「ゲームプロデューサーの仕事は?」「偉くてお金持ってそうなイメージは何故?」ディライトワークスが教えてくれた―肉会Vol.10レポート | GameBusiness.jp

「ゲームプロデューサーの仕事は?」「偉くてお金持ってそうなイメージは何故?」ディライトワークスが教えてくれた―肉会Vol.10レポート

ゲーム会社には様々な職種がありますが、名前と仕事内容が一致しやすいものもあれば、いまいち掴めないものもあります。

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ゲーム会社には様々な職種がありますが、名前と仕事内容が一致しやすいものもあれば、いまいち掴めないものもあります。中でもプロデューサーは仕事の内容がわかりにくいが、なぜか偉そう、お金を持っていそう、よくインタビューに出る、センスが良さそう…など、イメージだけが先行しているのではないでしょうか?


「プロデューサーは何をするの?」、「どうすればプロデューサーになれるの?」など、気になる全体像について、スマートフォン向けRPG『Fate/Grand Order』(以下、FGO)の企画・開発・運営を行うディライトワークスが3月8日に東京都の同社にて開催した美味しい肉料理を食べながら情報交換やキャリア相談ができる「肉会(Meat Meetup)」で教えてくれました。

今回の肉料理のメインは春をイメージした「肉寿司」と「ローストホース(馬肉=桜肉)」

10回目となる今回のテーマは「集まれ!未来のゲームプロデューサー!」。現在プランナーやPM(プロジェクトマネージャー)など、ゲーム業界で活躍していて、将来ゲームプロデューサーになりたいと考えている人、または他業種からゲーム業界に挑戦をしたい人が対象です。


猿渡晴義
ディライトワークス株式会社
第3制作部 部長/プロデューサー



上野勲
ディライトワークス株式会社 
第4制作部 プロデュースセクション
アシスタントプロデューサー



齋藤晃
ディライトワークス株式会社
ミラクルポジティブスタジオ(第6制作部)
アシスタントプロデューサー

同日は、同社第3制作部の猿渡晴義プロデューサー、第4制作部の上野勲アシスタントプロデューサー(AP)、第6制作部の齋藤晃アシスタントプロデューサーが登壇しました。

■プロデューサーのお仕事は?



プロデューサーのイメージそのままの衣装で登場した猿渡氏はまず、プロデューサーは何をしているのか分かりづらい仕事だと認めたうえで、同社におけるプロデューサーはプロジェクト(事業)の責任者だと紹介。


ゲームを開発して世に出すには、コンセプトや企画を考える人、開発資金、開発する人、制作時間、宣伝、権利、内外の手続きなど多くの業務があります。しかし、猿渡氏は「仕事の責任は沢山あるけど、全部を一人でやる必要は無い。プロジェクトが立ちあがったら、必要な人材を集めてチームを結成するのがプロデューサーの役割」だとし、平たく言えば「決めることが仕事」だと伝えました。


そのうえで、ゲーム開発の様々な工程において、売上、収支、予算など、お金に関わる部分の業務に関しては「代替えが効かない」と説明。ここがプロデューサーの一番の仕事であるため、そもそも会社から予算を預けられる人だという信頼を得なければいけません。猿渡氏は「金銭感覚がしっかりしていて、ちゃんと管理できることが必要」だと強調しました。

■どんな能力がプロデューサーに必要?



続いて、猿渡氏は「プロデューサーに求められるのは、ジェネラリストとしての能力。スペシャリストである必要はない」と伝えました。なぜなら、イラストを描く才能もプログラミングの知識も無くとも、ゲームを世の中に送り出すまでに必要な知識を一通り持っていて、活かすことができれば良いからです。それゆえに、未経験者がいきなりプロデューサーは無理でも、APになって業務内容をプロデューサーから学んでいくことはできるのです。

しかし、ある程度の規模のゲーム開発となると40~50人、多ければ100~200人にも及ぶチームを束ねるのがプロデューサー。そこでは、人を惹きつける魅力が必要で、チームメンバーの悩みを親身になって聞いてあげられる相談役になれたり、正解が一つではないような決断が難しい時に決断できたり、知識の豊富さよりも責任感と人間力こそが不可欠になるのです。

■プロデューサーがやることは業界が違っても根本は同じ



プロデューサーの定義や業務内容は業界によって違うものの、根本の部分は変わりません。元々はアニメ業界にいたという上野氏は、「クリエイティブの面で作るものは違っていても、取り扱う根本的な業務内容は同じ。自分の場合は人、お金、時間の管理の三軸で考えています。予算管理、これを作るのは誰が向いているかの発注、しかるべく工程で次の工程に回すスケジュールの組み立てなど、ゲームもアニメも出版も変わらない感覚でいます」と自らの経験を踏まえて伝えました。


他業種からゲーム業界に入って困ったことについては、「アートやグラフィックのディレクターが言っていることは何となく分かります。しかし、プログラムなどエンジニアの業務は専門的な分野になるのですぐに理解するのが難しい」と明かしました。しかし、分からなければすぐに聞いて教えてもらったり、自身でかみ砕いて理解できるまで調べたりするように努めているそうです。

■どうやったらプロデューサーになれるのか?



実際にAPからプロデューサーになりたい人は多くいても、実際になれるのは一握り。その差はどこから生まれるのでしょうか?

猿渡氏は「プロデューサーになるための近道はないので、それぞれ与えられた職種で実績を積んでいく必要があります。プロジェクトを預けられるのがプロデューサーですから、周囲から認められて指名されるように地道にやっていくしかない」と説明しました。

「プロデューサーがやるべき仕事内容をしっかり理解して実践できたうえで、あとは良いタイミングで周囲に認められるかどうかですね。自分が練った企画を持ち込んで積極的にアピールしてくれると嬉しいし、そういう人を育てたいと思うものです。チャンスを掴める人は多くはないかもしれませんが、そのチャンスを掴める能力を持った人こそがプロデューサーに向いていると思います」(猿渡氏)。

■アシスタントプロデューサーはどういった仕事をするのか?



ここで、2017年に同社に派遣会社からプロジェクトマネージャーとして派遣され、2018年にAPとして入社した齋藤氏が自らの経験を伝えました。


「結論から言いますと、プロデューサーが専念できるようにアシストするのが仕事です。プロデューサーと一括りにいっても、人によってどの業務が得意で、どこに一番力を注ぎたいかが違ってきます。書類の処理が得意じゃないのであればその部分を受け取るなど、プロデューサーに合わせて何が必要かを考えて上手にアシストできるかが大切だと思います」(齋藤氏)。


猿渡氏も「6つの制作部ごとにやっている内容が違い、プロデューサーによってやり方が違う」と補足。ただし、プロデューサーが共通してAPに求めるのは「業務を全部任せても問題なくこなせるようになってほしい」という考えです。猿渡氏は「任せられるのなら、次のプロジェクトが立ちあがった時に、会社に推薦できますから」と理由を述べました。冒頭に話された世間一般のプロデューサーに抱くイメージについても、「最初からこの雰囲気を纏っているのではなく、仕事の内容からそのイメージが生まれたのだろう」と伝えました。


「プロデューサーは色んな人とコミュニケーションを図らないといけない。そこで求められるのは、話すことやプレゼンが得意といった人間力です。また、プロジェクトについて最も理解しているからこそ、インタビューも受けます。プロデューサーのイメージとして、センスが良さそうというのは、経験値に基づいて見る目が養われているから。お金持っていそうというのは、会社から預った予算を執行する権限があるから。総じて突き詰めていくと、偉そうに見えるんでしょうね」(猿渡氏)。


最後に猿渡氏は、同社におけるプロジェクトの責任者は「ただ純粋に、面白いゲームを創ろう。」という会社の方針を成立できる人だと伝えました。実現させるための時間と予算を会社から預けられ、世の中に送り出して、収益を得ることで継続して面白いゲームを作り続けていけるのです。

■Q&A


トークセッション後、参加者から登壇者に寄せられた質問の回答をまとめました。

――猿渡プロデューサーが一番APに一番振る苦手業務は?

猿渡
自分は比較的自己完結型ですが、忙しくなってくると、出張申請など会社への申請をお願いすることが多いですね。あと英語は苦手なので、そういった業務は英語ができるAPを探して任せています。APに任せる時は、この人だったらできると見極めているので、付き合いが長くなるとお願いできる仕事が多くなります。最終的にはゲーム制作を全部任られるような人に成長してもらえるように、仕事をお願いしています。

――他業種からゲーム業界に入って、プロデューサーになるのに必要な知識はありますか?

上野
ないと思います。実際にゲームにプログラミングをしたり、イラストを描いたりするわけではありませんから。ゲームを作るうえで、ゲームの中身以外のことがプロデューサーの仕事で、その中からAPに任されるわけです。

猿渡
あえていうなら、コミュニケーションを取るために漫画やゲームの知識を仕入れておくことですかね。開発スタッフの多くはエンタメ業界に長くいますから、分かりやすいイメージの共有が必要になる時があります。「あのRPGのあの場面のカットシーンみたいな」といった話ができると、プロデューサーとして働きやすくなるかもしれません。それ以外の専門的な知識は、業界に入ってから身に付けるくらいで良いと思います。

――コミュニケーション取るにあたって気をつけていることは?

上野
人と面と向かって直接話すことを心がけています。チーム内でコミュニケーションを取るために、チャットやメールといったツールがありますが、大事な事があれば、僕はなるべく直接行って話します。相手の顔、目、表情などからは、文章で読み取れない情報が得られますから。

斉藤
よく考えているのは、相手の意図を勝手に決めつけないことです。相手が「こう思っているんだろうな」と先に考えちゃうと、それに対応した話し方になってしまうからです。あとは、人によって態度を変えずに真摯に接するように心がけています。

猿渡
言い訳がましくならないように気をつけています。プロデューサーは業務を進めるのが仕事。言い訳している時はそれが止まっている状態です。言い訳が出る部分をどう改善するか考えて建設的な話をすれば、相手もそれに応えてくれますから。

――プロデューサーをやっていて達成感を感じるのはどんな時ですか?

猿渡
ゲームがとりあえずの形になるまですごく時間がかかるので、企画書から始まったゲームが画面で動きだした時は達成感を感じます。あとは、ゲーム業界ではよくあることですがリリースまでたどり着けないプロジェクトがあるので、無事にサービスインまで辿りつけた日は達成感を感じます。

――どのようなプレゼンを心がけていますか?

猿渡
基本的にはプレゼン資料の文字数を多くしないことです。なるべく見出しだけで伝わるプレゼン資料にしないと、普段からすごい数のプレゼンや提案を受けている決裁者のココロに届かない。じっくり説明したいこちらとは、温度差があることを理解しないといけません。
あとは、ターゲットとする方々に企画がマッチしているのか?は常に気にかけています。プレゼン前にターゲット層や企画を整理して、自己満足ではなく、お客さまに喜んでもらえる企画になっているか?ということを気を付けています。

次回の「肉会」はマーケットを調査することに長けたマーケッターが登壇します

「肉会 Vol.11」参加申込み先
同日、あえて世間一般が抱くプロデューサーのイメージに則った服装で登壇したという猿渡氏でした。様々な経験を経て、周囲から信頼されてこそ就ける職なので、イメージが先行するほどに憧れる人が多い職種なのは間違いありません。





《乃木章@インサイド》

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