされたもの”がないと気付いたんです。好きな理由がちゃんと作れれば、この先三条から出ていったとしても、戻って来る理由にもなるなと思いました。

じゃあどうやって理由付けをするかと言うと、僕はゲームであると考えました。ゲーム内に自分の住む街があって、そこに自分がデザインしたモンスターが登場したら、子供たちもやる気が出るし好きになってくれるのではと思ったんですね。

実は、僕がお邪魔させてもらった地域には5つの小学校があるのですが、この先合併してひとつになるという話が出ていて。そういう事情も含め、僕としては子供たちの思い出作りにもなれば良いな、と考えました。

――ゲームに自分のキャラクターが登場するって、聞いているだけで素敵な話です。子供たちにも最高の思い出になると思います。

そんな『三条上々!!!』はRPGとしての完成度も高い印象で、基本は進めやすいものの強いボスも居て、レベル上げや仲間の選択などを考える場面も出てきます。ゲームバランスの調整はどのように行ったのでしょうか。

こえお氏:当初は、RPGとしてもっと本格的な難易度バランスだったんです。PLiCyさんの「ゲームコンテスト2025」でファイナリスト賞に選ばれて、そのコメントでは「ゲームバランスが不安定」とも書かれているんですが、そこはわざと崩しています。

『三条上々!!!』は最初、10時間くらいのプレイを想定して作り始めましたが、これだと飽きてしまう人も出てくるなと思いまして。取り上げている題材も含め、「皆さんに絶対に最後まで遊んでもらいたい」という気持ちが強くあって、大体3時間くらいのボリュームで最後まで飽きずにサクサク進んで行けるバランスにすることを意識しました。

でもゲームとして面白くするために、ストーリーの関所となるようなボスを配置しています。そこでヒーラーが必要だとか、タンクがほしいなとか考えて、さらにレベルアップの必要性にも気づいてほしいなと。物語で重要な米神に出会うため、少しハードルを上げている部分もあります。

でも、それだと難しすぎるかなとゲーム内の救済措置も用意しました。とある場所に「カレーラーメンねぇさん」という隠しキャラクターとの戦闘があって、勝てばたくさんの経験値を得られるのです。

ガンガンレベルが上がっていきますが、それでも難易度が激減してつまらなくなるわけではなく、観光ゲームとして楽しめるから良いかな、とも思っています。

――それに気づいて、かなりレベルを上げました。自分のデータでは大体、レベル40は越えていますね。

こえお氏:それはちょっと上げすぎですよ(笑)。ちなみに、カレーラーメンねぇさんも実際に活動している方ですね。

ゲーム後半では、「八十里越街道」が重要になっていきます。ここは新潟県と福島県をつなぐ工事中の峠道で、完成すれば1時間以上の短縮になります。この道は本当に長い時間をかけて作っていて、早ければ再来年くらいに開通するのではと言われていますね。

そんな八十里越街道は『三条上々!!!』でも“新しい未来”であり、これからの人々が利用するだけでなく、峠道に残る豊かな自然や動物を守ってほしいという思いを込めて登場しています。ゲーム後半ではそういったメッセージだけでなく、言葉遊びやダジャレも増えていくのですが、そこは僕がオジサンなので許してください(笑)。

――ゲーム内では、“とあるキャラクターがレベルの低い状態で仲間になる”展開がありますよね。これはもう「苦労してレベルを上げれば面白いよ」という、ゲーマーが喜ぶギミックだなと思いました。

こえお氏:仲間になるキャラクターがパーティにすぐ入るという仕掛けがあって、警告はあるものの、そのまま戦闘に参加させちゃう方もいるみたいです。でもそのキャラクターは最初から強くて、数回戦えばあっという間にとんでもない攻撃力になるんですよね。

ゲームを遊んで「失敗した!」と思われないようにしていますし、その強さに気付いてパーティ編成したり、レベルを上げたりした人も楽しめるキャラクターです。ゲームの終盤に入手できる隠しアイテム「ペーパーナイフ」を装備させると恐ろしく強くなるのですが、このペーパーナイフも実際に、三条市内の鍛冶道場という施設で制作体験できます。

とにかく、ゲームとして面白く最後まで遊べること、その上でプレイに飽きたり詰まったりしてしまわないことを考えた末、あえてバランスを崩しているところもあるんです。

――そういった工夫の上で、三条の魅力を描くために、ゲームにさまざまな観光地を組み込んでいます。開発で苦労したこと、楽しかったことなどがあれば教えて下さい。

こえお氏:今回のテーマはもちろん“三条の魅力発見”ですが、裏テーマとして自然との共有を軸にしています。なので、ゲーム内のところどころでは動物がキーになっているのです。

最終ステージは山奥ですが、八十里越の時も説明した通り、そこは本当に自然の宝庫です。それを壊しかねない国道の建設は経済の活性化には役立つかも知れませんが、動植物の環境の破壊にも繋がりかねません。

はやぶさ、イヌワシ、ニホンカモシカと言った貴重な種族や、熊、猪、鹿、猿などの人間界まで降りてくる動物たちとの今後を考えてもらえればと思い、『三条上々!!!』を作った側面もあります。使命感を抱いて作りましたね。

開発で苦労したことはほとんどありませんでした。なぜなら、三条の方たちがとても協力的に受け入れてくださったので、こちらもテンションを上げて制作できたからですね。

――自然風景はもちろん、神社や施設などもたくさん登場していますし、なかには歴史や概要が説明されているものも多いですね。

こえお氏:ゲームに使っている風景は基本的に僕が取材と撮影をしているのですが、天気が悪かったり季節が合わなかったりして大変でしたね。花が咲き乱れる時期に撮影しようとしたら雨とか。とある神社では、取材を申し込んだ日に限って宮司さんが不在で大変でした(笑)。

また「日本のミケランジェロ」と呼ばれる彫刻家・石川雲蝶の作品が残されている「石動神社」という場所があります。そこの取材をするにも400段の石段があるような場所で本当に大変でしたが、おかげで神社の方からハガキをいただくこともあります。

新潟では1月15日に小正月として、無病息災を願う行事があるんですよ。神社でお祈りするだけでなく、子供はかまくらでお餅を焼いて楽しむ。その時期に神社から年賀状のような物が届くんですね。

そういった取材では、『RPGツクールMZ』を開発ツールに選んだことが役に立ちましたね。ノートPCですぐにゲーム画面を見せることができて、普段ゲームを遊ばない御老人方にもすぐに視覚的にアピールすることができるのです。

たとえば写真を使わせてもらう際にも、「こんなふうに加工しますね!」と簡単に伝えられます。

――ほかにも『RPGツクールMZ』を使用したことで、便利だった部分や作りやすかった部分はありますか?

こえお氏:『RPGツクールMZ』にはエクセルを取り込む機能があって、これが本当に便利でした。キャラクターの成長も細かく調整できるので、レベルアップとともに強くなる感覚を編集できるんですね。インポートとエクスポートが簡単なのも嬉しい点でした。

職業に関しても最初からプリセットが用意されているので、それを元にデータや成長を調整していくだけで個性を作れます。

『三条上々!!!』では基本的に攻撃と魔法、アイテムが中心で、クリティカルや必殺技などの機能は使わなかったんですよ。バランス調整の難しさもありましたし、あまり複雑にしたら子供たちが遊びづらくなるかなとも考えたので、無しにしました。

遊びやすさの意味では、自動戦闘の機能も使っていますね。色々な点で、『RPGツクールMZ』はゲームを作りやすかった。まだ僕自身は『RPG MAKER UNITE』は使えていないんけれど、いずれチャレンジしてみたいと思っています。

――子供も遊ぶゲームとして、観光ゲームとしての遊びやすさを第一に考えているわけですね。

こえお氏:もちろん全てではないですが、今のRPGってすごく遊びやすくなっていると思うんです。物語を読ませることが主流になっているというべきか、戦闘もそこまで難しくなく、ヒントもしっかり用意されている。全体的にサクサク遊べるようになっていますよね。

もっと辛口のゲームが増えても……とも感じますが、昨今では『ドラゴンクエスト』シリーズでも『ポケモン』シリーズでも、クリア後に難しいコンテンツに挑戦する方式が多いですよね。1回エンディングを見て、そこからより挑戦的なゲームを遊ぶというイメージ。

『三条上々!!!』でも、そういった意味でまずはエンディングまで辿り着いてほしいという思いがありました。ゲーム内の要所に強敵を配置しているのです。最初は難しいかもしれませんが、その周辺で戦って少しレベルを上げれば倒せるバランスです。あと、基本的に魔法が強いので、それに気付いてもらえれば必ず乗り越えられますね。

――子供といえば、彼らが描いたモンスターをそのままゲームに取り入れてるのは本当に面白い手法ですね。

こえお氏:いただいた原画はすべてファイリングしています。子供たちの発想ってとてもユニークですよね。シリーズで描いてくれる子もいて、僕が子供の頃だったら絶対にこんなの描けなかったなとも思います。

ちなみに、名前も基本的に子供たちが付けたものをそのまま使っています。中には名前がないモンスターも居ましたが、そこは僕が命名しました。

――イラスト面では、滝沢市長の立ち絵で荒井清和氏を起用されていますよね。どのような経緯があったのでしょうか?

こえお氏:僕と荒井は、昔あったアクセラという会社で出会って、一緒に仕事をしていました。アクセラ開発のゲームで言うと、『天空のレストラン』シリーズは荒井のキャラクターデザインですね。そういう意味では、戦友に近い存在です。

あとは、ニンテンドースイッチの『ダービースタリオン』(開発:ゲームアディクト)も僕が開発サポートで参加していまして、こちらでも荒井がキャラクターデザインを担当しています。

で、荒井がデザインしたファミコンで出ていた『オホーツクに消ゆ』がありますよね。網走の鉄道団体・MOTレール倶楽部さんから、釧網本線で走る観光列車「流氷物語号」で『オホーツクに消ゆ』とコラボしたいという話があったんです。その実現のために、許可を取るお手伝いもしています。

2月に開催されたファンミーティングの告知。

でも、ちょうどその頃、荒井が病気で倒れられた時期で。そんな状況でも荒井は本プロジェクト用にイラストを描きたいと仰られ、せっかくなら当時の感じではなく、現代風におしゃれな感じでキャラクターを描きたいということで、線画を担当いただきました。

大変な時期だったのもあって着色はこちらのスタッフが行って、荒井先生にはチェックをしてもらいましたね。そう言った関係もあり、『三条上々!!!』で滝沢市長のイラストを担当いただくことになりました。

――貴重なお話ですね。キャラクターでは、仲間として登場する「鍛冶ガール」たちもそれぞれ魅力があって印象的です。彼女たちの紹介と、なぜゲームに登場させたかのお話もお聞かせください。

鈴木千博氏(以下、鈴木氏):鍛冶ガールは、私が責任者を務めている町のイベント「三条マルシェ」の公式キャラクターです。彼女たちの名前は三条に関連しているもので構成されていて、鍛冶ガールを通じて三条市をアピールできればと思っています。

鍛冶ガールが三条マルシェの公式キャラクターとして誕生したのは、コロナ禍でイベントが開催できなかったのがきっかけです。観光が難しい時期に、「どうやって三条市を元気にできるのか?」「遠くの人に三条市をアピールする方法はないか?」と考えた中で、SNSを通じて鍛冶ガールたちが街を紹介するという活動が始まりです。

実はイベントを開催できなかった時期に、三条市を盛り上げるために「鍛冶ガールが町を歩くゲーム」を作れないかな、とか考えていたんですよ。とはいえ自分には知識がなく、本当にイメージだけだったんです。その後にこえおさんとの出会いがあって、『三条上々!!!』に繋がりました。

三条マルシェは、15年ほど続いていて、市民の皆さんにいろんなお店を出店していただき、高校生や外国人、ご年配の方たちの歌やダンスを披露してもらうイベントなんです。

コロナ禍でお客さんが来れなくなった時でも、それを辞めるという選択肢はありませんでした。そうして鍛冶ガールが生まれて、さらにこえおさんと出会って『三条上々!!!』が実現できたのは、なんというか運命だったのかなと思います(笑)。

――『三条上々!!!』に登場するキャラクターは戦士だったり魔法使いだったり、それぞれ個性がある性能ですね。このキャラクター付けに関して、どのような話し合いがあったのでしょうか?

こえお氏:実は、鍛冶ガールってWeb小説(参照:上記ポスト)があるんですよ。その小説で描かれている5人の性格を元に、キャラクターに合った職業を最初に決めました。そこから鈴木さんと話し合って、それぞれの個性を突き詰めていった形ですね。

鈴木さんからはキャラクターの性能だけでなく、テキスト部分でも修正していただき、『三条上々!!!』における頼れる鍛冶ガールが誕生しました。

ゲームとしてもパーティーを組めることで遊びの幅が広がりましたし、次に進むためのモチベーションにもなる存在になってくれたので、感謝しています。

――ゲーム内でも三条マルシェに入ることができますが、この部分も鈴木さんが監修されたのですか?

鈴木氏:そうですね、ゲームの三条マルシェに誰を登場させるかという相談があったので、じゃあこの人はこの名前で、などのお願いをしました。

こえお氏:最初は僕が勝手に名前を使ったんですけど、注意されちゃって(笑)。なので、鈴木さんと相談して名前を変えたりしています。

――鈴木さんはそのまま出演されていますね。

こえお氏:最初は鈴木さんの写真をそのまま使おうって話だったんですが、途中で「やっぱ恥ずかしいからやめて」と言われて加工しています(笑)。

他にも実際の人物が登場していて……実は最もキャラクターが濃い人もまだ居るので、今後のバージョンアップで登場するかもしれません!

八十里こえお氏(左)、鈴木氏(右)

――ゲームのエリアがあって、それが実在の場所として存在しているのはやっぱり面白いですね。

こえお氏:『三条上々!!!』での実験的な部分として、今後三条マルシェで開催されるイベントの告知をするというのがありました。

QRコードも表示されるので、興味があれば読み込んでイベントの内容を知ることもできます。それだけではなく、ゲーム内で関連アイテムをもらえるという期間限定要素もありますよ。

――『三条上々!!!』は、三条マルシェの責任者である鈴木さんの町おこしとしての観点からは、どのような意味を持つものでしょうか?

鈴木氏:三条マルシェは、15年もの間イベントとして町おこししています。僕が思う町おこしは、「三条に住む人々がみんなで盛り上げていくもの」です。

その意味で『三条上々!!!』は地域のお店が出たり、子供たちがモンスターを描いてくれたり、まさしくまちぐるみで完成した作品だと思いますね。

こえお氏:でも、まだまだゲームの知名度が高いとは言えない状況です。ブラウザで遊ぶ形だと、どうしても遊べる環境が狭まってしまうので、子供たちにもっと気軽に遊んでもらうためにもニンテンドースイッチでリリースできれば、より多くの方に触れていただけるだろうなと思ってしまいますね。

せっかくモンスターを描いてくれた子供たちが、ゲームに出てくるのを確認できないのは寂しいので……。

ゲームを作るうえで、鈴木さんは色々な会社や施設、人々への橋渡しをしてくださいました。三条マルシェは参加者によるボランティアでやっていて、15年の歴史の中で新しい世代も出てきているんです。町おこしを続けていくための引き継ぎも、上手くやっていければ良いなと思っています。

――実際、ここまで地域ぐるみの町おこしとして本格的にゲームを作るということはあるのでしょうか?

北島修一氏(以下、北島氏):『RPGツクール』『RPG Maker』を使ったゲームという意味ではいくつかありますが、ここまで大規模なコンテンツは他にないと思います。特に『三条上々!!!』は行政との協力もあり、これは僕の知る限り他にありませんね。

行政が作ろうと思えばどうやっても規模が小さいものになってしまいかねないですし、逆に一般の方が作ると、まず行政との連携は取れなくなってしまいます。その意味でも、こえおさんの熱量の高い活動があったからこそ実現できたのだと思いますね。

こえお氏:北島さんをはじめ、Gotcha Gotcha Gamesさんには色々と協力していただきました。このプロジェクトを進めていくうち、どんどん規模も大きくなっていきましたし、かれこれ1年半以上は『三条上々』について相談に乗ってもらっていますね。

――1年半!大プロジェクトだったのですね!

こえお氏:本当に、最初はこんな規模になるとは思わなかったですよ(笑)。

北島氏:プロジェクトを進めていく内に、様々なリクエストも増えていきましたよね。

こえお氏:最初は、ゲームの舞台が下田地域だけだったんです。ゲームタイトルも今と違って下田郷をもじった『しただGOクエスト』だったのですが、どんどんゲーム内のエリアが増えていったので変更しました。

でも、地域を拡大することで描ける部分も増えて。せっかく鍛冶ガールを使うのだったら、三条の金物を紹介しようなど、開発のための目標も増えたんですね。その結果として滝沢市長ともお話できましたし、実際にゲームを遊んでもらって許可を得ることもできました。

――タイトルも今と違っていたんですね。

こえお氏:今の『三条上々!!!』というタイトルはすぐに決まりました。3を乗算していくと81になって、これは八十里越にも繋がると考えました。

ほかにも「上々」という言葉が、アゲアゲだったり上場だったり、色々とポジティブな言葉だなと。

鈴木さんとも相談して、かつて存在した「三条城を復活できればいいな」というお話にもなりました。三条城はもう跡地しか残ってないので、今ではあまり市民の方にも知名度が高いとは言えないけれど、江戸時代は役所のような役割があったみたいです。

こういった色々な意味合いが重なったタイトルが『三条上々!!!』ですね。

――『三条上々!!!』のマップはどれくらいの縮尺ですか?また、現実に近いものでしょうか。少し比べてみたところ、郵便局の配置はかなり近いのかなという印象を受けました。

こえお氏:そうですね。縮尺とかはあまり細かすぎるくらいには考えていないんですが、まず国道をマップに引いてみて、感覚的にこのくらいと作り上げた感じです。思った以上に配置に困ったのは駅でしたね。

郵便局は、仰る通りできる限り同じように配置しています。地元の信用金庫さんなんかもそうで、ランドマーク的に使えるかと思いました。でも実際のところ、規模の小さい郵便局はすべて配置しきれていませんね……!

ラーメン屋に関してはかなり正確です。ゲーム内ではカレーラーメンを提供するお店と、そうじゃないお店でアイコンを分けていまして。ラーメン屋に関しては独立したグルメ用のマップを作ったら面白いね、と北島さんと構想を出していた名残でもありますね。

――寺社仏閣や観光地なども紹介されていますし、プレイしながら「このゲームがあれば観光マップになるな」と思います。本作が駅や観光協会に置いてあると便利そうです(笑)。

こえお氏:それが実現できたら面白いですよね。観光用だったらRPG部分と分ける形にして、ゲームとして遊べる観光マップみたいに、色々な場所に置かれるようなことになったら嬉しいです。

今度時間を作って、スマホ用に対応した画面サイズも実験してみたいと思っているんですよ。

――学校や神社など「インタラクトできるスポット」も多く存在しています。隠し要素を見つけるような楽しみ方もできますが、ゲーム内ではどれくらいのスポット数があるのでしょうか。

こえお氏:基本的なマップの中では、今は10個くらい用意していると思います。こういうイベント用のマップや場所があると、エンディングを迎えた際「やりきった感」が出ると思うんですよね。

最初はお寺と北三条駅を作っていたのですが、気が付いたらどんどん増えてしまいました。これも機会があれば、もっと広げていきたいです。

――最後に、Game*Spark読者へのメッセージをお願いします!

鈴木氏:『三条上々!!!』では、こえおさんが「地元の子供たちにモンスターを描いてもらって登場させる」という手法を取っています。三条マルシェとしても、今は教育委員会とキャリア教育について取り組んでいて、子供たちがマルシェ内でお店の体験をできるようにしています。

『三条上々!!!』もゲーム業界やクリエイターを目指す子供たちにとって、キャリア教育のひとつになると思っています。子供達の将来のためにも、三条マルシェでもゲームをアピールしていけたらと思っているので、鍛冶ガールともども応援をよろしくお願いします!

北島氏:三条市を広くカバーしている『三条上々!!!』は、個人で制作しているものとして素晴らしい作品です。弊社としても素材や有料DLCなどを上手く活かして、見事なマップづくりをしていただいていると思っています。

こえおさんも仰って、協力してくださる方にノートPCで簡単にゲームを見せることなど、本当に『RPGツクール』というツールの強みを活かしてくださっていますよね。こえおさんは子供たちの絵を使う際にもしっかりと真摯な確認作業を行われていて、その結果が行政との協力にも繋がっているのだなと。

本当に素晴らしい作品なので、ぜひとも皆さん遊んでみてください。

こえお氏:三条市に興味がある方も、そうでない方もまず『三条上々!!!』を触っていただければ嬉しいです。コロナ禍を経て、なかなか人が動けない時期も続いた中で、なんとか三条市を紹介できないか、という流れの中で作られたゲームが本作です。

今はやっと観光しやすくなってきましたし、三条市に来てカレーラーメンを食べたり、ペーパーナイフを作る体験などもしていただきたいですね。三条市へ来るきっかけとして、『三条上々!!!』を遊んでいただけたら。無料なので、サイトで見かけたらクリックして遊んでみてください!

――本日はありがとうございました!


三条市の人々が協力して完成した『三条上々!!! 山と川と鋼と八人の米神』は、フリーゲーム夢現/PLiCyで公開中です。

観光として楽しいだけでなく、しっかりと遊べるRPG作品なので、気になる方は要チェック。インタビュー前後編を読み終えた後は、三条市をまずはゲーム内で観光していきましょう!

《Mr.Katoh@Game*Spark》

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