『テラビット』へ集まった批判―サイバーステップ2割超の減収、MSワラントによる調達へ【ゲーム企業の決算を読む】 | GameBusiness.jp

『テラビット』へ集まった批判―サイバーステップ2割超の減収、MSワラントによる調達へ【ゲーム企業の決算を読む】

2023年3月に『テラビット』をリリースしたサイバーステップが窮地に陥っています。

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『テラビット』へ集まった批判―サイバーステップ2割超の減収、MSワラントによる調達へ【ゲーム企業の決算を読む】
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2023年4月に『テラビット』のPC/Steam版をリリースしたサイバーステップが窮地に陥っています。

2024年5月期第1四半期(2023年6月1日~2023年8月31日)の売上高は前期比26.7%減の8億3,000万円、3億7,300万円の営業赤字(前年同期間は2億8,800万円の営業損失)となり、営業赤字幅が拡大しました。

同社の主力タイトルであるオンラインクレーンゲームの『トレバ』は、リリースから時間が経過して収益性を失っています。新作タイトルで巻き返しを図らなければなりませんが、ユーザーが期待する内容と開発力の乖離が大きく、中長期的な苦戦も予想されます。

リアルとオンラインが交差するゲームが大ヒット

サイバーステップは2001年8月に、現在も代表取締役社長である佐藤類氏が設立した会社。翌年に正式リリースしたネットワーク対戦型3Dアクションゲーム『ゲットアンプド』や『鋼鉄戦記C21』が人気となり、2000年代後半には早くも中国や韓国などの海外進出を図りました。

2006年7月に株式を上場しています。上場後、売上高は10億円台のほぼ横這いで推移していましたが、2017年5月期(2016年6月1日~2017年5月31日)に売上高が前期のおよそ1.8倍となる30億9,300万円に跳ね上がりました。『トレバ』が人気化したためです。

このゲームは2012年にα版がリリースされた後、2015年1月にAndroid版アプリが正式に世に送り出されました。オンライン上で実際のクレーンゲームを動かすという特殊な形態をしていましたが、サイバーステップはユーザーの拡大とともに筐体の増台を順調に進め、大幅な増収へと繋げました。2019年1月に1,000万ダウンロードを突破しています。

決算短信より

サイバーステップは2020年5月期(2019年6月1日~2020年5月31日)に売上高が前期比12.5%増の129億9,700万円となり、過去最高を記録します。しかし、急速にその勢いは失われました。

現在は3期連続の営業赤字を計上しています。

なお、2021年5月期(2020年6月1日~2021年5月31日)に従業員が623名いましたが、翌期には352名まで縮小しています。同社は希望退職者の募集をかけて人員を削減しました。事業や子会社の売却をせずにこれほどの従業員を短期間で削減するのは珍しいと言えるでしょう。

有価証券報告書より

不本意な形でリリースせざるを得なかった?

サイバーステップの株価は2017年6月27日に7,980円の高値をつけました。しかし、その後は株価の低迷が続いて2023年10月26日は302円で引けています。ただし、同社株が市場の期待を受けて盛り上がった瞬間がありました。今年の4月20日に、500円台で推移していた株価が934円の高値まで押し上げられたのです。

その主要因が『テラビット』でした。サイバーステップは4月20日にPC/Steam版をリリースすると発表しており、リリースのタイミングで、その期待感から株価が急騰したのです。

※「みんなで作るサンドボックスゲーム『テラビット』 PC/Steam版が本日4月20日15時にリリース!」より

しかし、このゲームがユーザーからの失望を買う結果となりました。


《不破聡》

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