より良い世界のためのゲーミフィケーション〜制限速度を守って宝くじ・・・「世界を面白くするGamification」第30回 | GameBusiness.jp

より良い世界のためのゲーミフィケーション〜制限速度を守って宝くじ・・・「世界を面白くするGamification」第30回

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こんにちは、gamification.coからのコンテンツ提携第2回目「より良い世界のためのゲーミフィケーション〜制限速度を守って宝くじ〜」の記事をご紹介します。



ケヴィン・リチャードソンは、Nickelodeon’s Kids and Family Virtual World’s Groupの、サンフランシスコにあるゲーム部門でシニアプロデューサーを務める人物である。

彼はそのキャリアの半分を、アニメ映画およびアニメ広告、そしてゲームの業界で過ごしてきた。彼は昨年、自身のアイディアを具現化した「Speed Camera Lottery」で、独フォルクスワーゲン社が主催する「Fun Theory Award」を受賞したのだが、このアイディアの根底には、「ドライバーは、遊び心を通してスピードを落とすことができるのだろうか」という問題提起がある。



以下、実地試験によって得た知見を、彼自身に語ってもらおう。

僕は性来アウトドア派なのだが、なぜかインドアの仕事を選んでしまった人間である。だから仕事ともう一方の部分との折り合いをつけるため、僕はゲーム作りとアウトドアへの情熱を組み合わせる方法はないかと知恵を絞ってきた。「Ghost Town Mysteries: Bodie」というゲームは、そのささやかなチャレンジの最初の果実といえる。

「怪談探しのゲームをBodie(米国カリフォルニア州にある有名なゴーストタウン)のような実在のゴーストタウンで行う」というアイディアにかこつけて僕は旅行に出かけ、人里離れたゴーストタウンで写真を撮りながら、仕事中にちょっとした冒険に出かけたいという願いを叶えることができた。本や記事を書くために旅に出る人たちがいるが、僕は旅に出てゲームを作るのだ。

一年半ほど前だっただろうか。例の「Piano Stairs」の動画が社内の話題をさらったせいで、僕は「Fun Theory」のことを知り、同時にこのアイディアにすごく惹かれた。「遊び心」があれば、みんながエスカレーターじゃなくて階段を使うのだという実験結果を目の当たりにした僕は、そのままコンペ主催者のWEBサイトに飛び、そこで次の社会実験のためのコンペがあることを知った。

そのコンペのお題は、「あなたは、遊び心を通じて人々の行動パターンを変えることができますか?」というもので、これはまさに、外の世界とゲームとを結び付けるまたとないチャンスだった。

実は現実世界をデザインするという行為は、率先してやりたがる人とあまりやりたがらない人がいる。なぜなら、設計基準や既定条件といった、デザイナーが目の前の仕事に集中するのを助けてくれるものがないからだ。現実の世界には、ポイントシステムも、トロフィーも、バッジも、スコアボードもないし、そもそも何かをクリックする必要なんかない。

本当の世界はいつだって3Dであるわけで、メガネやシャッターみたいなものもいらない。モニターもいらない。現実である以上、仮想現実も必要ない。PCモニター上の平面とは違って世界は巨大でまっさらなカンヴァスであり、無限のゲーミフィケーション的可能性に満ちている。

妻にはひんしゅくだったと思うが、僕はその晩は遅くまで起きていて、僕が世界に対して間違っていると思うことと、それをどう遊び心を通して改善できるのかを考えた。僕は以前、目の前で3人の子供たちが何台もの車に轢かれるのを目撃したことがあり、それが何年もの間トラウマだった。だとしたら、車の速度を落とさせる方法を何か考えることができないだろうか?この国の交差点には速度自動取締機があるけれど、それがちゃんと動いているとは言いがたい。

その一方で、僕は法の適用を厳格化することにも反対だし、制度設計のまずさが「想定外の結果」をもたらす可能性についても気づいている。たとえば、市の上役たちが、ドライバーたちが取締機に写る(つまり違反する)可能性を高めるべく黄色信号の点灯時間を短縮しているが、これは運転そのものの危険性を不当に高めていると思う。

また現行の取締機は、その外観ゆえにドライバーたちを必要以上に注意深くさせてしまい、反則キップを切られるのを恐れるあまり、時に危険な急ブレーキをかけてしまう原因にもなっている。さらに言わせてもらえば、そういった速度取締機はアリゾナの会社が保守管理をしており(僕はカリフォルニアに住んでいるにもかかわらずだ)、その会社はそもそも豪州の企業が所有している。それはまるで、僕らがせっかく稼いだお金を輸出して、不幸の種を輸入しているようなものではないか。

僕の「Speed Camera Lottery」は、上記のような問題意識にポイントを合わせ、次のような条件を自ら設定した中でデザインされたものだ。つまり、

・速度自動取締機はなくなることはないわけだから、ならばどうやって機械を「変える」のか?
・制限速度以下で走ることに楽しみを見出すことは可能か?
・システムは公正なものであるか?
・安全性にフォーカスするために、どうやって利潤誘因を取り除くか?

現状の違反取締システムの問題の一つは、スピード違反を犯したたった一人のドライバーにつぎ込まれる、常軌を逸したエネルギー(社会コスト)の多さだ。警察に始まり、裁判所、罰金、自動車学校、違反点数、保険料の増大…。一方、制限速度を守るという、正しいことをした人へのご褒美は?どうして法に従うことが、今ではちっぽけで孤独な企てにすぎないのか?

そう考えると、僕のアイディアがシンプルに具現化してきた。当たり前のことを当たり前にしよう。そこを通過するドライバー全員の写真を撮って、違反者には罰金を科し、法を守った人にお金(罰金)を還付すればいい。遊び心と公正さがあって、しかもローカルだ。

僕がこのゲーミフィケーションの社会実験で学んだ方法論を羅列すると、以下の通り。

まず、ゲーム化したい対象をそのまま評価してみること。そして、それがうまくワークしなかったり、退屈なものになっていたり、あるいは無味乾燥なものになっていたりする理由を特定し、どうやったらその理由を取り除くことができるのかを考察すること。

また、望ましい結果を出発点として遡及的に考察し、デザインしてみること。そしてプレイヤーにしてもらいたいことに焦点を当てた、肯定的なフィードバックから結果を得て、そうでないネガティブなものには、仮にあったとしても、関わるのは最小限にとどめよう。

何よりも「遊び心」にフォーカスすること。。効果の大小はあれ、この世の中で、楽しくすることができないものなんてほとんどないのだから。必要なのはコンピューターではなくイマジネーションだけである。そしてあらゆる欲望の中の、最も根源的なものに訴えかけて、人生を遊んで、楽しんでしまおう。子供を観察し、子供のように遊んだ経験を思い出して、その要素をデザインに詰め込んでみよう。以上だ。

翻訳元記事:GamificationBlogGamification for a Better World: Speed Camera Lottery」記事の作者:Mr. Kevin Richardson

■著者紹介

深田浩嗣(ふかだこうじ)
株式会社ゆめみ(代表取締役 社長)。1976年京都生まれ。京都大学大学院情報学研究科在学中2000年1月に株式会社ゆめみを設立。高い技術力を駆使し、モバイルEC、メール配信、大規模CRMの開発やソーシャルゲームプロバイダなど「モバイルを戦略的に使うためのコンシェルジュ」として、モバイルインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける。ゲーミフィケーションの詳細はコチラ公式ブログほか、Twitterはコチラ。facebookはコチラです。
《深田浩嗣》

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