FPSが日本においても人気のゲームジャンルとなってずいぶん経ちますが、その人気は対戦、あるいは協力型のマルチプレイヤータイトルに集中しています。シングルプレイオンリーのFPSが話題になることは多くはなく、それがインディー発の作品となればなおさら注目度は低くなりがちです。
国外では「ブーマーシューター」を初めさまざまなインディーFPSが大きく注目を集めていますが、その波が日本に届いているとはなかなか言い難いでしょう。
そうした状況の中で、国内のインディーゲームパブリッシャーが驚きの発表を行ったことをご存知でしょうか?『ファミレスを享受せよ』など数々の国内インディー作品を届けてきたパブリッシャー「わくわくゲームズ」が2025年9月末、国内インディー発のFPSである『MISHA』『ダイバデストラクタ』『魔法少女バリスティック響』を3作まとめて新たにパブリッシングすると発表したのです。
わくわくゲームズはすでにニンテンドースイッチ版『カルトに厳しいギャル』のパブリッシングを手掛けており、さらに『最終回収SQUAD』の発売も予定しています。発売予定の新作が4本、すでに発売されているものも含めれば5本も国内インディーFPSを取り扱う力の入れよう。さらに、この動画では今後も国内インディーFPSを支援したいという発言も見られます。
先に述べた国内の需要から考えればかなり挑戦的な試みで、言うなれば国内インディーFPSの最前線です。
はたしてこの施策の狙いとは?この度、わくわくゲームズの代表である大柳竜児氏、そして同社が配給するFPSの開発者たちにお話を聞く機会を得ました。
前後編となる本企画。前編となるこの記事では前段としてわくわくゲームズ代表の大柳氏へのインタビューをお届けします。
「JFPS」をパブリッシングするわくわくゲームズ代表 大柳竜児氏インタビュー!

――まずは自己紹介と、パブリッシャーわくわくゲームズについてもご紹介お願いします。
大柳氏:わくわくゲームズは以前は前職に勤めていた会社の1レーベルでしたが、2023年に独立をして、現在は私1人で切り盛りしているパブリッシャーです。主に個人作家、もしくは法人でも小規模のチームで作られた作品をメインにラインナップし、Steamないしニンテンドースイッチ用に販売を行っています。
そのラインナップの基準は私がプレイをして、これはゲームファンの皆様に紹介したい、遊んでほしい、というゲームを厳選しています。お酒屋さんとかで店主こだわりの品揃え!みたいなのがあると思うんですけど、そういう感覚でゲームソフトパブリッシャーをしているんです。ある意味ちょっと特殊なパブリッシャーですね。
今ですと、ニンテンドースイッチ用に38タイトル、Steamはそれより若干少ないぐらいの作品を取り扱わせていただいております。
――聞くところによると、大柳さん自身は以前は海外ゲームのパブリッシング・広報に長く携わってこられ、日本の小規模開発のゲームに魅力を感じられてわくわくゲームズをスタートされたそうですね。
大柳氏:私は学校を出て以降、主に外資系のパブリッシャーを中心に務めてまいりまして、もう25年以上この業界にいます。それらの会社のほとんどが海外ゲームを扱っていて、必然的に海外ゲームにずっと携わっていました。ですので、仕事で日本のゲームを扱う、個人的にプレイするということがあまりなかったんです。
そこでいわゆるインディーゲームが勃興してきて、日本にも当然インディーゲーム開発者の方がいらっしゃって、ゲームイベントに参加すると必然的にそういう作品が目に入ってくるんですよ。それがすごく魅力的に感じたんです。
やっぱり、外資系のパブリッシャーで勤めているとゲームを売ることに特化しているところがあって。新作をこれだけ売るつもりでしたが売れませんでした!なんて事になったらすぐに自分の首筋がひやりとするわけです。これは制作側もそうで、販売計画に合わせるために必死になり、私が務めていた当時は結果的に完成度が下がってしまうような印象を受けたんです。
前職では海外のインディーゲームを取り扱っていまして、そこでインディーゲームに触れたわけですが、それがすごく新鮮でした。手堅くまとまってるし、しっかり作ってあるし、なにより売れるためにウケを狙うというよりも、作家さん自身の個性、作りたいものを目指している。
話を戻して、私は日本人ですし日本に居住しているわけです。日本にも魅力的なインディーゲームがあるなら、取り扱わない手はない。それで、わくわくゲームズを立ち上げたというわけです。
――そんなわくわくゲームズが2025年9月末にFPS特集と題し、なんと3本の新作FPSのパブリッシングを発表しました。既発表・既発売のものを含めれば合計5本にもなります。これだけまとめて個人開発のFPSをパブリッシングするというのは、FPSを専門に扱うパブリッシャーでもなければ珍しいことで、大変驚きました。この発表の反響はいかほどでしたか?
大柳氏:いや、反響はそれほどありませんでしたね。(配給を発表した)わくわくゲームズ通信でなにかこう反響があったかというと、別にそんなになかった。
まあ、わくわくゲームズ通信は正直メディアさんがなかなか取り上げてくれないところもあるので、定期的に情報を自ら出していったほうがいいと継続しているものです。だから、反響を求めてあの動画を作っているわけではありません。

ただ、『MISHA』についてはXでのポストが海外を中心に大きく拡散され、結構大きな反響がありました。
個々の作品についても注目が集まってほしいなあ……と思っているところです。
ただ逆にですね。このFPSのラインナップは別に大儲けができるぞ!反響を取るぞ!と思ってやっているわけではなくて。あくまで自分が好きだからというのが動機として大きいんです。
私自身、90年代からずっとFPSをずっと遊んでいるわけですよ。『DOOM』や『Duke Nukem 3D』、『Redneck Rampage』や『BLOOD』といった、いわゆるDoomエンジンとかBuildエンジンとかを使っている、そういうストーリーがなんかついてるようでついてないようなFPSをリアルタイムで経験してきている。
当時熱中したあのゲームを、今日本の作家さんが今作っているわけですよ。それにうれしくなったっていうのがまずある。わくわくゲームズとしてこれはぜひ抑えなくちゃいけないと。
――大柳さんがFPSが好きだからこそ、今回のFPSラインナップが形になったというわけですね。
大柳氏:そうですね。まず『カルトに厳しいギャル』の作家であるBhaskaraさんと知り合うきっかけができまして、実際に『カルトに厳しいギャル』も取り扱いさせていただいて……。そこからBhaskaraさんと交流のある作家さんと知り合うことができたんですよ。そのつながりでゲームをいろいろ見させて頂いて、「これはいいな!」と思う作品がたくさんあった。

例えば『MISHA』はまだゲームができていない、開発中のスクリーンショットもほとんどないような状態で構想の段階で作家の我慢さんにお声掛けをしておりまして。「ゲーム化するんですよね?」「その予定でおられる?じゃあうちから出させてください!」という感じで。正直、Xに投稿されていたイラストだけ見て決めました。
最初にお話した通り、私は自分が店に並べたいものを出すために独立したので。サイバーパンクとFPSの組み合わせで、かつちょっとセクシーな要素もあるなんて、絶対面白そうじゃないですか。
――すごい。それは思い切った決断ですね。他の作品はどのようにお声がけする形になったのですか?

大柳氏:まず『最終回収SQUAD』は先にお名前を出したBhaskaraさんが催したゲームジャム「torimonojam」に出ていた『Hand-Me-Down』が元になっていて、それを遊んだ瞬間にこれはちょっと手を加えたら商品レベルのクオリティになると思ったんですよ。そ
れで、作家のサンフィッシュくまのさんに、『Hand-Me-Down』はすでにしっかりまとまっていてすばらしいんですけど、もっと内容を充実させて完全版を作る予定があるんだったらぜひ一緒にやりませんか!とお声がけしまして。サンフィッシュくまのさんにもこのゲームは商品レベルまで持っていけるという感覚をお持ちだったようで、それにうまいこと乗れたかなと。
サンフィッシュくまのさんは、多芸で音楽もビジュアルもご自身で作れるし、いろんなゲームをしっかり遊ばれている印象で、クリエイターとしてセンスもスキルもすごい。バランスの取れたクリエイターさんだと思っていて、『最終回収SQUAD』の最新ビルドを触らせて頂いたのですが、かなりいい仕上がりです。完成が楽しみですし、それなりの反響もいただけるんじゃないかなと期待しております。

『魔法少女バリスティック響』も作家のひるこTIMeさんが体験版をご自身で公開されているんですけど、それを遊んでみてお声がけしました。ローグライトなFPSだと『SULFUR』が直近で大きく流行ったのであのイメージに持っていかれがちですけれど、『魔法少女バリスティック響』はひたすら戦って奥の階層に進んでいくスタイル。これが私も結構好きなスタイルでして。
あと、魔法少女と言いつつアサルトライフルを持っているわけじゃないですか?ひるこTIMeさんは「あれも魔法なんです」って言ってましたけど、そういうチグハグさも「いかにも」な感じがして個人的に良かった。
なので、「やりませんか!?」といってもう本当にぐいぐい背中を押しまくって契約に至った感じですね。

『ダイバデストラクタ』については、作家の胡籙ユギさんはイラストの投稿がXとかでバンバン拡散される方で、FPSを結構プレイされているので存じ上げていたんです。で、そんな方がご自身でもFPSを作り始めていたのでその動向をずっと追っていたんです。それで、これはいつかお声がけしないとなとずっと思っていて。
実際にお声がけした当初は「まだ早いでしょ」と対応されていたんですけど、『カルトに厳しいギャル』のスイッチ版が出たあたりから話がうまくまとまって。「完成形が見えているのなら、完成まで持っていきましょう!」と言って、今に至っています。
『ダイバデストラクタ』は世界観が非常にユニークで、エビ怪人が主人公。まあ、カワイイ女の子なんですけど。怪人同士が未来のお台場の海底に作られた基地で戦い合うみたいな。こういう世界観って、FPS愛の強い海外のクリエイターからもなかなか出てこないんじゃないかなと。
あとこれも「torimonojam」の参加作品です。あのゲームジャムはすごくいい作品が集まってて、このゲームも完成版を出したほうがいいと感じたんですよね。
――すでにリリースされている『カルトに厳しいギャル』を含め、わくわくゲームズの配給するFPSは今のところ全て2.5D、ビルボードスプライトでキャラクターを表現するFPSです。こうしたFPSは今、レトロスタイルなどと言われ海外では盛り上がっています。ただ、わくわくゲームズの他の作品を拝見するに、2.5DのFPSをレトロとは捉えていないのではと感じています。大柳さんは2.5Dの利点をどう考えていますか?
大柳氏:FPSって上を見たら本当にキリがない感じじゃないですか?リアルな3Dバリバリのゲームっていうのは当然プレイヤーとして楽しいですけれど、限られたリソースでゲームを作る多くの開発チームにとって非現実的な作り方だと思うんです。3Dで表現するということは、やっぱり単純に技術力やコストの問題がかかってくる。
ですが、2.5DのFPSは個人なり小規模のチームなりで作るゲームとして見るとかなり適しているんじゃないかなと。
それに別に古さを感じさせる感じさせないというのは作家の作り方だと思うんですよ。例えばで言うと、うちの取り扱い作品ではありませんがdoekuramoriさんの『Beyond Citadel』が世界的に受け入れられたのは、その世界観やビジュアルの作り方が素晴らしかったからだと感じます。
あと2.5D、限りなく2Dに近いFPSというのは、いわゆるイラスト的なものとの親和性が高い。キャラクターを強調するにあたっては非常に効果的だとも思っています。ビジュアルを作り出せる作家さんにとっては、このスタイルのほうがいい。海外では2.5Dのいわゆるブーマーシューターが大量に出ていると思うので、そうした中で注目される作品を作るには、個性を出しやすい環境で、おもいっきり個性を出してもらったほうがぼくはいいんじゃないかなと思っています。
――日本では、コストの掛かったリアルな3D表現のFPSも含め、シングルプレイFPSの注目度はそこまで高くありません。となると、わくわくゲームズのこのラインナップは海外のFPSファンを意識してのもの、ということなのでしょうか?それとも、これら作品の魅力ならば、日本国内でも広く売れると考えておられるのでしょうか?今後の展開もあわせお聞かせください。
大柳氏:このラインナップの狙いは2つあって。まず、FPSを長年プレイしてきた人間として、わくわくゲームズで出さなきゃいけないという思いですね。
『DOOM』の対戦にハマり、もちろんシングルもめちゃくちゃ面白くて『DOOM』『DOOM II』と遊んで……『Final Doom』はちょっと難しすぎましたけど。『Duke Nukem 3D』のキャンペーンと対戦にも当然ハマり、初代『Unreal』に感動して……。そういうところを通ってきた世代としては、やっぱりシングルプレイFPSを作っている作家さんが何人もいるんだと思ったとき、じゃあもうこの人たち全員抑えにかからなきゃ駄目だと。売れようとか売れまいとかじゃなくて、出すんだって話ですよね。
もちろん売れてくれれば当然うれしいし、作家さんにも収益をお支払いできるのである程度はちゃんと売れてほしいなっていうのはありますよ。商売としてやっているわけですから、さすがに収益を全然払えませんでは、作家さんにカッコもつかないですし。でも、それ以前にまずは出すんだうちから出すんだっていう気持ちで作家さんに声をかけたわけです。
そしてもうひとつが、ご指摘いただいた点ですね。
わくわくゲームズの今展開している作品のユーザー層は9割以上日本の方です。これはある意味仕方がなくて、外資系のパブリッシャーにいたからこそ実感があるんですけど、やはり日本のゲームを海外に持っていくというのは非常に難しいんです。例えば美少女がメインに据えられたノベルゲームを海外にそのまま持っていって受け入れられるかと言うと、そうではない。もちろん需要がまったくないわけではないんですが、難しいところはある。
また、そういうゲームが年に1本2本だったら少ない需要が集まってそれなりの数になることもあるでしょうが、そういうわけでもない。美少女だけでなく、マンガ・アニメ的な表現のゲームは何百本も登場しているわけです。数も飽和している。個性を出すのもなかなか難しい状況です。
で、そうした環境の中で海外のゲームファンに広く受け入れられるんじゃないかと私が考えているのが、アクションとシューターなんですよ。その中でも、FPSは強いファンがいるジャンルだと思っていて。そこに訴求できれば活路はあるんじゃないかと。
またそこは、インディーだけに限らず日本のメーカー・パブリッシャーが、あまり攻めていないジャンル・ユーザー層だとも考えています。なので逆に日本作品のテイストも新鮮に映って、受け入れてもらえるんじゃないか。
だから、海外の方に手にとってもらえるラインナップを作るならば、FPSでしょうと。で、せっかく日本の作家さんが作っているんだから、JRPGにならってJFPSを名乗ってもいいんじゃないかと、ぼちぼちそういう括りも作って使い始め、やらせていただいてる感じですね。
そういう意味で、私の好みや思いだけでなく、パブリッシャーとして海外ユーザーを見据えて力を入れている面もあります。
ありがたいことに先に話が出た『MISHA』のXでの拡散ですが海外での反響が本当に大きくて、具体的な数字は出せませんがSteamでのウィッシュリストの登録がドカッと増えているんですが、その大部分が海外のユーザーからなんです。それを見て、この狙いは間違っていなかったんだなと確信をしたところです。
――大柳さんの思いと、JFPSに力を入れていこうというパブリッシャーとしての狙いが、このライナップと「国産インディーFPSを応援していきます」という動画内のコメントにつながっているわけですね。ちなみに、パブリッシャーとして開発者の方々にはどのような支援や補助を行っているんですか?パブリッシャーってなにをしているの?と感じられる方も読者の方にはいらっしゃると思いますので、お教えいただけるとうれしいです。
大柳氏:全般なんでもですね。わかりやすく言うと、お世話係です。PRやローカライズはもちろん、いろんなイベントに出展したり、なにか必要なことがある場合の補助ですよね。サウンドを外部発注したり、なにかグラフィックを用意したり、作家さんから要望にあわせていろいろと対応しています。また、うちはインディーゲームのパブリッシャーですから作家さんが自らイベントに出られる場合もあるので、その参加費用の補助や販促物の作成なんかもありますね。
ゲームのテストに関して言うと、ニンテンドースイッチの場合は任天堂のレビューを通す必要がありますので、ニンテンドースイッチのガイドラインに沿ってゲームが作られているかチェックしております。センシティブな表現に関しては、特に欧米のニンテンドースイッチは厳しいため、あらかじめ細かく修正をお願いしています。もちろん、この表現は無くせないという場合もあり、そうした作品はあえて欧米では出さず日本とアジアだけで展開する戦略を取ることもあります。
ゲームそのものに関しては私は一切口を出さない主義です。別に私はゲームの開発費を出しているわけではないので口を出す権利がないと思っているんですよね。バグの修正を依頼することはありますし、プレイの感想も言いますけど、なにかを直せと強制することはありません。
――JFPSのラインナップに力を入れていくとのことですが、すでに他のタイトル確保に動いていたり、新作をすでに契約しているタイトルはあるんですか?
大柳氏:いや、実はまだ動いてないんですよ。まずはこの発表させていただいているタイトルが非常に重要だと考えています。それに、このタイトルのリリース時期はざっくりこのあたり、というものがおぼろげにならないと動きづらい。そのあたりが自分なりに解釈できれば、次の作品を探し始めたいなと思っています。ただ、SNSやなにかでいいものを見つけちゃったら、すぐ動いちゃう……みたいなことはあるかもしれません。
――2.5DのFPSやシングルプレイのFPSが今後どうなっていくか、取り扱うパブリッシャーとして考えていることはありますか?
大柳氏:ニンテンドースイッチ2の存在が大きくなると捉えています。というのも、ニンテンドースイッチ2はFPSのプレイに適したハードウェアになるかもしれないと思っていて。
ニンテンドースイッチでは実現できなかったものがニンテンドースイッチ2ではスペック的にも実現できるじゃないですか?それに、まだあのJoy-Con 2 マウスがFPSをプレイするうえで使いやすいのかは未知数ですが、FPSに適したマウスという入力デバイスも組み込まれている。
さらに言えば、インディーFPSはバリバリ3Dというよりは、3Dであってもポリゴン数が抑えられていたり2.5Dのものであったりが多く、開発規模的にもそれが適しています。そういう意味でもニンテンドースイッチ2に向いているんじゃないかなと。それにニンテンドースイッチ2は軽いし、持ち運んでどこでも遊べるし、レジューム機能も優秀ときている。シングルプレイFPSにこれ以上ないハードなのではとその可能性に期待しています。独自のFPS文化みたいなものがもしかしたら育つんじゃないかと思っています。
ニンテンドースイッチでは数々のインディーゲームがリリースされましたが、ニンテンドースイッチ2ではさらにそこにインディーFPSが入ってくるんじゃないかなと。もちろん大手開発のFPSも参入してきますから、今後の動向には目が離せません。
――そうしたFPSが盛り上がる中で、JFPSは今後どうなっていくでしょうか?
大柳氏:残念ながら、作り手がそこまで増えるとは思っていないですね。これは相性の問題ですよね。やっぱりFPSが好きだっていう人じゃないとなかなか手を出さないジャンルだとは思うので。例えばJRPGなんて言葉があるぐらいの、そういうメジャーなジャンルほど、一気に成長するということはありません。
ただですね。誰かが音頭を取って増やしていくということをしないと盛り上がりもしないし、きっかけもできないとおもうんですよ。そこまでシーンとして育ってもいないので、わくわくゲームズがその土壌みたいなものはがんばって作っていきたいと思っています。パブリッシャーとしてバックアップをしていきたいですね。
――最後に、わくわくゲームズファンの方にはFPSを遊んだことのない方も多くいらっしゃると思います。そうした方に向けて、4つの新作、そしてFPSの魅力について一言お願い致します。
大柳氏:わくわくゲームズって、やっぱり女の子が主人公のゲームがすごく多いんですよ。私個人が、野郎が主人公のゲームってあんまりやりたくないので(笑)。ですから、わくわくゲームズのファンの方には、そういう路線が好きな方が多いはずです。
今回のJFPSラインナップはそういう方たちに刺さるような、メカ少女はいるし、中身がおじさんのぴっちりスーツのサイバーパンクお姉さんはいるし、魔法少女はいるし、あとエビ怪人もいるし、いろんな世界観のキャラクターを用意しています。わくわくゲームズの作品が好きですと言ってくれる非常に珍しい方にはすごく響く、そんな世界観をもったFPSをリリースしていけるのではないかなと。
多分ですけど、3DバリバリのFPSよりは2.5DのFPSのほうが遊びやすいんじゃないかなと個人的には感じています。リアリスティックな3DFPSにはない、ほどよいスピード感が2.5DのFPSにはありますから。普通のシューティングゲームとはまた違った、FPSのシューティング部分を楽しんでいただきたいです。
あとFPSに興味があったけど、戦争モノとか、ホラーとか、人がバラバラになるとか、血だらけなのとか、そういうのがなんか嫌だなって感じていた方がもしいるのであれば、ぜひうちがこれから出す作品をプレイしていただければ。うちの作品が「FPSってこういうゲームなんだ!面白いな!」って思ってもらえるきっかけになれるかもという思いはあります。
まあ、最初からお話している通り、自分が出したいから出しているゲームなので、うちのファンの期待に応えられる作品みたいなのはあまり考えてはいないんですが、『MISHA』はまだ開発中なのでわかりませんが、他の作品は非常に遊びやすいゲームなのでFPSをはじめて遊ぶ方にも最適なゲームだと思います。かといって、FPS玄人の方が遊んでつまらないかと言われれば全くそんなことはなく、遊びごたえのある内容になっています。
作品のクオリティに関しては私が好きで集めたゲームだからこそ、そこはもう請け負います。ぜひJFPS5人衆の作るゲームを楽しみに待っていてください。
――ありがとうございました。
大柳氏は国内インディーFPS、JFPSに対するアツい思いを語ってくれました。ではこの長く業界を渡り歩いてきた大柳氏のお眼鏡に適う作品を作る開発者たちはどんな方たちなのでしょうか。
次回はわくわくゲームズがパブリッシングする5つのFPSを作るクリエイターの座談会記事をお届けします。お楽しみに!









