中国のモバイルゲームユーザーの好みを知る―最も人気があるゲームジャンルは?【中国モバイルゲーム最前線】 | GameBusiness.jp

中国のモバイルゲームユーザーの好みを知る―最も人気があるゲームジャンルは?【中国モバイルゲーム最前線】

いまや世界最大級のゲーム市場に成長した中国。今中国ではどのようなモバイルゲームが人気で今後どのように市場が変化していくのか。中国のアドテク企業・Mobvistaの日本カントリーマネージャーを務める井料武志氏が連載で解説!

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中国のモバイルゲームユーザーの好みを知る―最も人気があるゲームジャンルは?【中国モバイルゲーム最前線】
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世界最大級のモバイルゲーム市場に成長した中国。最近では海外展開にも力を入れており、日本でも『荒野行動』や『アズールレーン』など、多くの中国ゲームが人気を集めています。今後も成長が期待される中国のモバイルゲーム市場ですが、話題にはなりながらもなかなかその実情を知らない方も多いでのではないでしょうか。「中国モバイルゲーム最前線」と題した本連載では、中国を代表するモバイルプラットフォーム企業であるMobvistaで日本のカントリーマネージャーを務める井料武志氏に、最新の中国モバイルゲーム市場について解説していただきます。

だれもが簡単に収益を上げられる時代ではなくなった


調査会社Niko Partnersの最新のレポートによると、中国には5億5800万人のモバイルゲームユーザーが存在し、中国は2017年末時点で、世界の25%以上の収益を構成する世界最大のモバイルゲーム市場となっています。2018年には160億ドル(約1兆7,600億円)、2022年には247億ドル(約2兆7,170億円)にまで成長することが予想されています。

世界最大規模のゲーム市場となった中国
出典: NicoPartners


こうした市場規模から、中国が世界のモバイルゲーム会社にとって最も魅力的な市場の一つであることは言うまでもありません。中国では数多くのゲーム会社が登場し、成功を収めました。テンセントやNetEaseといった企業は、グローバルで競争できるゲーム会社となり、今もなお拡大しています。しかしながら今日の中国は、数多くの人気タイトルの登場により、だれでも簡単に収益を上げられる市場ではなくなっています。クオリティの高いゲームでなければ成功することはできません。

中国ゲームユーザーに人気のゲームジャンルは?


中国で人気のゲームタイプや、ジャンルはなんでしょうか?テンセントが発表したデータによると、中国で人気のあるモバイルゲームのジャンルは、

  1. カジュアルゲーム
  2. チェス&ポーカーゲーム
  3. パズルゲーム
  4. ロールプレイングゲーム
  5. レースゲーム


となっています。

中国のモバイルゲームのジャンル比率(2017年)
出典: テンセント Games


インストール数が多いモバイルゲームのジャンルは、

  1. ロールプレイングゲーム
  2. RTS・戦略ゲーム
  3. アクションゲーム
  4. シミュレーションゲーム
  5. アドベンチャーゲーム
  6. ソーシャルカジノゲーム


です。

AppStoreでベストセラーゲームのジャンル比率
出典: テンセント Games


オランダの調査会社Newzooが今年3月に発表したAndroidとiOSのゲームの売り上げランキングでは、アクションゲーム、RPG(ロールプレイングゲーム)、カーレースゲームが上位の大半を占めていました。

中国のiOS売上トップ10
出典: Newzoo


中国のiOS売上トップ10
出典: Newzoo


カジュアルゲーム、RPGなどの人気ゲームジャンルを分析


次に、中国で人気のあるゲームジャンルのトレンドを見ていきたいと思います。

●カジュアルゲーム


カジュアルゲームは、中国のモバイルゲーム市場で最も歴史があるゲームジャンルで、 最初に人気が出たゲームは『テトリス』でした。中国の調査会社iResearchによると、2017年にカジュアルゲームは約382億ドルの収益を生み出し、中国モバイルゲーム市場全体の17%を占めました。ゲームの特性上、幅広いプレイヤー層の誰もが簡単にプレイを楽しめ、短時間のプレイに適しています。また、中国のモバイルゲーム解析ソリューションを提供するTalkingDataのデータが示す通り、マンスリーアクティブユーザーの割合や継続率が非常に高いのも特徴です。

月間アクティブレート(%)
出典: TalkingData


●RPG(ロールプレイングゲーム)


RPGは、中国では常に売上ランキングの上位を占めています。深く複雑な作りのため、長い時間をかけてゲームをプレイすることになり、ゲームユーザーとのエンゲージメントを深いものにすることができます。調査会社のYiGuan Analysysのデータによると、ターン制のRPGゲームは、あらゆるゲームジャンルの中で最も高いスティッキネス(滞在時間と滞在頻度)を誇っています。

中国のモバイルゲームのジャンル別スティッキネス(2017年12月)
縦棒は1日ひとり当たりの利用時間、折れ線は1日ひとり当たりのゲーム利用回数を示している
出典: YiGuan Analysys


TalkingDataによる最新のMonthly Chinese Mobile Gaming Benchmarkによると、AndroidとiOSの双方でRPGゲームの課金ユーザーの割合は最も高く、それぞれ約4%、5%となっています。

課金率(%)
出典: TalkingData


●アクションゲーム & FPS


『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の世界的な流行により、多くのアプリストアで突如としてバトルロイヤルゲームの人気に火が付きました。今年3月に『PUBG』のモバイル版がAndroidの売上ランキングで3位となり、NetEaseの『荒野行動』が、7位になったことからも、こうしたゲームの人気がどれほどに急激に加速しているかをうかがい知ることができます。

テンセント の『PUBG MOBILE』


しかし、ヒットしたバトルロイヤルゲーム以外にも、アクションゲームにはさまざまなタイプのゲームが入り乱れており、特定のゲームスタイルが圧倒的優位に立つということがありません。また、このジャンルでは人気ゲームや映画とのタイアップで開発されたモバイルゲームが多く存在するなど、絶えず新しいゲームが登場しているため、競争が非常に激しくなりがちでもあります。

●チェス&ポーカーゲーム


欧米市場ではソーシャルカジノゲームとしても知られています。アプリストアのランキングを詳しく見ていくと、特定のタイプの伝統的なカードゲームやロジックゲームが常に高く評価されている国があることが分かります。中国のポーカーゲームはまさにそのようなゲームジャンルです。中国では、ポーカーゲームやチェスゲームは、常にダウンロードチャートのトップ10前後を維持しています。

テンセントがリリースした『Happy Landlord Poker』は、ギャンブル要素だけではなく、その他のエンターテイメント要素も盛り込まれたポーカーゲームであり、漫画風のアートスタイルを採用し、幅広いプレイヤー層にアピール。2008年にローンチされて以来、着実にプレイヤーを拡大し続けており、『Happy Landlord Majong』など派生シリーズも展開しています。

テンセントの『Happy Landlord Poker』


中国のゲームユーザーは独創的なゲームを待ち望んでいる


かつての中国ではゲーム自体が目新しく、ゲームユーザーはどんな新作ゲームでもプレイしたため、質の低いゲームでも成功できていました。しかし、そうした時代は終わりました。

現在の中国モバイルゲーム市場では、激しい競争が繰り広げられており、新作のリリースにおいてはハイクオリティであることはもちろん、十分なマーケティング施策や戦略策定が必須です。日本や欧米と同様、中国のゲームユーザーは、今までにない独創性のあるユニークなゲームアプリを待ち望んでいます。

また、中国で成功するためにはゲームユーザーのプロファイルを細かく分析しておくことも必要です。今回ご紹介した人気ゲームの事例からもわかるように、それぞれのゲームジャンルで多様なゲームユーザー層を惹きつけており、求められるエクスペリエンスも大きく異なります。そのため、ターゲットとするゲームユーザーの意欲や関心を高める要因を深く理解しておくことが重要です。

その上で、ユーザー獲得においては、高い精度でのターゲティングを実現していく必要があります。例えば、豊富な市場知識、最適な広告在庫への配信、最適なユーザーへのリーチ、それらを実現するためのデジタルマーケティングとAIテクノロジーなどです。中国プロモーションでの成功において、最適なマーケティングパートナーの選定は、ますますその重要性を増しています。

【著者・井料武志のプロフィール】
井料武志氏
Mobvista Country Manager,Japan


関西学院大学卒。産経新聞社に新卒入社、その後2000年にリクルートと米国About.com のジョイントベンチャーであったAll Aboutのスタートアップに参加。営業マネージャー、大阪営業所長として活躍し、同社の2005年JASDAQ上場に貢献。2009年に楽天に入社、国内の広告ビジネスを営業面で大きく成長させたあとシンガポールに移り、グローバル広告ビジネスのパイオニアの役割を担った。2014年台湾本社のAI企業Appierに入社、日本法人の設立から大阪オフィス設立まで、同社の日本市場における立ち上げから急成長を3年間に渡って指揮した。2017年9月Mobvistaに入社、カントリーマネージャーに就任し、同社の日本における事業の責任者を担う。

【Mobvistaについて】
Mobvista (https://www.mobvista.com/jp/)は世界を牽引するモバイルマーケティングのプラットフォームを提供する、アジア最大のモバイルアドテク企業です。ブランドマーケターやディベロッパーがワールドワイドなパフォーマンスを実現するための、ユーザー獲得や分析のソリューションを提供しています。包括的ソリューションを通して3000を超えるブランドをサポートし、グローバルに消費者エンゲージメントを向上させる支援を行っています。イノベイティブな技術と優れたカスタマーサービスの融合により、1日に100億を超える広告インプレッションを提供しています。世界12拠点にオフィスを構え、500人以上の従業員が在籍しています。

Mobvista 公式サイト
《井料 武志》

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