ゲームエンジン「Gamebryo Lightspeed」などを提供するEmergent Game Technologiesが清算され、保有資産やIPは競売にかけられることが分かりました。同社の資産である「Gamebryo」やIPなどは企業清算を専門とするGerbsman Partnersによって競売にかけられ、最高値を入札した企業へと売却されます。入札の期限は12月10日。「Gamebryo」はマルチプラットフォームでのゲーム開発に対応したゲームエンジン。様々なジャンルでの開発が可能であることを特徴とし、迅速なプロトタイピングやイテレーションもウリになっていました。ゲーム業界では幅広く採用されていて、顧客リストにはEA、アクティビジョン、THQ、ユービーアイソフト、SCE、ベセスダ、ディズニー、テンセント、シャンダ、NCソフトなどの名前が挙がります。国内ではアクワイアの100%出資子会社であるエマージェントジャパンを通じて営業を行い、IGMが代理店となっていました。国内の採用事例としては『侍道3』があります。大作ゲームももちろんですが、「Unreal」や「CryEngine」といったゲームエンジンと比較してライセンス料が抑えられていたので、カジュアルゲームやダウンロード専用タイトルでも採用実績があります。Emergentは非公開企業ですが、ベンチャーキャピタルなどから総額4000万ドル程度を調達して、PS3やXbox360現行機種の普及と共に採用実績を伸ばしていましたが、各社のラインの絞り込みの煽りを受け1年ほどは厳しい状況だったようです。9月には豪州最大のデベロッパーであるKrome Studiosとの間でエンジニアチームの統合を行うと発表していましたが、Kromeは破綻。統合も取りやめになっていました。EmergentでエンジニアをしていたというVincent Scheib氏のブログでは気になる記述があります。同氏の入社は2004年ですが、当時は売上は殆どなかったそうです。現行機種の普及で2005年から2007年にかけて急成長を遂げ、エンジニアも増えたようです。同氏はEmergentの財政状況のグラフも公開していますが、それは見てとれます。投資が収益を上回る状況で大幅な赤字が続いていましたが、2009年にエンジニアの半数を解雇。それにより収益が改善。今年は利益が出るようなグラフになっています。売上高: 緑、営業費用: 黒、粗利益: 灰色、税引前利益: 青グラフの売上高を見る限り、将来をそう悲観する状況でもないような状況です。Vincent Scheib氏は「大きなリターンを求める投資家ばかりでなく、継続的な成功を望んでいたら未来はどう変わっていただろうか?」と多数のタイトルで採用されたゲームエンジンの現状を惜しんでいるようです。現在ではエンジニアチームは全て解雇され、競売にかけられているのは「Gamebryo」およびIP、そしてこれまでの営業リストなどです。
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