『プロセカ』『ソニック』人気のセガサミー…好決算は手放しで喜べる内容なのか？【ゲーム企業の決算を読む】

セガサミーホールディングスの業績が上向いてきました。

2023年3月期の売上高は前期比21.4%増の3,896億円、営業利益は同45.9%増の467億円でした。売上高、営業利益ともに2期連続の2桁増。セガは2023年3月期の期首に売上高を3,750億円、営業利益を400億円と予想していましたが、上振れた結果となりました。

2024年3月期は売上高を前期比11.1%増の4,330億円、営業利益を同17.8%増の550億円との見込みを出しています。これを達成すると3期連続で売上・営業利益ともに2桁増を成し遂げることになります。

セガは2015年3月期から大規模な構造改革を断行し、組織のスリム化を図りました。その成果が出ているようにも見えますが、ゲーム事業単体で見ると、競合にやや遅れをとっているようにも見えます。

初音ミクが配信サービスの収益を支える構図に

セガの業績回復は過去の推移を振り返ると鮮明になります。セガはゲームセンター向けの機器やパチンコ・パチスロ台などの製造販売を行っており、コロナ禍の影響を受けやすい事業構造をしていました。

※決算短信より

コロナによる商環境の変化で一時は営業利益率が2.3%まで下がったものの、2022年3月期には10.0%まで回復しました。2023年3月期は12.0%となり、2024年3月期もこの水準をキープする見込みです。

主力であるゲーム事業の売上推移を見ると、2022年3月期、2023年3月期ともに二桁増収を重ねています。2024年3月期の売上高は9.1%増の2,050億円を予想。売上高は堅調に伸びています。

※決算補足データ集より

好調の要因は2つあります。1つは人気が衰えず、息の長いタイトルがいくつか生まれたこと。もう1つが主力タイトルのヒットです。

セガは2020年9月に『プロジェクトセカイカラフルステージ！ feat. 初音ミク』の配信を開始。これが配信サービスの多くの収益を占めるタイトルとなりました。また2021年6月にリリースした『PSO2 ニュージェネシス』も収益に貢献しています。

2013年7月のリリース以降、配信サービス事業を支えてきた『セガNET麻雀 MJ』は、人気の衰えが顕著になってきましたが、『プロジェクトセカイカラフルステージ！ feat. 初音ミク』がその穴を埋めるどころか、大幅な増収へと導きました。

※決算説明資料より

2024年3月期のセガを語る上で外せないのが、2022年11月にリリースした『ソニックフロンティア』でしょう。全世界販売本数は、2023年3月末時点で320万本を突破。『ソニック』シリーズ30周年を記念したタイトルで、2019年から開発を始め、2021年に販売を開始する予定でしたが、品質向上を図るために1年延長しました。力の入ったタイトルです。

セガのフルゲームの売上推移を見ると、『ソニックフロンティア』の販売を開始した2023年3月期3Qが大きく盛り上がっているのがわかります。新作においては、2Qの54億円から259億円に跳ね上がりました。