四半期過去最高益の任天堂―映画『マリオ』の大ヒットはなぜ重要?【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

四半期過去最高益の任天堂―映画『マリオ』の大ヒットはなぜ重要?【ゲーム企業の決算を読む】

任天堂が2024年3月期第1四半期に過去最高益を達成。『ゼルダ』・映画・円安が好影響を与えています。

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任天堂が2024年3月期第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)に過去最高益を達成しました。

売上高は前年同期間比50.0%増の4,613億円、営業利益は同82.4%増の1,854億円でした。営業利益率は前年同期間の33.1%から40.2%と、7.1ポイントも上昇しています。

また、純利益は前年同期間比52.1%増の1,810億円となりました。

2023年5月に発売した『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』が1,851万本ものヒットを飛ばした他、映画『ザ・スーパーマリオブラザー ズ・ムービー』によるIP関連収入も重なって利益を大幅に伸ばしました。円安も追い風となっています。

売上高の通期業績予想の進捗率は30%をすでに突破

市場を驚かせた好決算でしたが、任天堂は減収減益の通期業績予想を据え置きました。予想通りに着地をすると、営業利益率は31.0%となる見込みです。

決算短信より

売上予想に対する進捗率は、第1四半期の段階で31.8%、営業利益の進捗率は41.2%に達しています。前年同期間の進捗率と比較すると、大きな乖離が生じているのがわかります。なお、2023年3月期(2022年4月~2023年3月)は売上高、営業利益ともにほぼ予想通りの着地となりました。

通期売上予想に対する進捗率

通期営業利益予想に対する進捗率

2024年3月期第1四半期

31.8%

41.2%

2023年3月期第1四半期

19.2%

20.3%

やや保守的なようにも見えますが、『ゼルダ』以降に目立ったタイトルがないためでしょう。7月に『ピクミン4』をリリースし、販売数の週間ランキングではトップに立っているものの、初週売上は40万本。業績を押し上げるほどのヒットには繋がっていません。

■2024年3月期にリリースを予定する主な商品

決算説明資料より

完全新作は『帰ってきた 名探偵ピカチュウ』、『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』などのリリースを控えていますが、やや弱い印象を受けます。

2023年3月期は、2022年9月に『スプラトゥーン3』、11月に『ポケットモンスター スカーレット』と『ポケットモンスター バイオレット』という大型タイトルが控えていました。スプラトゥーンは1,000万本、ポケットモンスターは2,000万本以上を売り上げています。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は3日間で1,000万本を超えるヒット。任天堂のゲームソフト最速記録を達成しました。2017年に発売された前作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は3,000万本を超える大ヒットを記録しており、新作を待ちわびたファンの購買意欲に火が付きました。


新作『ゼルダ』の評価も極めて良好で、素材を組み合わせて道具を作り出すという独自性の高い世界観もユーザーからの支持を得ています。ドローンやバギーなど、オリジナルの道具を生み出したユーザーが攻略動画を公開し、他のユーザーがプレイする楽しさが増幅するという好循環を生み出しました。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の販売本数をどれだけ伸ばせるかが、任天堂の業績を左右するのは間違いありません。第2四半期の決算が通期の業績を占う試金石となるでしょう。

映画『マリオ』ヒットの影響はハードの売上にも


《不破聡》

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