【GDC2011】ゲーム体験だけでなくローカライズも新次元に導いたキネクト | GameBusiness.jp

【GDC2011】ゲーム体験だけでなくローカライズも新次元に導いたキネクト

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キネクトはゲーム体験だけでなく、ローカライズについても、レベルをさらなる高みに引き上げてしまったようです。
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キネクトはゲーム体験だけでなく、ローカライズについても、レベルをさらなる高みに引き上げてしまったようです。

発売後60日間で800万ユニットのセールスを記録するなど、大きな成功を収めたXbox360の体感ゲームユニット「キネクト」。その開発ポストモータム「New Technology and New Interfaces:Localizing Videogame for Kinect」が28日、GDCの分科会・ローカリゼーションサミットで行われました。

スピーカーはマイクロソフトからリーフ・トムプソン氏、ユミコ・マーフィ氏。ゲームの地政学的・文化的な事象を扱うコンサルタント会社・エングローブの代表で、ローカリゼーションサミットの世話人も勤めるケイト・エドワーズ氏です。

左からリーフ・トムプソン氏、ケイト・エドワーズ氏・ユミコ・マーフィ氏。


ローカリゼーションサミットはGDC1-2日目に開催される、専門性の高いセッションを集めた「サミット」と呼ばれる分科会の一つで、ローカライズに関するトピックを扱います。キネクト向けゲームについても、開発もさることながら、ゼスチャーや言語コマンド認識などのローカライズで、高いハードルがあったことが示されました。

はじめにトンプソン氏は、そもそもキネクトの開発が社内の極秘事項で、スケジュールも十分ではなく、ローカライズでさまざまな障害があったことを示しました。具体的には▽セキュリティの確保▽デバッグ向けプレイスペースの確保▽ハードウェアの確保▽新しいテスト方法法の確立▽テストを簡易的にするための方法の確立、などです。

まず、なんといっても情報が外部に漏れることがないように、厳重な管理体制のもとでローカライズとデバッグが行われました。必要なハードウェアを確保するだけでも一苦労。円滑なテストのために、USBキーボードでもゲームを進められるようにしたり、椅子に座ったままテストできるようにする、などの「裏技」を埋め込む必要もありました。

もっとも体感コントローラーだけにプレイスペースも必要で、外部から完全シャットアウトされた環境でテストを行うのは、想像以上に大変だったようです。ゲームの開発はレッドモンド、ローカライズはダブリン(欧州言語向け)と東京(日本語・中国語・韓国語)で行われましたが、中でも東京の地価の高さはご承知の通り。社内に簡易的なテストスペースが設置されるなど、かなりの苦労が見られました。

プレイテストも通常のゲームと違い、体力的な問題などから、一人が延々と行うわけにはいきません。バグもゲーム内情報と共に、テスター自身の情報もあわせて記録し、報告が求められます。そこで二人一組となり、一人がテストプレイを行う一方で、もう一人が記録を担当し、交代で行う仕組みが考案されました。

キネクトのプレイテストには相応のスペースが必要。東京のローカライズチームでもスペースの確保が課題になった。二人一組でペアとなって検証を行うシステムを確立。



一方エドワーズ氏は、主に文化的な立場から開発中のゲームに対してチェックを入れていきました。キネクトはゼスチャーコントロールが最大の特徴ですが、大前提としてゼスチャーには各文化圏によって、異なる意味合いが発生します。ある文化圏では問題のないゼスチャーでも、別の文化圏では炎上の火種になる、などの可能性も少なくありません。

特に重点的にチェックされたのが、ローンチタイトルの一つ「ダンスセントラル」でした。本作ではプレイヤーの動きにあわせて画面内のキャラクターがアクションをするため、画面内のキャラクターが思わぬゼスチャーを行い、それが周囲のプレイヤーに不快な印象を与える、といった問題が起こりえます。そのため問題を内包しそうなゼスチャーには対応しないといった配慮がなされています。

これは、あらかじめキャラクターにつけられた固有の動きについても同様です。画面内でリアルなキャラクターがアクションするということは、指先の動き一つにまで目を光らせる必要があります(しかもベースとなる音楽がロックなどの「トンがった」分野です)。さらに、これを全世界規模で考慮しなければなりません。この問題をマイクロソフト社内だけで解決するのは難しく、地政学的・文化的問題の専門家であるエドワーズ氏が担当することになったようです。

同じ手のゼスチャーでも受ける印象は文化圏ごとに異なる。キネクト第一弾のゲームとして、徹底的なチェックが行われた。


最後の難関が言語認識で、マーフィ氏が日本語ローカライズの立場から説明しました。キネクトにはマイクがあり、口頭でコマンドが出せます。しかし、「やれる」と「できる」の間に深い溝があるのはご承知の通り。複雑な動作をさせるためには、そのための文法処理を(各言語ごとに)行わなければなりません。そのためローンチタイトルでは言語認識機能は「キネクトアニマルズ」でペットの名前を呼ぶなど、文法の問題を内包しない、限定されたものになっています。

とはいえ、それだけでも問題は山積みでした。ペットの「名付け」は30カ国に対応、サポート言語は英西仏独伊日に加えて、南米ポルトガル語、ロシア語、ポーランド語、韓国語、中国語(繁体字)の11カ国語に及びます。一方ボイスコマンドについては、アメリカ英語、イギリス英語、日本語、スペイン語(ラテンアメリカ)の4種類に限定されました。これも限られたスケジュールで、ローカライズの品質を担保するための選択だったようです。

音声データは各言語ごとに、6歳以上の子供ユーザー(男女各10人)と18歳以上の成人ユーザー(男女各5名)で収集されましたが、意外な障害となったのが各地域での法律的な壁です。たとえば日本では対価を払って未成年者からデータ収集を行う行為は、労働基準法に抵触する可能性があります。またデータの活用ではプライバシー配慮の問題も避けては通れません。そのため社員の家族にボランティアで協力を依頼する、といった光景も見られました。

また英語では「Sit」「Finished」という、まったく別の発音の単語が、日本語では「おすわり」「おわり」という、非常に近しい発音の単語になる、といった問題も発生しました。そこで「おすわり」と「おわり」を、誰が発音しても高い精度で認識するように、特別なチューニングを施す、などの対応も行われました。

さらに名付けのテストについては、最低限の保証として、各言語で人気の高い100種類の名前で音声データを収集し、テストが行われました。前述したように名付けは11言語に対応するため、これだけで1100種類のデータ検証が必要となります。さらにこれを、子供・成人ユーザー(男女別)の4種類で収集・検証し、認識精度を高めていく作業が行われました。データ収集は15カ国で行われ、計4週間が費やされるなど、非常に大変だったようです。

音声認識機能が盛り込まれた「キネクトアニマルズ」11言語で100種類のペットの名前がテストされた。言語によって平均認識率が異なる。日本は93%と好成績。
韓国語では平均90%だったが、名称でばらつきもみられた。各国語別の言語辞書の作成は開発の大きな負荷となる。同じ意味でも、言語によっては似たような発音になる場合も。


このように言語認識は開発とローカライズに多大な負荷を与えるため、よりいっそうの開発支援が必要となります。マーフィ氏は私案として、言語認識を含むローカリゼーションプロセスのさらなる標準化が必要だと示しました。またマイクロソフトとして、言語認識に関する開発キット(Speach Lab XDKなど)などの配布も必要ではないか、という認識を示しました。

将来的にはベータ版まではサンプルデータで開発を行い、最終段階で音声処理部分だけ差し替える、といった開発プロセスがとれるようになれば、より効率的な開発が可能になるとのことです。もちろん、そのためには超えなければならないハードルが幾多もあることは、いうまでもありません。

このようにキネクト向けゲームの開発においては、オリジナル版開発のみならず、ローカライズに関しても、多大なチャレンジが発生することが示されました。今後キネクトのさらなる向上が期待される一方で、ローカライズがボトルネックとなって、企画の範囲が狭められるようなことがおきては、本末転倒となります。開発チームとローカライズチームのさらなるリレーションシップが求められそうです。
《小野憲史》

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