Netflixと東京藝術大学は2025年11月29日(土)・30日(日)の2日間にわたり、次世代クリエイター向けのプログラム「AVID編集助手育成ワークショップ」を初めて共催したことを発表した。本プログラムは、国際的な制作現場で活躍できる人材の育成を目指したものだ。講師にはプロの映像編集者である宮島竜治氏、菊池智美氏を迎え、編集の基礎技術から実際のワークフロー構築まで、Netflixと東京藝術大学の専門知識を融合させたトレーニングが行われた。
「Netflixクリエイターズ道場」と藝大「クリエイター支援基金」の連携
本プログラムの背景には、両組織がそれぞれ推進してきた育成プロジェクトの存在がある。Netflixは2025年より、グローバルな制作現場の知見を共有する「Netflixクリエイターズ道場」を日本で開始している。一方、東京藝術大学も同年より「クリエイター支援基金(文化芸術活動基盤強化基金)」を通じ、映像・芸術分野の人材育成に取り組んでいる。
今回の共催は、こうした理念の一致から実現した教育と実務をつなぐ新たな試みだ。Netflixでアジア太平洋地域のクリエイター育成を統括するサン・キュー・リー氏は、「日本のコンテンツ産業がさらなる発展を遂げるためには、国際的な視点と実践的なスキルを持つ人材の育成が欠かせない」と述べ、教育機関との連携意義を強調している。
東京藝術大学教授の横山昌吾氏は、今回の取り組みについて「学生たちが国際的な現場で求められる編集技術やプロフェッショナルなワークフローに初めて触れ、非常に高い意欲を持って取り組んでいる姿が印象的だった」と語る。日本発のクリエイティブが世界へ展開するためには、こうした実務に即したスキルの習得が不可欠であり、産学連携による継続的なプログラムの重要性が示唆されている。
大阪・関西万博から続く展開、今後は制作経理やVP分野も
「Netflixクリエイターズ道場」の取り組みは、2025年9月26日に大阪・関西万博の米国パビリオンで開催されたマスタークラスより始動している。そこではエミー賞受賞監督のマイケル・レーマン氏を招き、関西拠点のクリエイター約70名に対してストリーミング時代の演出に関する講義が行われた。
Netflixは今後、編集領域にとどまらず、音楽制作、制作経理、バーチャルプロダクション(VP)、制作現場の安全衛生など、作品制作を支える専門スキルに関するトレーニングを拡充する方針だ。同社はアジア太平洋地域全体で、2021年から2024年にかけて8,000人超の人材開発に貢献してきた実績を持つ。今後もデジタルスキルの格差や人材不足といった業界課題に対し、教育・制作・ネットワーキングの側面からアプローチを続けていくとしている。








