SCE WWSプレジデント吉田修平をインタビュー、「ゲームの定義を広げたい」 | GameBusiness.jp

SCE WWSプレジデント吉田修平をインタビュー、「ゲームの定義を広げたい」

gamescom 2014のメディアブリーフィングで新規IPやインディーゲームを流れるように発表したソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ。ビジネスデイとなる13日、会場近くのラディソンホテルにて、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタ

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gamescom 2014のメディアブリーフィングで新規IPやインディーゲームを流れるように発表したソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ。ビジネスデイとなる13日、会場近くのラディソンホテルにて、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタ
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gamescom 2014のメディアブリーフィングで新規IPやインディーゲームを流れるように発表したソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ。ビジネスデイとなる13日、会場近くのラディソンホテルにて、ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデント、吉田修平氏にインタビューを実施し、注目するインディータイトルやVRデバイスに馳せる想いなど、PS4が目指すこれからを語ってもらいました。

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――今回のメディアブリーフィングでは、あふれんばかりの新規タイトルが流れるように発表されましたが、ユーザーの反応について現在までの手ごたえを教えてください。

吉田修平:一番最後に見せた新規IPの『Wild』が特に注目されています。『レイマン』を手掛けたUbisoftのデベロッパーMichel Ancelさんが独立して作ったオープンワールドゲームです。それからキュー・ゲームスの『The Tomorrow Children』。非常にユニークな世界観で、オンラインを上手く活用した期待感の高い作品です。あとは『Bloodborne』ですね。ファンの多いチームが手掛けるタイトルですし、今回ゲームプレイを初めて見せられたのでその反響は大きいです。



発表タイトル数が多くて全て収まりきらないので、新作をフィーチャーするためにもすでに発表しているゲームは始まる前に出すことにしたんですよ。そのおかげで開演前の会場を盛り上げることもできました。そういうわけで『Bloodborne』はカンファレンス前に流しました。ストリーミング時間が日本では深夜だったということもあって、こうすることでより多くの方に観てもらえたかなと思います。

――昨今、PS4のインディーゲームへの参入が積極的ですが、吉田さんが特に注目しているタイトルを教えてください。

吉田修平:最近はインディーゲームとAAAタイトルの区別がつかないくらい独立デベロッパー作品のクオリティーが向上しています。我々もインディーゲーム枠というのはもう設けていなくて、カンファレンスでは両者入り混じっての発表構成にしています。

個人的に注目しているのは、『Wild』や『The Tomorrow Children』に加えて、スペインのTequila worksが手掛ける『ライム』ですね。去年のgamescomで発表したものなのですが、今回新しい映像を出せて、とてもいい感じに仕上がってきていると思います。『ICO』と『ウィンドウォーカー』を足したような雰囲気の、少年が冒険するタイトルです。昨今、リアリスティックな映像のシューターが多い中で、ああいうタイトルが存在するのはいいことだと思います。

――以前、GDCの際にも詳しくお伺いしたのですが、Project Morpheusについてお聞きします。現在、開発はどれくらい進んでいるのでしょうか。

吉田修平:ツールとしてGDCで発表したキットをデベロッパーに出している段階で、サードパーティーがいろいろ試している状況です。今回のgamescom 2014でもプレイアブル出展しています。初披露となるコンシューマー向けコンテンツは、E3でも出していた『ストリートルージュ』と『The Deep』、それから『The Castle』ですね。その他に、メディア向けにサードパーティーから新しいコンテンツも用意しています。

――発売時期はいつ頃になるのでしょうか。

吉田修平:さらなるシステム改善を図りたいので、開発状況が落ち着いてコンテンツがある程度揃ったところでコンシューマー向けに発表という流れになります。発売の具体的な時期は言えませんが、今年はまずないです。早くても来年になるでしょうね。

――デベロッパーからの注目度はいかがですか。どのような分野での普及を目指しているのでしょうか。

吉田修平:これまでにない体験なので、熱狂的な関心を持つデベロッパーが少しずつ増えています。うちは『The Deep』のようにゲーム性の少ないものをあえて出しているのですが、それはVRの持つ可能性を追求したいという理由からです。「そこにいる体験」を限りなく幅広いコンテンツで提供できればと考えています。

ゲームデベロッパーはゲームに特化したコンテンツを提供してくれますが、他業界からの問い合わせも多いです。映画やテレビ関係のような映像コンテンツの企業はすでに高水準の3DCGを持っています。それらIPを仮想現実の体験としてユーザーに体験してもらおうという積極的な動きはすでにありますよね。



たとえば、サンディエゴで開かれたComic-Conでは、Oculus Riftを使って映画「パシフィック・リム」に登場するイェーガーの操縦を体験できるという試みがありましたし、テキサスのSXSWでは海外ドラマ「Game of Thrones」シリーズの世界が体験できました。そうした分野とVRデバイスは愛称がいいですよね。日本のIPに関しても、バーチャルアイドルといったコンテンツも含めて、仮想空間のキャラクターとインタラクトするという方向性でとても期待しています。

――今回のスローガンに「This is for the players」とありますが、それも含めてのプレイヤーということなのでしょうか。

吉田修平:そうですね。VRのような新しい技術によって、これまでゲームと思ってなかった分野が新しいエンターテイメントになると考えているので、そういう意味でゲームの定義を広げたいと思っています。

――まだ価格は分からないですが、PS4と併せて揃えようと思うと決して安くはない出費になると思います。それをよりカジュアルな層に普及させていくということでしょうか。

吉田修平:究極的にはそれが目標です。PS4本体が高価なこともありますが、最初はPS4のゲームユーザーがメインターゲットになるでしょう。だけどPS4をゲーム機として使わなくても楽しめるようなコンテンツは多く作れると思うんですよね。それがVRの持っている可能性です。それがいい形で作れれば、PS4も含めて買おうと思ってもらえるかもしれません。そのレベルまで持っていきたいです。

VRの世界ってこれからスタートしてこの後何十年も発展していくと思っています。そういう意味では、Oculus VRのPalmer Luckeyが主張するように、究極的にはテレビを置き換えるくらい身近なものになるだろうという直感はあります。スマホもこれだけ早く普及するとは誰も考えていなかったと思います。それくらいパワーのあるメディアになるのではないでしょうか。

――スマホがそうであるように、将来的には子供から大人まで誰でも使うくらいに普及するとおっしゃいますか。

吉田修平:究極的にはそうですね。特に子供に関しては、教育にも役立つと思うんですよね。たとえば、博物館で恐竜の展示物を見るのって実際に行かないと大きさは分かりませんが、VRならスケール感も含めて完全に再現できますよね。本で見るより映像で観る方がインパクトがあるように、実際にそこにいる体験ができるというのはさらにインパクトがあります。これからの子供たちは、今までの人々が体験できた何倍ものことを人生で体験できるようになると思います。

旅行にしても世界中にいい場所はたくさんありますけど、時間もお金もかかるし行くのが大変もしくは危険なところってあるじゃないですか。そういう場所って、興味はあってもなかなか行きたいとは思いませんよね。VRだったら季節や天候も含めて完璧に再現できて、より多くの人に体験してもらえます。たとえば、歳をとって旅行に行くのが容易ではなくなったけど生まれ育った故郷に帰りたいという人にも、楽しみを手軽に提供できますよね。

百聞は一見に如かずという言葉がありますけど、これからは百見は一体験に如かずみたいになるんじゃないかなと思います。

――突然ですが、『クラッシュ・バンディクー』についてお聞きします。IPを取り戻すおつもりはございますか。

吉田修平:私はシリーズのプロデューサーだったので、当時は思い入れがありましたね。絶対ないとは言えないですが、他社のIPなのでうちがどうこうってところではないですね。もしかしたらXbox独占で出るなんてこともあり得なくはないし。それは分からないですね。

――『Destiny』の国内リリースがPS4/PS3独占タイトルになった経緯をお聞かせください。

吉田修平:『Destiny』に関しては素晴らしいタイトルだということで、欧米でも提携して先にアルファやベータを実施してもらったり、PSハード限定コンテンツを用意してもらったりしてますよね。そういった関係の流れの中で、ネットワークでのコミュニティー形成やソーシャルの繋がりといった、”PS4のやりたいこと”を体現している代表タイトルとして、SCEJAとしてもさらに踏み込んで独占権を得たという背景があります。



『The Last of Us』を筆頭に海外ゲームへの注目が日本でも高まってきていますが、そのよさを国内ユーザーにもっと知って欲しいと思っています。そのために『Destiny』が1つのきっかけになればいいなと。そういう期待も込めています。

――本日は貴重なお時間をどうもありがとうございました。1000万台おめでとうございます。

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AAAとインディーズの境界線が希薄になっていく昨今のゲーム業界で、インディータイトルへの積極的な進出で新たな領域を開拓しているPSプラットフォームと、未来のエンターテイメントを見据えて躍進するVRデバイスの開発。2つのレールが交わる時、ゲームの定義はさらに広がっていくのでしょうか。百見は一体験に如かずという吉田氏の言葉こそが、ゲーム業界における新時代への鍵なのかもしれません。TGSでのさらなるサプライズに期待です。
《河合律子》

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