『ELDEN RING』の“こだわり”を制作チーム自ら分析―休日出勤・深夜残業ゼロ…こだわりを生むためには、時間と心の余裕が必要【CEDEC 2022】 | GameBusiness.jp

『ELDEN RING』の“こだわり”を制作チーム自ら分析―休日出勤・深夜残業ゼロ…こだわりを生むためには、時間と心の余裕が必要【CEDEC 2022】

『エルデンリング』フロム・ソフトウェアのこだわりとはコンセプトアートを忠実に解釈したモデリングだった

ゲーム開発 3DCG
『ELDEN RING』の“こだわり”を制作チーム自ら分析―休日出勤・深夜残業ゼロ…こだわりを生むためには、時間と心の余裕が必要【CEDEC 2022】
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2022年もオンライン開催となったゲーム中心の開発者向けカンファレンス「CEDEC 2022」。フロム・ソフトウェア(以下、フロム)開発のアクションRPG『エルデンリング』における、3Dモデル制作を自己分析した「ELDEN RINGの大量のキャラクターモデルを制作したチームの『こだわり』自己分析」セッションレポをお届けします。このセッションでは、フロム・ソフトウェアの3Dグラフィックセクションサブリーダーの藤巻亮氏が登壇しました。


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モデラーが解釈違いを生まずにモデルを作るには?フロムにおけるコンセプトアートへのアプローチ

フロムのキャラクター制作工程は、ディレクターがキャラのイメージを提示し、コンセプトアーティストがディレクターのイメージをコンセプトアートに落とす。そしてモデラーがモデルやシェーダーを制作してから、リグやモーションを組み込むことで次の工程へと続きます。

その中でフロムにおけるコンセプトアートは、キャラクターの指標として魅力や特徴を詰め込むもので、モデルの正確な設計図でないことです。そのため、モデラーはフロムにとって間違いな解釈やエゴを盛り込むべきで無く、モデラー自身で情報を補いモデルを組み立てる必要があります。ここで『エルデンリング』に登場する大蟻を例に紹介しました。

造型の捉え方についてはコンセプトアートや参考資料を見て形状を考えること。モデルのバランスや造型がコンセプトアートの解釈と合致することが難しく、さらに資料をよく観察せず想像で補完してしまいがちな状況もあったと言います。そのため観察の補強策が実施されていました。

ここではコンセプトアートの解釈として、「陰影が目立つ立体」であることと、「境界線や空間」として観察する傾向の2種類があることを挙げました。人によって形状観察の傾向が異なるため得意不得意があるのです。「立体」として捉える人は立体感の描写が得意な一方で全体のバランスを保つことに苦戦することが、「境界線と空間」として捉える人は形状のバランスをとれるもののディテール描写に欠けることがわかりました。

どちらも得意不得意が表れるために、コンセプトアートの表現を使い分けることで解決を図ります。苦手な部分を軽減させてあげることで改善が見られたため、「立体」が苦手な人には部位断面形状の意識を、「境界線と空間」が苦手な人は資料の簡素化をする施策をとったのです。

次は大ザリガニです。写真資料を見ることや昆虫の場合標本を買う事もアプローチの一つですが、生き物の場合だと「飼育方法」を考える事に効果がありました。主観的に愛着を持つことでリアルに想像できる傾向が生まれ、生き物を飼育している/したことがある人には有効でした。

飼育することは、食生活や狩りの姿(カマキリの腕や、キリンの首など)だけでなく、生息環境や繁殖方法、苦手な物や天敵などを考えさせ、その生き物を理解することに繋がります。モチーフとなる生き物を知り掘り下げることが、よりキャラクターの事を考える手段の一つであるのです。

この大ザリガニはこれらの経験を基に制作された3Dモデル。2本の大きな腕と8本の足を備え、その全長が約15mと巨大です。ザリガニの特徴を有しているものの巨大な胴体なため、甲羅の厚みはロブスターも参考にしています。全周を見てみると、ザリガニやエビなどの特徴を捉えつつ、巨大な苔と寄生虫に蝕まれた内面が表現出来ています。

生き物の特徴を把握することが奥深さの表現に繋がる一方で、『エルデンリング』はファンタジーを題材にしているために生き物としての正しさについて厳密な表現がしたいわけではありません。

この巨大なハサミで獲物を捕らえるのは難しいことであるそう
胴体中央にはヒルのような寄生虫がいる。尻尾の裏側に小さい足があることから、ザリガニで言えばメスの特徴を備えている

大ザリガニのチャンスタイム演出で表れる胴体中央のヒルのような寄生虫のアニメーションは、シェーダーによる頂点アニメーションで作成したものです。他にも、口内の造型はモデラーが勝手に作ったものですが、アニメーターが造型に気付きボーンを組み込みアニメーションを入れています。フロムでは、細部へのこだわりが次の工程へと伝播し、更なるこだわりを生むことがあるそうで、こだわりの連鎖がよく起こることが「味を出している」と評価しています。


《G.Suzuki》

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