【GDC2016】PCからモバイルへの移行、『SimCity BuildIt』はなぜ成功したのか | GameBusiness.jp

【GDC2016】PCからモバイルへの移行、『SimCity BuildIt』はなぜ成功したのか

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【GDC2016】PCからモバイルへの移行、『SimCity BuildIt』はなぜ成功したのか
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『アングリーバード』『クラッシュオブクラン』をはじめ、世界有数のスマホゲーム開発国として知られるフィンランド。全世界で4000万ダウンロードを記録するなど、大ヒット中の『SimCity BuildIt』もまた、首都ヘルシンキにあるEA tracktwentyが開発したものです。もっとも開発は一筋縄ではいかなかったとのこと。同社クリエイティブディレクターのペトリ・イコネン氏がGDC 2016でゲームデザイン面でのふり返りを行いました。



ドラマの脚本家から転身して、2003年からゲームデザイナーになったイコネン氏。当時はフィーチャーフォン向けのモバイルゲーム開発が中心でしたが、App Storeの登場で大きく変化しました。そして瞬く間にF2Pの波が全世界をおおい、イコネン氏も2009~10年にかけて勉強する必要があったとのことです。もっともゲームデザインという仕事を愛しているというイコネン氏。その実力は『SimCity BuildIt』で遺憾なく発揮されました。

EA tracktwentyの設立は2012年で、社員は15人未満。『SimCity BuildIt』はその第一弾タイトルで、いわばEAがスマホ版『シムシティ』を作るために立ち上げたスタジオだといえるでしょう。開発期間は18ヶ月で、2014年10月にオーストラリア・ニュージーランド・カナダ・フィンランドでソフトローンチを実施。同年12月には早くもワールドワイドでローンチされました。その後のヒットは冒頭に示したとおりです。

しかしイコネン氏は「最初は盛り上がったけど、数週間後にはトリッキーで、思った以上に困難な仕事だとわかった」といいます。理由は下記の4点でした。

(1)クラシックIPゆえのむつかしさ
世界で最も有名なIPの一つである『シムシティ』。そのためユーザーも最初は飛びつくかもしれませんが、下手なものを作るとすぐに「これじゃない」と否定されてしまいます。しかも本作においてはPCゲームをスマホゲームに移植して、タッチ操作で遊ばせるという難問を抱えています。単純な移植ではなく、『シムシティ』の本質を理解して、いかにモバイル向けに再構築するかがポイントだったと語りました。

(2)F2Pへの対応
モバイル化以上に難しかったのがこれです。無料で遊んでもらって、継続的に課金してもらうにはどうしたらいいか。課金システムを組み込んだものの、最初のうちは、ただの退屈なゲームになってしまいました。ポイントは「ユーザーにたっぷり遊んでもらって、そのうえで課金してもらうこと」。もっと楽しみたい、そのためにお金を支払うという循環構造を作ることが必用です。そのために何度もプロトタイプを作り直したといいます。

(3)モバイルでのUI/UX
モバイルユーザーとPCユーザーではデバイスの特性も違えば、プレイスタイルも違います。PC版とは桁違いに小さい画面を、指で操作して遊ぶモバイルユーザー。1日に5~7回くらいアクセスし、数分で止めてしまうのが一般的な遊ばれ方です。こうしたユーザーに対して、どのようなおもしろさを提供できるか、何度もUIが作り直されました。イコネン氏は「とにかくシンプル化を心がけた」と振り返りました。

(4)オープンエンドシミュレーション
自分の好きなスタイルで、いつまでもプレイできる点が『シムシティ』の魅力。ではゲームを中断しているときは、どのくらいの速度で時間が流れるべきでしょうか。長時間遊んでいない時は、都市をどのように管理するべきでしょうか。イコネン氏は「あまりユーザーを罰したくない」と語りました。モバイルゲームを通して、ユーザーといかにコミュニケーションをとるか。この設計に苦心したと言います。

このように、さまざまな要素が複雑に絡みあった本作の開発。しかしイコネン氏をはじめとした開発チームの努力のかいあって、大ヒットタイトルとなりました。成功の要因は何だったのか。イコネン氏は次のように分析します。

(1)チームの文化
最も大きかったのがこれです。チーム内での信頼感、情熱、諦めない心。その上でイコネン氏は「プログラマーやアーティストといった垣根をこえて、全員がゲームデザイナーであること」の重要性について語りました。また「F2Pゲームの開発に対して、幅広い情熱を共有していること」も重要だとイコネン氏は語られました。これにより優れたアイディアがさまざまな方向から出てきて、開発に活かされていく体制が構築できました。

(2)ユーザーテストを生かす
早期段階からユーザーテストを組み込んだ開発体制の構築も有効でした。イコネン氏はプロジェクト開始から半年後にはユーザーテストがスタートし、その結果を見て開発を進めていったといいます。ユーザーテストにはEAロサンゼルスが協力し、数多くのテスターがプレイする光景が定期的にビデオで送られてきたとのこと。これによって「チームがおもしろいと思うものではなく、ユーザーがおもしろいと感じるもの」を常に意識しながら開発が進められるようになったのです。

最後に「IPのメリットを(デバイスに沿った形で)生かす」「チーム文化」「イテレーションを最大化すること」「ユーザーテストを生かす」という4つのポイントで講演内容をまとめたイコネン氏。質疑応答でユーザーテストの詳細について尋ねられたイコネン氏は、次のように語って、その重要性を念押ししました。

「こちらはたくさんヒントを提示しているはずなのに、テスターはなかなか気づいてくれませんでした。特にPCゲームではなく、モバイルユーザーを想定して集められたテスターには、その傾向がありました。しかし、それを謙虚に認めることがゲームデザイナーには重要です。そこからユーザーがおもしろいと思う事柄が何か、判明してくるのです」
《小野憲史》

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