カプコンとのコラボレーション、そして「Unreal Engine 3」での世界流ゲーム開発・・・『アスラズ ラース』のサイバーコネクトツーに直撃 | GameBusiness.jp

カプコンとのコラボレーション、そして「Unreal Engine 3」での世界流ゲーム開発・・・『アスラズ ラース』のサイバーコネクトツーに直撃

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カプコンから2月23日に発売される『アスラズ ラース』は「怒」をテーマにし、「体験型連続活劇アクション」と名付けられた新しい形のアクションゲームです。本作の開発は「.hack」シリーズや「NARUTO−ナルト− ナルティメット」シリーズを手掛けてきたサイバーコネク
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カプコンから2月23日に発売される『アスラズ ラース』は「怒」をテーマにし、「体験型連続活劇アクション」と名付けられた新しい形のアクションゲームです。本作の開発は「.hack」シリーズや「NARUTO−ナルト− ナルティメット」シリーズを手掛けてきたサイバーコネクトツーが行いました。初めてのカプコンとのコラボレーション、そして「Unreal Engine 3」の採用。さらには本社のある福岡と東京に新たに開設したスタジオとの共同開発。様々なチャレンジを乗り越えたサイバーコネクトツーの松山洋社長と本作のディレクターを務めた下田星児氏に直撃しました。

―――カプコンとのコラボレーションはどのようにして始まったのですか?

下田: 『アスラズ ラース』の企画が始まったのは2008年末頃です。当初はパブリッシャーが決まっているわけではなく、自由に企画を考えていました。カプコンと話を始めたのは翌年の4月頃です。

松山: 下田は『NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム』に携わっていて、それが2008年末に終わります(バンダイナムコゲームスから2009年1月発売)。そのタイミングでチームから離れてもらって新しい企画をスタートさせました。私の方ではカプコン、当時は竹内(潤、『バイオハザード5』『ロストプラネット2』などをプロデュース)氏と話をはじめたらくいでしょうか。どのパブリッシャーでも同じですが、僕らは、お互いの事をよく知らないのに"何かやりましょう"というのは絶対に嫌で、長所、短所、両方を知った上で高めあえる相手じゃないと組む意味が無いと思ってます。カプコンともプロデューサークラスとの交流だけじゃなくて、現場を訪問して、カプコンという会社、開発を知りながら企画のイメージを作り上げていきました。

―――実際に仕事をしてみたカプコンという会社はどんな会社なんでしょうか?

松山: ゲームやエンターテイメントというものに対して本当に真摯に向き合う、真面目でクレバーな会社だなと。『アスラズ ラース』というゲームとは何なのか、何を目指すのか、根本となる部分では決して妥協しないという心意気とでも言うんでしょうか。我々も自分たちが産み出した「怒」というコンセプトと本気で向き合う時間になりましたね。往々にしてゲーム作りの現場ではコンセプトではなくディティールが重視される場合が多いんですが、彼らはそうでは無かったですね。よく考えたらカプコンのゲームってコンセプトは一本筋が通ってる。売れなくても高く評価される作品になる。中途半端は求めてない。そういうコンセプトの会社なのかなと。

―――福岡と大阪で苦労はありませんでしたか?

松山: それは無いですね。毎月定例のミーティングをやっていたのですが、実はほとんどお越しいただく形でした。呼びつけるのではなく自ら赴く、カプコンらしいでしょ? 言われたのは「大阪に来るのは謝りに来る時だけで結構です」と(笑)。

■コンセプトの純度を高める

―――サイバーコネクトツーさんでは企画はどのように生まれるのでしょうか?

松山: まずはしっかりしたコンセプトを作り上げることです。ゲームの具体的な内容はどうしても二転三転していきます。だからこそその根幹となるコンセプト、我々は何を作りたいんだ、という部分をしっかりやらなくてはなりません。コンセプトが決まれば徹底的にアイデア出しをします。それを組み上げると過剰に豪華な企画書ができるので、コンセプトに沿った部分、そうでない部分を検証しながら削ぎ落していきます。

下田: コンセプトを作る上で大事にしているのは「事情から入らない」ということです。用意できる予算や人員、あるいは作らなければならないゲームのタイプなど、一切を考慮に入れません。前提条件なしに、どれだけ魅力的なコンテンツを考えられるかが勝負です。

松山: 勝負できるコンセプトがなければ細かい事を気にしても仕方ありません。誰でも作れるぼんやりしたものを作っても仕方ありません。カプコンとサイバーコネクトツーのそれぞれの強み、他の組み合わせではできないものを描くのが何より重要です。細かい開発期間や人員、予算の話はその後です。

―――『アスラズ ラース』の核となるコンセプトは「怒」です

松山: はい。他に真似が出来ない強みで勝負するということと、怒りというのは世界共通の感情ということです。怒りを原動力とする主人公がいて、やられっぷりと逆転っぷりが凄い破天荒なエンタメアクション。そういったことが最初のコンセプトとして書かれていました。でも破天荒なアクションとは具体的に何かというのは決まってないんですけどね(笑)。

―――そこから沢山のアイデアを出していく

松山: そうです。怒りというコンセプトで沢山のアイデアや要素を出してゲームを組み立てていきます。そこから先ほども言ったようにコンセプトに合わないものを削ぎ落して研ぎ澄ましていきます。当時カプコンのディレクターに言われたのは「付く嘘は一つでいい」と。嘘に嘘を重ねるとお客さんには関係がなく、しかも分かりにくいものになってしまいます。『アスラズ ラース』はSF的なアジア仏教世界という一つの大嘘で成り立っています。そこに更に嘘を足してしまうと分かりにくい、味の良く分からない商品になってしまいます。

下田: 僕らには忍者の血が流れているので(※)、どうしても手裏剣なんかを出しちゃうんです。忍者は一見カッコいいのですが、怒りというコンセプトと自分の感情を表には出さない忍という存在はどうしても噛み合いません。感情を前面に出す忍者、だけであれば一つの嘘ですが、感情を前面に出す忍者が活躍するSF仏教世界というのは嘘が多すぎてお腹いっぱいになってしまいますよね。

(※下田氏はかつて「NARUTO−ナルト− ナルティメットストーム」の特別ディレクションを努めた)

―――なるほど

下田: ゲームプレイの面でもコンセプトありきです。例えば当初はプレイヤーがパラメーターの割り振りで成長していくような設計をきっちりやっていました。確かにパーツとしてはゲームの面白さを構成する可能性がありますが、チマチマしたプレイは怒りというテーマからはかけ離れていました。当然、今後そうした文法でアクションを作る可能性もありますし、否定するわけでもありません。全てはコンセプトに沿ったものなのか、そうでないのかという事です。

―――怒りのドラマを体験するという方向性はどのようにして生まれたのでしょうか?

下田: 実際のプロジェクトを始めるに当たっては企画やコンセプト作りと並行して、技術的な検証も行なっていく必要があります。今回は「Unreal Engine 3」を採用することになり、その検証も兼ねて、実際に触れるものを半年くらいかけて組んでいったんです。すると、「アレ、ただのアクションゲームじゃん?」と。コンセプトは怒りだったはずが作っていると無意識に普通のアクションゲームになってしまっていました。しかしそれが転機になりました。

下田: これは面白い体験をしたな、と思うのですが、「これじゃまずい」と私と松山、カプコンさんも徹底的に悩むわけです。それで次回は案を持ち寄りましょうと集まったら皆が「"連続ドラマ"的な切り口で行こう」と言うんです。コンセプトを共有していれば、歯車ががっちり噛み合う瞬間があり、同じ結論を導くということでしょうか。

■ゲームエンジンは思想

―――今回はEpic Gamesの「Unreal Engine 3」を採用されたことも大きなトピックとなりました。サイバーコネクトツーとして初めて採用するに至った経緯を教えてください

下田: ゲームエンジンの決定に際しては、幾つかの選択肢がありました。当然ながらカプコンさんの「MT Framework」なども検討しました。その中で「Unreal Engine 3」に決めたのはレベルエディターとUnreal Kismetの存在です。『アスラズ ラース』はドラマの演出でプレイヤーを引き込んでいくタイプのゲームなので、ゲームの進行としてはトリッキーです。演出中にゲームがはじまったと思ったら、ゲーム中に演出が始まったり。それをプログラマーがゴリゴリ作ると堅いものになりますし、現実的に工数が足りません。演出が分かるデザイナーがもっとゲーム作りに関わる体制を構築する必要がある、そうした時にレベルエディターや演出を記述するUnreal Kismetの存在は大きかったんです。

―――サイバーコネクトツーさんはデザイナーが主導のゲーム作りをされていると聞きます

松山: 現在、東京と福岡で合わせて約200名のスタッフがいますが、ゲームデザイナーが約20人、サウンドが6人、プログラマーが約40人、残りは全員アーティストです。それでいて7つ程度のプロジェクトが同時進行しています。単純に計算すると・・・とても潤沢な数のプログラマーが居るとは言えません。更に現行世代になって物量は圧倒的に増えています。プログラマーがアーティストの為にツールを作るというような事は今までもやってきましたが、その程度の"効率化"では限界があります。もっと根本的にゲームデザイナーやアーティストがゲームのコアに関与できる環境が必要だったんです。

下田: アーティストの中でも多いのはアニメーター(モーション)です。描画の綺麗さは勉強すれば一定レベルに達せますが、演出力や表現力や動きは感性に依るところが大きく差別化のポイントとなります。技術の頭打ちもありませんし、今後も突き詰めて勝負し続けることのできるテーマではないかと思っています。アニメーター以外の背景やキャラクターのモデラーはそう多くありません。

―――プログラマーが少ないサイバーコネクトツーだったから外部のエンジンを受け入れ易かった?

松山: それは確かにあるかもしれません。元々我々はアーティストドリブンという考え方で、アーティストが思い描いた絵面をゲーム化していくというチャレンジをしてきました。ですからアーティストがより大きな役割を果たすという点で抵抗は少なかったかもしれません。それから、物量が増えた現行世代の大規模開発ではゲームデザインの負担が爆発的に増えています。それを補っていけるのも良い点でしたね。我々に限らず役割分担を見直す時期に来ている気もします。

―――新しいゲームエンジンを導入すると開発者それぞれの役割やワークフローも変化しますよね

下田: その通りです。「Unreal Engine 3」は世界的なデベロッパーであるEpic Gamesが実践で作り上げたものであり、それを導入するに当たっては、どのようなワークフローが前提とされていて、どのような思想で作られたものであるか理解する必要があります。当然、過去のワークフローは変化せざるを得ません。今回の場合は、これまで以上にデザイナーやアーティストがゲーム作りに踏み込み、どんな動きや遊び方をするのかという点に責任を負うようになりました。開発終盤のバグ取りもデザイナーやアーティストも参加するようになりました。こうした変化は望んだものですが、簡単な事でもありませんでした。

―――エンジン自体の学習にはどのくらいの時間を要したのでしょうか?

下田: だいたい1年間プリプロの期間があったのですが、その間に「Unreal Engine 3」を相当研究しました。全てを学ぶと優に2ヶ月は必要だなという感触で、もちろん各メンバーに2ヶ月を与える余裕はないので、それぞれの担当箇所で最低必要な内容をドキュメント化して、後は実践で学んで下さいというスタンスを取りました。ドキュメントの整備で実際には2週間程度学べば実作業に入れるようになりました。

―――当初は日本法人もありませんでした(※)

下田: まあ、それでも導入するという決断だったので(笑)。とはいえ、全員が英語を使いこなせるわけではありません。エンジンのアップデートについての案内が届いてもそれが理解できなかったりして。日本法人が設立されたことで疑問や質問に対するレスポンスも格段に良くなって助かりました。私達が導入した時よりも遥かに「Unreal Engine 3」を導入するハードルは下がったと思いますね。言葉が分からなくても勉強すれば何とかなるだろうと思ってましたが、結構大変でした(笑)。

※Epic Games Japanの設立は2009年12月

―――東京スタジオと福岡スタジオの連携はどのように行われているのでしょうか?

松山: 『アスラズ ラース』の開発途中で東京スタジオはオープンしました。東京と福岡は単独ではなく、共同でタイトルを作っていきます。連携して開発を進められるように全ての会議室にテレビ電話の設備が完備されていて、執務エリアも常に大型スクリーンでお互いの様子を確認できるようになっています。お客さんは東京スタジオにお越しいただく場合が多いですので、常に最新のビルドを用意していて、すぐ福岡スタジオにフィードバックできるようにしています。Epic Gamesさんにも東京スタジオにお越しいただいてレクチャーを度々していただいたのですが、そこには福岡のメンバーもテレビ会議で参加していました。

下田: 協力会社の方は東京にあるケースが多いです。グラフィックやアニメ、絵コンテなどをお願いしている会社さんもあります。そういう場合に東京にもスタジオがあるというのは便利です。それから、やはり東京でしか手に入らない才能や人材もいます。『アスラズ ラース』の場合は、ピークで東京に20名、福岡に100名くらいのチームになりました。サイバーコネクトツーとしても初めて東京と福岡が協力して開発されたゲームで、とにかく距離感を縮めることに腐心しました。僕も朝は福岡に居て、夕方の終礼は東京に居る、というのが何度もありました。実際に合ってこそ共有できるものもありますので。

■Unreal Engine 3の実際

―――特に活用した、役に立った機能というのはありますか?

下田: 『アスラズ ラース』ではSTE(Story Telling Event)と呼んでいるのですが、その中でプレイヤーが主人公になりきってボタン入力をするシーンでは、シーン全体を、アニメーションを制御する「Unreal Matinee」(マチネ)と「Unreal Kismet」を組み合わせて、どのタイミングで入力を促して、それが成功したらこちらに分岐、失敗するとあちらに分岐という制御をアーティストが組んでいます。また、プレイヤーの挙動に関しても、モーションをツリー形式のエディターで視覚的に繋ぎ合わせて制御できました。こちらは主にプログラマーが担当しましたが、モーション自体はデザイナーが制作するものなので、視覚的に分かりやすい環境を使うことで連携が容易になりました。

―――「Unreal Engine 3」はアニメーションやモーションに弱いという指摘を受けることもありますが

下田: 今回はアニメーションやモーションはDCCツールで、リソース段階で設定しているのがメインで、動的な制御は余り無く問題にはなりませんでした。例えばユービーアイソフトさんの『アサシン クリード』などはモーションブレンドを上手く使って表現することの可能性も感じているのですが、『アスラズ ラース』でやりたかったデフォルメ表現や強調された動きを動的に生成するのはなかなか難しい問題だとも感じています。

―――デフォルメ表現ではズームパンチではサポートのやり取りがありましたね

下田: これも誇張的な演出なのですが、カメラに向けてパンチをしていくときに、カメラが近づいているだけでなく拳自体もスケールアニメーションで大きくしていくということをしようとしていたんです。それもXYZの3軸を別々の縮尺で大きくしていくという。当初制作している際にはきちんと動いていたのですが、ある時、恐らく処理負荷軽減のためにバージョンアップでXYZを同じ値でしか持てなくなっていたんです。結局は均等アニメーションでも目的のことを実現できるように、リグの作り方などを工夫して解決はできました。

―――エンジンを作ってる人間からするとそんな用途を求めている人がいるとは夢にも思ってないでしょうね・・・

下田: 顔を縦にびよーんと伸ばしたいという人は余りいないでしょうね(笑)。必ずしもエンジンで対応すべき問題とも思いません。パフォーマンスを向上させるというのは、それはそれでお願いしたいことなので。

―――地球より大きいような馬鹿でかい敵も大変そうです

下田: アニメーション圧縮をすると誤差が出て、ピクピクしてしまうという現象はありましたね。それは容量が大きくなってしまいますが、圧縮をオフにすれば解決できました。これはエンジン側でチェックボックスを外すだけで出来るので簡単です。

―――カメラをバーンと引くような演出も多用されていますが、読み込みなどの問題は?

下田: エンジンのテクスチャストリーミングの遅れでカットが切り替わった際にキャラクターの顔がボケボケになってしまうような事はありました。シリアスなシーンのアップなどでそうなってしまうと台なしなので、ロードが厳しい箇所では次に移るシーンを予めロードするような対応をしています。どうしてもアーティストが組むとそういう箇所は出てしまうので後でプログラマーが調整するということを極力やってます。どうしても間に合わない箇所は被写界深度の演出を装ったり。技術が追い付かなくともデザインでカバーできる点も多いと思いますので。

―――リアルテイストなゲームが多い「Unreal Engine 3」でアニメ的なゲームを作るというのは大変なのでしょうか?

下田: どちらかというと「Unreal Engine 3」はグラフィックの幅が出せるエンジンだと思っています。シェーダーのエディターはDCCツールに近く、処理のノードを繋ぐだけでアーティストが試行錯誤して絵作りができます。ポストエフェクトも同様です。

―――なるほど。逆に課題があるとしたらどんな部分でしょうか?

下田: 独自の拡張は難しいですね。自前のエンジンであれば無理矢理拡張するようなこともできますが、「Unreal Engine 3」は定期的にアップデートがされるので、拡張してしまうとその部分のやり直しが発生してしまいます。エンジンが前提とするものをきっちり理解して、それに合わせた作り方をする必要があると思います。逆にある程度の拡張の余地を持たせてもらえると更に使いやすい製品になるかなと思います。

Epic Games Japan: 今では「Unreal Engine 3」はかなり枯れているので、ブランチアウトして使用するというリスクは以前よりは減っています。ただ、過去に独自の拡張を行なって自分たちのワークフローにエンジンを持っていこうとして失敗した例もあります。次世代のバージョンである「4」はその辺りを意識した設計になるようです。

―――最後にローカライズの点で課題などはありましたでしょうか?

下田: 元々世界同時発売を目指したタイトルです。「Unreal Engine 3」の方も当然、マルチプラットフォーム、マルチリージョンを想定した作りで、リソースの段階からローカライズ対応できるようになっています。ですから比較的スムーズには行ったかなと思います。

―――ローカスライズは何か国語で行ったのですか?

下田: 日本語とEFIGS(英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語)なので6ヶ国語ですね。エンジンには最初から各国語のダミーデータを入れておいて、ひとまず翻訳が終わる前に動作確認ができるようにしておいて、翻訳が終わった順に正式なものに差し替えていくという作業をしました。ボイスは日本語と英語です。動画はRADゲームツールズの「BINK」というコーデックを利用しているのですが、日本語チャンネルと英語チャンネルを用意していて、エンジン側で切り替えるという動作をしています。

■逃げていては未来はない

―――サイバーコネクトツーでは「Unreal Engine 3」は今後も使っていくのでしょうか?

松山: せっかく学習し、一つのゲームを仕上げたので、その経験を捨ててしまうのはもったいないですね。今後も考えていきたいと思ってます。

下田: 一回マスターアップを経験するというのは習熟度を飛躍的に上げると思っています。今はダウンロードコンテンツの開発がスタートしていますが、マスターアップの経験から問題や課題を先回りで分かるようになったので、トラブルも少なく質の高いものを開発できていると思います。

―――近年、厳しい状況に追い込まれているデベロッパーさんも多いと聞きます。いま、何をすべきでしょうか?

松山: これは主に中規模〜小規模のデベロッパーさんに向けたメッセージになるかと思いますが、一番大事なのは逃げながらモノ作りをしてないことです。ゲーム業界は成熟した段階にあって、二極化が進んでいます。我々のように世界に向けた大規模ゲームで勝負できるデベロッパーばかりではありません。これには様々な要因があると思いますがそれを今更議論しても仕方ないことです。言い訳を重ねても仕方ない。

すべきはチャンスを増やしていくことです。「Unreal Engine 3」もそう。まずは触ってみること。せっかくトライアルはタダって言ってくれてるんだから。テストで試してみるとか、プロトタイプを作ってみるとか、まず始めなければ次の一手は生まれません。今回、「Unreal Engine 3」を採用してみて世界はこういう方法でゲーム作りをしているんだと体感できました。自分たちで内製のエンジンを作るのも一つの方法ですが、お客さんが気にするのはエンジンじゃありません。作品力です。今回は世界の開発手法とサイバーコネクトツーが培ってきた、ならではの作品作り、この融合で新しい物が生み出されるというチャレンジだったと思います。どちらが欠けても『アスラズ ラース』は生まれなかったでしょうね。「Unreal Engine 3」を触ってみようという所から話はスタートしているんです。

だからといって「Unreal Engine 3」が万能かと言われるとそうじゃない。業界仲間に「どうだった?」って聞かれます。僕は「超 使い難かった」と答えるようにしてます。でもそれは「NUライブラリ」も「CryENGINE」も「MT Framework」も絶対そう。他人の作ったエンジンでモノ作りをするのが簡単であるはずがない。それでも「使って良かった」と思ってます。自分たちの考えだけで作るんじゃなくて、「世界はこういう考え方でゲームを作ってるんだ」というのは計り知れないほどの経験値を与えてくれました。だから次の僕らのゲームは怖いですよ(笑)。それが「Unreal Engine 3」なのかはお話しにくいですが・・・。

―――それでは最後に『アスラズ ラース』を楽しみにしているユーザーに一言をお願いします

下田: 『アスラズ ラース』を作るに当たって、「怒」という今までにないテーマに挑戦するのはもちろんですが、アクションゲームの遊び方を広げることを意識してきました。常識をぶち破るような。最近は似たようなアクションで飽き飽きしたとか、アクションは余り好きでないとか、新機軸なゲームを遊びたいとか、そういう方には必ず満足していただけるような提案になった自身があります。ぜひ楽しみにしていてください。

松山: これを読んでいる方にお聞きします。最近、最後までクリアしたゲームってありますか? 実は救ってない世界だらけなのではないかなと。時間がない、つまらない、難しい、新しいゲームが出た、色々な理由があると思いますが、勿体無いですよね。『アスラズ ラース』はこれだけは保証できます。最後まで遊びたくなるゲームだと。「久しぶりに最後まで遊んだゲームだな」と思ってもらえるような物語と仕掛けがてんこもりです。ちょっと触れてしまうと10時間前後は虜になってしまうはずです。よろしくおねがいします!
《土本学》

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