ゲーム宣伝の新たな試み。Twitch広告からすぐにクラウドで体験版プレイさせる試みはどこまで効果的か。【CEDEC2026】 | GameBusiness.jp

ゲーム宣伝の新たな試み。Twitch広告からすぐにクラウドで体験版プレイさせる試みはどこまで効果的か。【CEDEC2026】

1年間に2万本近い新作がリリースされる時代。ゲームの宣伝も課題が積み重なっています。少しでも新作をゲーマーに伝えるために、広告から体験版をプレイ可能にする試みを紹介。

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ゲーム宣伝の新たな試み。Twitch広告からすぐにクラウドで体験版プレイさせる試みはどこまで効果的か。【CEDEC2026】
  • ゲーム宣伝の新たな試み。Twitch広告からすぐにクラウドで体験版プレイさせる試みはどこまで効果的か。【CEDEC2026】
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今も昔もゲームを宣伝するやり方には悩みがつきものですが、やはりトレーラーやストアページだけではゲームの手触りをなかなか伝えきれない悩みは大きいのではないでしょうか。

手触りを伝えるために体験版を提供する施策は一般的ですが、近年のAAAタイトルでは体験版のレベルでも大容量化しており、ユーザーが実際の体験にたどり着く前に離脱してしまう。そんなプレイヤー獲得の壁に悩むマーケティング担当者は多いはず。

講演「プレイアブルデモ ―Twitch広告から"今すぐ遊べる"体験でプレイヤー獲得する方法」では、Amazon GameLift Streamsを利用することでTwitchの広告枠からダウンロード不要で即座にゲームを体験できる新しい仕組みと、国内第一弾となった『パルワールド』での実施事例が紹介されました。

登壇したのは、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社のインダストリー事業開発本部の開発マネージャーを務める川口意織氏と、ゲームシニアスペシャリストソリューションアーキテクトのルーニー・ナターシャ氏です。両者はAWS for Gamesとして、講演の前半でビジネス面、後半で技術面を解説する構成でセッションを進行しました。

ユーザーと“体験”までの距離を0秒に

まずTwitch広告からプレイ可能なプレイアブルデモがどんなものかを紹介。こちらはTwitchのヘッドライナー広告などのバナーから「遊ぶ」ボタンを押すだけで、Amazon GameLift Streamsによるクラウドストリーミングを通じてすぐにゲームを体験できるという仕組みです。

ダウンロードやインストールは不要で、制限時間内であれば1080p・60fpsの環境でプレイ可能。体験版と考えれば、十分に高解像度・高フレームレートなプレイ環境です。体験版のプレイは制限時間に達するか、プレイを終了をすると、そのままストアページへ誘導される導線になっているといいます。

AWS for Gamesチームは、ゲームの「ビルド・ラン・グロウ」という3領域を幅広く支援しており、今回のプレイアブルデモは、このうち「グロウ(成長・プレイヤー獲得)」領域の取り組みの一つに位置づけられています。

背景には、認知から購入・リテンションに至るカスタマージャーニーの中でも、特に「興味・関心」から「体験」へと進む段階に大きなギャップがあるという課題があります。ダウンロードやインストールの手間で離脱してしまう顧客が一定数存在し、この体験までの距離を0秒に近づけることが発想の原点になったといいます。

具体的な数字も示されました。2024年の新作PCゲームは約1万9000本と前年比30%増える一方、インプレッションからダウンロードまでの平均コンバージョン率は0.1%未満にとどまり、ユーザー獲得コストは2019年から2024年にかけて50%上昇しているといいます。より多くのタイトルが、より高いコストをかけながら、より低い確率でしかプレイヤーに届いていないという状況です。

ゲームの発見経路自体も、パブリッシャーのマーケティングキャンペーンだけでなく、SNSやショート動画、インフルエンサーやUGCなど多様化していることが紹介されました。

この課題に対し、Twitchと組んで「買う前に試す」という体験を提供している理由も語られました。Twitchはグローバルのライブストリーミング市場で60%のシェアを持ち、2024年の総視聴時間は156億時間、1日あたりのゲームコンテンツ視聴時間は4600万時間、コンテンツ全体に占めるゲーム関連の割合は85%に上るといいます。

興味深いデータとして、ゲーマーが週にゲームをプレイする時間が平均7.4時間である一方、実況などゲーム関連コンテンツを視聴する時間は平均8.5時間と、視聴時間の方が長いことも紹介されました。

つまり、実況をよく見ているもののプレイには至っていない層が一定数存在するということであり、視聴していたまさにその場面をワンクリックで体験できることには大きな訴求力があるといいます。特に北米・ヨーロッパでの配信時間シェアが大きいことから、グローバル展開を狙う日本のタイトルにとっても有力な選択肢になるとされました。

必要となるのは、ゲームビルド1つのみ

技術面では、必要なのはゲームビルド1つのみで、Unity・Unreal・カスタムエンジンいずれにも対応し、Windows・Linuxも問わないといいます。

重要な条件は、ランチャーやアンチチート、DRMなしで起動できることで、これらはクラウド環境では正しく機能しないことが多いためだと説明されました。過去の改修事例では10時間未満での対応が完了しており、Steam向けにすでにデモビルドを持っているタイトルは特にスムーズだといいます。

裏側の技術としては、Amazon GameLift Streamsによりクラウド上のGPUインスタンスでゲームを実行し、WebRTCで映像をブラウザにストリーミングする仕組みで、SDKの統合も不要です。

導入スケジュールは、Week0でDRMフリーのビルドをアップロードし、Week1でサービスチームが動作確認、Week2でTwitch側と広告クリエイティブを準備、Week4に最終確認とローンチという流れで、最低でも2ヶ月前から準備を始めるのが望ましく、イベントに合わせる場合はさらに1ヶ月の余裕を見ておくことが推奨されています。

コストについては、現状パイロット版として提供されており、基本的にはヘッドライナー広告やチャンネルスキンといった既存のTwitch広告キャンペーンにプレイアブルデモを追加する形での、広告掲載料金が主な負担になるといいます。

国内第一弾の事例として紹介されたのが、ポケットペアの『パルワールド』です。4月10日の正式版1.0アップデート配信と同時に、15分間のストリーミングプレイとしてプレイアブルデモが展開されました。

結果として、プレイしたユーザーのうち37%がその場で「今すぐ購入」をクリックしてSteamに遷移したといいます。これは過去の海外タイトルでの20%台という実績と比べても高い数字で、『パルワールド』自体の勢い(ローンチ後のCCUが85万人、その後95万人を突破、Twitchでの平均視聴者数が前月比4200%増)も重なった結果だと分析されています。

ポケットペア側からは、この試みに対して「画一的になりがちな広告の中で、PC上から無料でデモをプレイできる驚きと能動的な体験を届けられたことに手応えを感じている」というコメントも紹介されました。

現状はパイロット版として、グローバルタイトル2作品と『パルワールド』を合わせた3タイトルで実施されています。Discordでのプレイアブルデモ利用もすでに可能になったほか、今後は大手ゲームレビューサイトやAmazon.com、主要ゲームストア・SNSプラットフォームへの展開、対応リージョン(現状は北米・カナダ・英国)やデバイスの拡大も予定されているといいます。

効果的な活用シーンとしては、新作ローンチ前のウィッシュリスト・予約数の増加、新作・旧作を問わないセール連動、配信中の視聴者をその場でプレイヤーに誘導するストリーマーコラボ、東京ゲームショーのようなリアルイベントでの発表と連動した誘導などが挙げられました。

ダウンロード不要でワンクリックのまま手触りを届けられる点と、プレイヤーの約40%がその場で購入をクリックしているという実績を踏まえ、購買までの距離を縮める新しいマーケティング施策として、講演は締めくくられました。

《葛西 祝》

ジャンル複合ライティング 葛西 祝

ビデオゲームを中核に、映画やアニメーション、現代美術や格闘技などなどを横断したテキストをさまざまなメディアで企画・執筆。Game*SparkやInsideでは、シリアスなインタビューからIQを捨てたようなバカ企画まで横断した記事を制作している。

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